お台場に存在するガンダムの必然性

夢に富野監督が出てくるくらい、ガンダム好きです。皆様いかがおすごしでしょうか。

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お台場に実物大ガンダムが出現し、大好評を博していますがもう見られましたか? この実物大ガンダムがお台場にあるのは偶然ではなく、必然なのです。

今回の実物大ガンダムの立像、つまりまさに「ガンダム、大地に立つ」を最初に実現するのに選ばれた土地は東京のお台場。「お台場」という立地は、人がくる以外にまさにガンダムが大地に立つに相応しい場所です。

まずそれは埋め立て地であること。

そもそも東京、いや江戸といっていいでしょうか。当時日比谷まで海で、それよりも海側はすべて江戸城の堀を作る際に掘った土を使って埋め立てた場所。さらにそれを近代になっても拡張しつづけ、しまいにはお台場ができあがったという「人工の浮き島」。

これはまさにガンダムが舞台とした「スペースコロニー」を彷彿とさせます。「大地」といいながら、すべて人間の叡智をこらした人工物なんですね。どれ一つとして自生のものはない、すべて人が介在して作られた、偽の土と偽の森なのです。ですからまさにサイド7を再現しているといってもいいでしょう。

次に「台場」という場所柄。台とは砲台の意味で、江戸末期にペリーの黒船が現れ、アメリカ侵攻に備えて砲台を設置した場所です。つまり首都防御の要所ですね。その場所に未来の兵器であるモビルスーツを配備するという意味。日本という国を外国の侵攻から守るのは、つまり「ロボット」と「アニメ」であるという強いメッセージが込められています。ロボットを筆頭とする技術であり、アニメを筆頭とする文化、これが日本の強みとなり国際競争力を高めているのです。

ロケーションが完璧ならば、設置も完璧。

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ガンダムは東を向いて設置されています。これは日の出方向で、日が出た瞬間からガンダムを太陽が明るく照らします。太陽はガンダムの背後である西に沈み、ガンダムは夕焼けをバックにする上、完全な日没では東京の夜景が夜空を彩ります。この陰影の妙が不動のガンダムに躍動感と表情をあたえています。これはまるで般若の面のようでもあり、日本の伝統文化が反映されています。

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このガンダムを作ったのは乃村工藝社、菊人形の演出を祖とする会社なのでその伝統をうけついで反映したのもうなづけるでしょう。

さらにこの位置は風水的にも完璧です。

バンダイ、ガンプラ工場のある静岡県から、お台場は北東の方角、つまり鬼門にあたります。そこに不動のモビルスーツ像をたてることで今後のガンダムとガンプラの繁栄を狙ったのです。

ガンダム20周年のときはこれほど盛り上がらなかった気がするのですが、今回の30周年はひと味違います。もちろん昨今のガンダムがヒットしたというのもあるのでしょうが、コンテンツとしてさらに古さをましたはずの初代(ファースト)ガンダムが、年月を経て再びその深みを増して円熟の時を迎えています。総監督の富野由悠季さんもそうで、昨今のメディアへの露出とその影響力の大きさをみるとさらにパワーアップした感があります。

ということで「ガンダム詣」はきっとご利益ありますよ。パワースポットに間違いないです。

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もう一つ、大事なことがあります。それはガンダムのテーマ。

ガンダムの重大なテーマは予告編のナレーションで端的に表されています。

「君は生き延びることができるか?」

これは42話一貫し続けます。この言葉の「君」は実は「人類」を意味します。そう、ガンダムのテーマは人類存亡なのです。

「人類は生き延びることができるか?」

人口爆発、環境問題、食料問題、エネルギー問題。1970年代につきつけられた諸問題は今も継続中、いや問題はさらに世界規模となり拡大中といっていいでしょう。

ガンダムが30年生きながらえたのは、テーマが「人類の存亡」だったからで、アムロの成長物語とか、リアルロボットものだとか、人間同士の戦争といった個々の物語が素晴らしいというのもありますが、その上位概念があったからと言っていいでしょう。その中で「ニュータイプ」という新しい言葉を持ち出し物語をとりまとめた富野監督の手腕は見事でした。

そして今回のガンダムが GREEN GUNDAM PROJECTとして、緑との共生やエコがテーマとなっていて、表層だけみるとまったくもってかけ離れているのですが、「人類の存亡」という枠で考えると実は一貫しているのです。

まさか30年も前にそこまで見越していたとは、もう驚きを通り越して感動です。

ですからここでも改めて言いたいです。

ガンダム、バンザーイ!!

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