ルノー・メガーヌRSの走りを支えるDASS! フロントサスペンション形式いろいろ #renault_jp

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(メガーヌのフロントサスペンション、DASS)

すでにリアサスペンションが気になるとエントリーしましたけど、フロントも大切です。

Audi A1デビュー! どうしても気になるリアサスペンション形式 ([の] のまのしわざ)

特にFFではハンドリングにトラクション、トルクステアなどを司る場所。リアの接地性にばかり気をとられてすっかりこの部分を忘れてました。ストラットが主流なフロントサスですけど、各メーカー色々と趣向をこらしてます。

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いまお借りしている先代ルノー・メガーヌ R26.RはDASS(ダブルアクスルストラットシステム)というものを使っており、とてもスムース&滑らか。

RENAULT JAPON | ルーテシア ルノー・スポール コンセプト

マクファーソンストラットタイプのサスペンションに強化ロワアーム、アンチロールバーと専用アクスルを追加。サスペンションの上下動に関わらず、フロントの荷重が常にタイヤ接地面の中心にかかるように設計、併せてキングピンオフセットを最小化することでトルクステアを低減しています。またアーム部をルノー初となるアルミ製にすることで軽量化を図り、あらゆる路面での走行性能と快適性が高まっています。

ルーテシアRSから採用されたというDASS(ダブルアクスルストラットシステム)、構造は上記のとおりですが、下のサイトの解説がわかりやすいです。

【みんカラ】 串団子とDASSとストラット|ルーテシア2からE46|ブログ|HANNA - 車・自動車SNS(ブログ・パーツ・整備・燃費)

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飛躍するが、これは、Fタイヤと転蛇軸との関係にも当てはまる。
ハンドルを切ったときに、Fタイヤがちょうど中心から回ってくれるほうが、
偏りなくタイヤ性能を使えるため、都合が良い。

逆に右の団子のように、中心から大きくズレると、上手くタイヤを使えない
ということになる。

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だが、通常のストラット形式のサスの場合、構造上、
タイヤの中心からずれた転蛇軸を持っている。
まっすぐ上から串を刺すことはできない。
右の団子ほどではないけれど、イメージとしてはそんな感じか。
ついでに言えば、ストラット、要するにFサス(ショック・スプリング)も一緒に転蛇する。

まあ、実際には絵ほど極端なズレは無いので、実用上は問題ないのだが
FFの運動性能向上のために、このズレの解消に取り組む例はみられた。
(P10プリメーラやアウディA4の仮想転蛇軸を持つストラットがその代表例)

そして、今回のDASSはその取り組みの最新例である。、
このシステムはルノールーテシア3RSやメガーヌRSに採用されている。


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さて、いつものように素人的に書く。、DASSは
フロントハブに新たにナックルを作り、そこだけを回転させるようにしてある。、
それにより、ストラット形式よりもホイールの中心、車体の外側に転蛇軸を押し込むことができ、
転蛇軸のズレや、傾きを適正化できる、というものである。
ストラット部が回転しないため、軸の設定の自由度が上がったともいえるかもしれない。

転蛇軸が適正化されることにより、
タイヤにバランスよく力を加えることができるようになる(合ってるかな?)。
今まで使いきれていなかったタイヤの性能をフルに発揮できるようになる。
結果、
旋回中のアンダーステアが減る。

加えて、
DASSは通常のストラット形式から最小のモデファイで実現できるものであり、
量産メーカーであるルノーとしては願ったりかなったりのFF高性能化の手段である。つまり、金があまりかからない。

同じような考え方で、フォードフォーカスRSには「レボナックル」という形式が採用されています。

【みんカラ】 Revoknuckle|ヽ( ・∀・)ノ モンデオー|ブログ|マエガシ - 車・自動車SNS(ブログ・パーツ・整備・燃費)

キングピンオフセットが半分?になって、軸の角度も直角に近づいてる様で。考え方はトヨタのスーパーストラットやルノーのダブルアクスル・ストラットと同じっぽいですね~。しかしこちらは後発だけあって?前述のモノより、より簡単な構造で部品点数が少ない様です。

スーパーストラット!懐かしい。その名称や潜在能力からかなり期待されたんですけど、結局消えてしまいましたね、残念。

画期的なスーパーストラットサスペンション

このサスペンションは従来のマクファーソンストラット式をベースに各リンク構成を一新したもので、 カローラ発売前の1991年4月に技術発表が行われた。このサスペンションは後に革新的コンパクトカー ヴィッツの開発を担当することになるシャシー設計部の市橋保彦氏が開発を担当したものである。

