シビックハイブリッド:F1 KERSでホンダのハイブリッドは世界トップへ

Honda Technology

エンジン出力がメイン、モーターはあくまでもサブというのがホンダのIMAの考え方です。そしてエンジンの出力軸にモーターを直結して協調動作します。

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Hondaは、機構がシンプルで エンジンを主役とする「パラレル方式」を選択。

アシスト付自転車と同じくこのモーターは漕ぎ手の負担を軽くするために使われている感じがします。車でいえば、エンジンの負担を軽くしているだけです。その負担が軽くなった分、排気量を減らすことができるという理屈です。

しかしこのIMAでは加速しようとアクセルをあけるとエンジンの回転数がまず上がってしまい燃費に不利です。特にモーターのトルクを生かすのであれば、もう少し回転数を下げたところで使いたいなのですが。そのため登り坂や追い越し加速では非力な1300ccエンジンをぶん回してしまってかえって燃費を悪化させることもあるようです。

・ハイブリッドが未成熟な理由

歴史を振り返るとエンジン(内燃機関)はまずマニュアルトランスミッション(マニュアル)と組み合わされ、その後トルコン式、CVTといったオートマチックトランスミッション(オートマ)に進化(分化)しました。燃費向上技術もマニュアルで行われていたものがオートマに反映されたわけですが、ハイブリッドだけは最初からオートマでマニュアルトランスミッションとは組み合わされていません。

そのため研究所内の研究成果だけが反映されたに過ぎず、ガソリンエンジン+マニュアルの組み合わせであった、多くのユーザーの経験、状況をフィードバックしたものとは異質です。そのためにある領域、特に狙っているであろう10・15モードの燃費向上や定地走行では有効ですが、その領域から外れるととたんに燃費が悪化します。まあ設計外というやつでしょうか。

・大幅な性能向上を目指す手は

エンジン出力を自由にコントロールできるマニュアルミッションとの組み合わせ、とくにエンジンとモーターと別系統のギアで操作して、状況に最適なギア選択、エンジン、モーター出力選択ができるところからはじめるのはどうでしょう。その上でどの組み合わせがもっとも燃費が良いのか、その経験値を高めて蓄積していくと良いのではないでしょうか。

そうなるとミッションが2つ、アクセルペダルが2つと操作が煩雑どころかもはや曲芸師の領域に突入です。免許もどうしたらいいのか心配の種がつきません。

・もうひとつの手は

ハイブリッドカーのMT化が無理そうだと分かった瞬間、もうひとつのことが思いつきました。それはF1です。

来年、ホンダはF1にKERS(カーズ)というエネルギー回生装置を装着します。これはまさにホンダのハイブリッドに近い考えで、エンジンが主体、回生ブレーキで回収したエネルギーでモーターを駆動してアシストするというものです。

走る実験室であるF1で、世界最高峰のエンジニアとドライバーが開発するとしたら、飛躍的な進化が望めそうです。

Business Media 誠:「F1のホンダ」栄光の奪還に向けて“アクセル”――ホンダ(2)

ホンダが注目しているのは、その部分だけではない。ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車(HV)の技術を修練させる“実験場”としてF1を利用しようとしているのだ。ホンダが選択するカーズは電気式。開発の思想はエンジン走行主体の独自システム「IMA」を搭載した市販のHVと同じだ。

F1でも燃費向上による給油回数の低減、モーターの出力上乗せによる加速力向上などメリットがあります。一方で重量増によるハンデや信頼性の低下がデメリットでしょう。ただいずれにしても市販ハイブリッドカーと同じ利害で、両者は一致します。

・ハイブリッドスポーツカー戦略

そうなってくるとホンダのハイブリッドカー戦略が見えてきます。

・燃費性能を飛躍的に向上 ⇒ インサイト、フィットHV、シビックHV、ミニバンHV
・走行性能を飛躍的に向上 ⇒ CR-Z

F1での開発はこの両者に寄与するものです。ここ最近ホンダがミニバン主体メーカーとなりF1参加と市販車との乖離が激しくなった昨今でしたが、ここにきて見事に軸が一致します。

そんなことをシビックハイブリッドをSモードで走らせながら感じました。この車はまだまだ発展途上ですが、次はもっともっと面白くなりそうです。


【関連リンク】


Business Media 誠:戦略の“要”はハイブリッド車――ホンダ(1)

Honda | モータースポーツ | F1世界選手権 | Honda Racing F1 現場レポート

―今回は、異なった2台のマシンを持ち込んでのテストでした。

 ええ。1台は、今年の現行マシン。もう1台は一昨年のクルマに、KERS(運動エネルギー回収システム)を搭載したものです。初日はこのKERS搭載マシンを走らせたんですが、マイナートラブルが発生して、それを見つけるのに時間がかかって、結局20周しかできませんでした。とはいえ、基本的な機能チェックはできました。

(2009/03/31 追記)

F1 KERSの仕組については、以下のエントリーをどうぞ。

F1 KERSの仕組を3D CGで詳しく解説 by セバスチャン・ベッテル ([の] のまのしわざ)