正月見た映画たち

このお正月。せっかく大型液晶テレビを買ったのでDVDプレイヤーをひっぱりだし、SD画質ではありますが映画を楽しみました。

劇場版ガンダム3部作

機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス
機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス

まずはもちろん、劇場版ガンダム3部作。もうこれはガチです。泣けます、いや泣きました。すべてのストーリー、全カットまで克明に覚えているくらいなのですが、みるたびに発見があります。

ひとことでいうならば、富野監督は1979年にもうエコや経済危機なんてものは予見し、それを超越した未来まで見通してしまった、ということです。正月の環境問題番組なんて、ほんと小さいし何も見せてくれないのに。

そのことは次の言葉に集約されています。(記憶によるもののため、原文とは異なります)

人類は環境破壊と資源枯渇によってもうすぐ地球に住めなくなるでしょう。かといって文明を捨てて原始社会に戻ればいいというわけにいきません。私は人類の叡智を結集して、問題を解決していく未来を描きたいのです。

現実に目をつむることは簡単です。将来を悲観することは容易です。しかしそれを乗り越え、人類の叡智を結集して解決しようと模索することは簡単にできることではありません。1979年はまだフロンによるオゾン層破壊やCO2による地球温暖化が問題視される時代以前なのです。それなのに問題発生を予見し、それを超越したことは感嘆に値するのです。

さらにいうならば、物語を通じて宇宙で人類が住めないかどうかをシミュレートした結果、通常の人類では無理という結論に達したところが特筆すべきです。つまり宇宙にフロンティアを見出した、しかしそれは心理的にも肉体的にも不可能と。そこでもう一つの可能性、答えを用意しました。それが「ニュータイプの出現」です。ニュータイプという言葉に「新しい種族」の可能性を収斂させていくところがこのガンダムのカタルシスですが、それは同時に閉塞していく我々世界社会の行き先をも示しているのです。

ララァの「あなたはなぜ戦うの?守るべき人も、故郷もないというのに」の問いにつまるアムロ、それが我々の苦悩と迷いを現しているのかもしれません。

劇場版パトレイバー 1,2作目

これは押井守監督による出世作。出世しようがしまいが、どんな物語も同じテーマにもっていくのが押井監督の醍醐味であり、また永遠のテーマでもあります。この2作品は近未来を描いており、現代との比較としてみるとある場面場面がオーバーラップしていてまた興味深いです。

パトレイバー the movie

機動警察パトレイバー 劇場版 (Blu-ray Disc)
機動警察パトレイバー 劇場版 (Blu-ray Disc)

1作目であるこの作品はHOSと呼ばれるOSを搭載したレイバーの計画的暴走事件を題材にしています。人型ロボットが土木建築に使われる未来、高度化したOSへのコンピュータウィルス混入は現代社会におけるOSとコンピュータウィルス、スパイウェア、マルウェアによる機能不全を予見しています。人型ロボットはまだ模型レベルですが、10年前のAIBO登場から加速した2足歩行ロボット開発がここまで来るとは予想以上の速度です。パトレイバーの世界は1999年前後ですが、10年後からが始まりかもしれません。

パトレイバー 2 the movie

機動警察パトレイバー2 the Movie (Blu-ray Disc)
機動警察パトレイバー2 the Movie (Blu-ray Disc)

これぞ押井監督の真骨頂、現実と幻想の狭間をテーマにしたものですね。平和とは何か、を問いています。ベイブリッジ爆破事件は911事件とオーバーラップしてなりませんし、官僚制度の腐敗はまさに2000年以降の世界と日本に酷似しています。

カリオストロの城

ルパン三世 - カリオストロの城
ルパン三世 - カリオストロの城

いわずとしれた宮崎駿監督作品。クラリスと伯爵といった、美少女と悪人の対比も素晴らしいし、とにかくアニメーションであることが美徳であるかのような軽快なテンポと動きの滑らかさはまさに日本に至宝といっても過言ではないでしょう。なんどみてもいいです。

ちなみに上記DVDはSD画質だけではなく、適当にフィルムからエンコードされたらくして非常に汚いです。ブルーレイを待った方が得策かと。

マクロスプラス

マクロスプラス リマスターボックス
マクロスプラス リマスターボックス

今度マクロスF(フロンティア)がはじまりますが、CG利用という点で礎となったと思われる作品。板野一郎による特技はまさに圧巻。ストーリーの方は一人の女性をめぐる地球人とゼントラーディ人男性二人による愛憎劇とマクロスらしいとしか言いようがない出来ですが、そんなものミサイルが糸ひいて飛べば全部吹き飛びます。とにかく映像が美しい。

以上、ラジコン製作で徹夜したためにずらずらと見てしまいました。やっぱり正月番組より全然面白いですよ、TV見てませんけど。