90年代初頭、ライバルメーカーはマルチリンクサスペンションやダブルウィッシュボーンを スポーツカーや高級車ではなく小型車クラスへ採用を拡大していた。特に、ホンダシビックとは ツーリングカーレースでのライバル関係があり、特にトヨタは、VTEC+ダブルウィッシュボーン式のホンダに劣勢であった。

SSサスは「FF車特有の駆動力がステアリングに及ぼす影響を抑えると共に、旋回時のタイヤ性能を引き出すことにより、 優れた走行性能と車両の安定性を実現する」という目標をもって開発され、ストラット式に近い形態ながら ダブルウィッシュボーン式のようにサスペンションジオメトリーの自由度が高く、 対地キャンバー角の変化が少ないサスペンション形式である。

ライバルであるシビックはダブルウィッシュボーン式だったのですが、その後EP/DC5からストラット式に変更。

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常用域からスポーティー領域までリニアで爽快な走りを実現。

パッケージング性に優れたフロント・トーコントロールリンク・ストラットサスペンション/リア・リアクティブリンク・ダブルウイッシュボーンサスペンションを専用設計し、スポーティークーペとしてふさわしいセッティングを追求。接地点剛性を高めるためダンパーとベアリングを新設計(フロント)。また、スタビライザーの採用(リア)、高剛性ブッシュとリアクティブリンクおよびトレーリングアームの採用(リア)、スプリングレートのセッティングなどを実施し、シャープなハンドリングと優れたスタビリティを実現しました。

また、タイロッドをロング化するなどにより、フロントのトー特性カーブをストレート化。旋回時の特性変化を抑えリニアな応答性を実現。さらに、サスペンションジオメトリーの設定によって、ロールセンター高とロール仮想アーム長の前後バランスを見直し、コーナリング時の姿勢変化を最適化。常用域からスポーティー領域に至るまで、小気味よく安定したハンドリングと乗り心地を実現しました。

知っている人はよくしっている、ストラット自体に継ぎ手がでているタイプ。これはインテグラやシビックが初めてではなく、初代インサイトで初採用されています。

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すべてのメカニズムを、軽くコンパクトにしたい。

軽量化を施しながら、高い安定性や乗り心地を確保したサスペンション。

■ハイマウントステアリングギアボックスを組み合わせたストラット式フロントサスペンション。

シンプル構造に加え、ナックル部やロアアームにアルミ鍛造材を、ストラットのダンパーロッドに中空パイプを採用するなど軽量 化を実現するとともに、ロールセンター高やトー変化特性の最適化によって、優れた操縦安定性を獲得しています。

また、ダンパーに軽量なアルミ鍛造タイロッドを取り付け、そのセンターにステアリングギアボックスを設置した、ハイマウント構造とすることで、コンパクトなエンジンルームを実現しています。

どうもここでの目標は

・コンパクト化、シンプル化
・トー変化を最小に

といったことに主眼が置かれてます。

つまりハンドリングやトラクション、トルクステアの軽減といった大パワーを路面に伝達させるといったスポーツ方面ではなく、いかに効率よくパッケージングするかといったエコ方面のアプローチでした。シビックやインテグラがファミリーカーをベースにするという出自で、なおかつカローラ、トレノといったライバルがいなくなった2000年初頭の時代背景を考えると自然ななりゆきです。

ただこれが運命の分かれ道。

シビック・インテグラのハンドリングを決定づけたダブルウィッシュボーン式は上級車種のアコード、そしてそれをベースとしたオデッセイに残るのみ。その後インテグラは消滅、シビックも日本市場で終了です。

今回ルノー・メガーヌを乗って思ったのは

「リアサス大事だけど、フロントサスもね!」

ほんとフロントサスペンション大事です。

↓シリーズの記事

▼(1)ルノー試乗第2弾は! ニュルブルクリンクFF最速のメガーヌR26.R #renault_jp ([の] のまのしわざ)

▼(2)究極という名のメガーヌ! ルノー・メガーヌ R26.R(RADICALE・究極) #renault_jp ([の] のまのしわざ)

▼(3)ルノー・メガーヌRSの走りを支えるDASS! フロントサスペンション形式いろいろ #renault_jp ([の] のまのしわざ)

▼(4)究極のハンドリングと至高のコーナリング! ルノー・メガーヌR26.Rはハンドリング美食倶楽部 #renault_jp ([の] のまのしわざ)


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上記の本買って今読んでますけど、ものすごい造詣が深まります。長年の謎がいともたやすく氷解する感じ。1994年に買って読めばよかったw
著者の宇野高明さんは日産のエンジニアでHICAS、マルチリンクサスペンションなどの設計を行った方です。


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