銚子電鉄と肥薩おれんじ鉄道の共通点と分岐点

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(肥薩おれんじ鉄道のポスター)

今ネットで再び話題となっている「銚子電鉄」。正確には「がんばれ銚子電鉄」という本が出版され、この本が評判なのです。

『がんばれ!銚子電鉄 ローカル鉄道とまちづくり』は『クチコミの技術』の続編である:[mi]みたいもん!
404 Blog Not Found:泣き落とし2.0 - 書評 - がんばれ!銚子電鉄

その著者である速水さんのブログで共感したのがこちら。

【A面】犬にかぶらせろ!: 銚子電鉄と郊外化と都市計画

このモータリゼーションが産んだファスト風土はこれから間違いなく訪れる高齢社会には適していない。老人の自動車事故はすでに社会問題になりつつある。70代や80代の老人たちが住むのに適した町は、こういった自動車を必要とする広大な町ではなく、役所などの期間が町の中央集中し、公共の交通機関と徒歩で用が済む小さな町だ。

まさにこの部分、私が実家のある熊本県八代市で見聞きしたこと、そのものです。

ユメタウン八代 ([の] のまのしわざ)

大規模ショッピングモールの影響で地場の個人商店などがバタバタと音をたてて潰れていっている今、10数年後車を運転出来なくなってしまった親世代はどうやって生活していけるんだろうととても心配ですね。

八代・JUSCO ジャスコ ([の] のまのしわざ)

いずれにしてもアメリカ化していることは間違いないですねぇ。車社会+大型ショッピングセンターの構図。

上記、2大ショッピングセンターを訪ねてみての感想。つまり金太郎飴的に相似形のショッピングモールがどかんどかんと立ち並び、そこまで数キロの道のりをクルマを運転して買いに来るという、「ファスト風土化」完成形です。

一方で九州新幹線によって行き場を失ったローカル線、それが肥薩おれんじ鉄道。

肥薩オレンジ鉄道の車窓から ([の] のまのしわざ)

「お願いします!1年に1回乗って下さい。」という悲痛な呼びかけが。

銚子鉄道と同じく泣き落としの様相を呈していますが、こちらは非常に地域限定的で、しかも経営に直接的です。銚子鉄道と違い、この肥薩おれんじ鉄道の未来は暗雲垂れ込めています。父から聞いた経営状況では、そう長くもたないだろうなというのが本音です。

肥薩おれんじ鉄道も銚子鉄道を見習って、

「とれたてのオレンジを買って下さい。甘いデコポンもあります。」

くらいのキャンペーンを打った方が良さそうではあります。

父ももう70歳。今は元気でクルマも乗り回していますが、あと何年クルマを乗れるか分かりません。近くの店はどんどん潰れ、徒歩でいけるお店はほとんど全滅しました。八代も城下町ですが、ヨーロッパの城下町のような城壁都市ではないので意外と市街地に人口集中していなく、干拓した農村地帯が広がっています。そこへコンパクトシティでライトレール、というのもなかなか難しいのではないか、とも感じます。

だからといって九州新幹線の八代以北部分の工事、そして八代から鹿児島へと抜ける南九州西回り自動車道は絶好調で建設中というのも、どうでしょう。父いわく、

乗る人間がおらん

人口減少の地域で、昔の計画に基づいたムダな建設ラッシュ。おれんじ鉄道どころか、日本経済が、国の財政が心配になってきますよ、切実に。