狭き門でした。
独立行政法人・海洋研究開発機構、Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology 略して JAMSTEC。しんかい6500などが所属する特殊機関、一度日産のテストコース、GRANDRIVEへ行こうとして迷い込んで門前払いを食らった因縁の場所。そこへ今回は大手を振って入れるっていうのですから、一般公開日さまさまです。
▼横須賀本部<一般公開<広報活動<独立行政法人海洋研究開発機構
1年にたったの1回、しかも土曜日の1日だけ。開かれたといってもやはり狭き門、しかも場所は追浜の埋め立て地の先の先、まさに陸の孤島といっても過言ではありません。しかしその中にあるんですよ、憧れのアレが。
しんかい6500!
日本が世界に誇る、6500m級潜水調査艇です。これがどれくらいスゴいかというと、カンタンにいうとバンダイがプラモデルにしているくらい。
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Exploring Lab. 1/48 しんかい6500
1/48スケールなのでメガサイズガンダムと並べるとその大きさがより一層ひきたちます。
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メガサイズモデル 1/48 RX-78-2 ガンダム (機動戦士ガンダム)
「んなわけない(笑) by タモリ」
目の前にあるのは正真正銘の1/1スケール、しかも本物。その圧倒的質感に感無量です。
ロボットアームが萌える! ボールなんて目じゃない?
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MG 1/100 RB-79 ボール Ver.Ka (機動戦士ガンダム)
いやしかし、雰囲気が随分と似てますね。なんとなくマンボウっぽいボールに見えてきました。
このロボットアームを使い試料を篭の中のボックスに入れて持ち帰ったり、海底の変化を観察するのがミッションです。そのへんはこちらの本に詳しいです。
▼「深海のパイロット」6500mの海底に何を見たか ([の] のまのしわざ)
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深海のパイロット (光文社新書)
しんかい6500のロボットアームの操作はリモコン、パイロットは窓からみて操作をしますがその窓がまたすごい。
6500mの気圧、つまり650気圧に耐えるためにガラスがとても厚くなってます。
この窓のガラス、実際にはガラスではなくメタクリル樹脂製とのことですが、こんなかんじ。
分厚いですね。しかし透明度は抜群。
見る方が小さくなっているので、パイロットはガラスに顔を近づけて覗き込むようにして周りを見渡すことになります。
そして真っ暗な深海を照らすのが前照灯。
かなり明るいものでしたが、明るすぎて高熱になるために地上ではすぐに消さないと切れてしまうそう。深海は低温なので、すべての機器が低温で機能するように設計されていますが、そうなると地上だと熱すぎてライトは切れるし、膨張によってオイルは漏れちゃうとのこと。整備が大変そうです。
後ろの方はマンボウみたいな形になっています。なんとなくカワイイかんじ。
▼「しんかい6500」<研究船・探査機<研究船・施設・設備<JAMSTECについて<独立行政法人海洋研究開発機構
ところでなんで6500mも深く潜るの?
しんかい6500 - Wikipedia自然科学調査を主目的とするフランス、自然科学および軍事を目的とするアメリカなどの保有する大深度有人潜水調査船を上回る6,500mという目標性能が設定されたのは、日本が世界有数の地震国であり、上記任務のうちでも、巨大地震予知に関連するプレート運動の観測が重視されたためである。日本列島の太平洋側海溝で沈み込む海洋底プレートは、およそ水深6,200~6,300m付近で曲がり始めており、地震予知の研究には、それら地点の重点的観測が必要と考えられている。
実は地震予知、速報と深く関係してます。
海洋・深海調査を支える日本海洋事業(株)|ニッスイの社会貢献活動(5/6)|ニッスイ企業情報サイト「かいれい」、「よこすか」、「なつしま」による海底地形の調査、海水の放射能濃度を測定するための採水、海底地震計の設置・回収、2011(平成23)年8月には「しんかい6500」による海底調査を実施し、一連の地震で生じた可能性のある亀裂や段差を発見しました。
海底深く設置した計測器により、地震予知や地震速報に役立てているとのこと。現在「ゆれくる」などで私たちが受けている地震速報はその速報性が重要ですが、
「そのうち3秒はJAMSTECが稼いでる」
と関係者がそっと漏らすほど。6500m潜れるしんかい6500ではなければできないミッションがそこにあるのです。海底の亀裂も発見して、地震の影響も確認しています。
2011<JAMSTECニュース<独立行政法人海洋研究開発機構2011年8月3日、JAMSTECの有人潜水調査船「しんかい6500」は東北地方太平洋沖地震の震源海域である、日本海溝水深5350mに潜航し、巨大地震の影響と思われる大きな亀裂を確認した。
潜航海域は、北緯39度07分、東経143度53分。
「しんかい6500」が撮影した海底の亀裂。亀裂は広範囲にわたり潜航中にそのすべての姿を確認しきることはできなかった。同地点は水深が5000mを超える大深度であることから、今後も「しんかい6500」や「かいこう7000-II」を用いて調査を進めていく予定だ。
普段深海で活躍してるだけに、なかなか目につかないですが、実は私たちの生活を支える重要な任務を背負っているんですね。
【関連リンク】
▼[N] 中川翔子「しんかい6500」で水深5,351mに潜水!
トイレも重要ですけど、地震もね。
次はしんかい2000とそれを搭載していた母艦、なつしまを紹介します。