インサイトとプリウスの価格差を埋めるには何年かかる?

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189万円と低価格を打ち出したホンダ新型インサイトですが、ライバルであるトヨタ・プリウスの方が燃費は良いです。しかしながらその価格差を考えると、さて、どれくらい走ればいいでしょう。

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乗用車の平均走行距離が年間1万km弱だから、走行距離を年間1万kmと想定した場合、現行プリウスは337.8L、新型インサイトは384.6Lのガソリン消費となり、その差は46.8L。ガソリン価格を110円/Lとすると、年間5148円の差で、価格差を燃費差で補おうとすれば、85.7年もかかることになる。

年1万キロ走行だと85.7年だそうです。年10万キロ走ったとしても8.5年かかる計算ですからね、タクシーでもない限り価格差は吸収できそうにありません。そもそも走行距離数も85.7万キロですから、そこまで車がもつとも思えませんし。

さて以前の予測どおり、インサイトはフィットやシビックから部品を流用しています。

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コストダウンのため、既存車種とのパーツ共用も積極的に行った。全パーツの約36%を、フィットやシビックなどから流用。クルマの基礎となるプラットホームは、前半のエンジンルームまでをフィットから流用し、フットボードから後半を新開発した。フィットは燃料タンクを前席フロア下に配置するセンタータンクレイアウトなのに対して、インサイトは車高を低めて空力性能を向上させるために、ガソリンタンクを後席フロア下に配置している。

同じくフィットの派生車種、エアウェイブとの価格差、燃費差を計算するとどうなんでしょう。

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インサイトの実用燃費は、シビックハイブリッドより少し良いくらいと仮定すると、16km~18kmくらいでしょう。営業さんの予想でもそれくらいでした。エアウエイヴよりも3km程度良いわけですが、これで節約できるガソリン代は、年間1万キロ走って、ガソリンがリッター160円と仮定すると、年間で1.8万円にすぎません。車両価格の差(30万円以上)を取り返すには、ずいぶんかかることになります。

同じことは、インサイトとプリウスの関係にも言えます。新型プリウスは、高度なシステムが満載で、きっと燃費はすごく良いでしょうけれど、その分値段も高いので、燃費が良い分の差額を取り返すことは難しいでしょう。

まあ最終的にはフィットが偉い、になってしまうわけですが。

トヲルさんの指摘はもっともで、現状の燃費差と価格差ではハイブリッド・システムが圧倒的に有利とはいえません。

だが、しかし、それでも。

これはあくまでも序章にしか過ぎないのです。ホンダの狙いはハイブリッド・システムのGM(ジム)化。いままだハイブリッドは連邦でいえば「ガンダム」みたいなもので、性能はいいけれど価格差分まではない状態。しかしインサイトが売れ、ハイブリッド・システムが一般化すれば、すべてのホンダ車に8万円くらいの価格差でハイブリッド・システムが搭載されるようになるでしょう。そうなったとき、ア・バオア・クーは陥落します。

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でももしかしたら、インサイトのシステムでさえ、無駄に複雑なのかもしれません。インサイトとエアウエイブの燃費の差を見ると、回生ブレーキによる省エネ効果などは、ハイブリッドシステム搭載の重量増で帳消しになっていそうな気がします。ほとんどがアイドリングストップの効果で稼いでいる気も。

シビック・ハイブリッドの走行経験ではモーターアシストに「省エネ効果」はなく、非力な1.3Lエンジンをアシストして、普通に走れるくらいにしているという印象です。そしてまだまだバッテリー容量は少なく、たとえバッテリーが満充電になっていても、長い坂道を40秒ほど連続走行すればあっという間にバッテリーはからっからになってしまい、あとは遅く、燃費の悪い走行になります。

それでも、バッテリーがより高容量化すればいいわけですし、そういった「今後の伸びシロ」を考えた末のハイブリッド・システムの選択でしょう。それにまだシリーズ・パラレル方式とかホンダはやってないですし。

確かにガソリンの一滴から最大のパワーを得るというAudiのアプローチや、マツダの燃焼サイクルを最適化するといった既存の「内燃機関」の効率化も必要です。ただホンダはそれらをやりつくしてその上でモーター+バッテリーに活路を見出そうとしているということでしょうね。学科でいえば、機械工学科から電気電子工学科への方針転換といってもいいでしょう。

インサイトは売れまくっているようなので、この調子でCR-Z、フィット・ハイブリッドとどんどん拡大していくと面白いことになりそうです。

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