「アルプスを越えろ! ルノー試乗第3弾はコンパクトスポーツ、トゥインゴ クープ・デ・ザルブ エボリューション」「小さいボディにぎゅっと凝縮! フレンチホットハッチのルノー・トゥインゴ クープ・デ・ザルブ(CdA)」のつづき。
このキャッチコピーを知っている人は同世代ですね。
全長3.6m、全幅1.65m、全高1.47m。
エンジンは1148cc SOHCターボ、100馬力。
馬力と全長はGA2シティと同じでGA2シティといえばダートラにジムカーナとモータースポーツに大活躍した、安い、速いでお馴染みのコンパクトスポーツ。一般市場では初代シティと比べ小さくなった、ターボがなくなったと受けませんでしたけど、実際のパフォーマンスは実績どおりです。
GA2シティはお金のない社会人一年目、ジムカーナに参戦するために中古で購入。色々なことを教えてくれた愛車でした。その愛車と同じサイズなんですからとても馴染みます。
まず乗って驚くのはそのパワー。トルクは145Nm/3000回転と、1300ccのGA2シティの最大トルクとは比較にならない最大トルクを3000回転という低回転で出すところ。つまり街乗りでもすぐさまパワーバンドへ入り、そのまま6000回転のレブリミットまであっというまに吹け切ります。これぞターボパワー、まさに
韋駄天!
韋駄天といえば韋駄天ターボ、EP71スターレットです。コンパクトボディに1300cc SOHCターボを装備、110馬力/6000回転、15.3kgm/3600回転を発揮し、こちらもモータースポーツで活躍。
このゴキゲンなターボエンジンのパワーをタイヤに伝達するミッションはもちろん男の5速マニュアル。的確なギアを選択してアクセルをひとたび踏めば、ミニバンや軽自動車がうごめく車群から一歩抜けだし流れをリード。
まさに街の遊撃手!
「街の遊撃手」のキャッチでお馴染みのGEMINIのCMはフランスの街中を走りまわっていましたね。そうです、フレンチホットハッチの真髄は街の遊撃手です。街中をキビキビと走る。メガーヌR26.Rはスゴイパフォーマンスですが、あのパフォーマンスを街中で気軽に楽しむことができません。
その点この100馬力のトゥインゴなら気軽にアクセル全開! もうそれだけで気分爽快、日ごろのストレスも吹っ飛びます。
夜の街を2速全開で駆け抜けるだけでなく、高速道路もご機嫌。5速100km/hでちょうど最大トルクを発生する3000回転。ということは一番加速できる領域。アクセルを踏み込むだけで、一気に追い越し可能です。日本の制限速度が100km/hというのがもどかしい。
さらにご機嫌なのが峠道。ボディ補強パーツによりしっかりとしたボディで足がスイスイと動く動く。スポーツモデルとは思えないくらい柔らかい足で一見頼りない印象を受けるのですが、ひとたびワインディングにいくとビシっとコーナリング。
なにこれスゴイ!
とにかくフロントサスの路面追従性が段違い。まるでタイヤが道路に張り付いて、その上にボディが乗っかっているかんじ。あれ、当たり前の表現だなあ、でも実際のクルマってボディにタイヤがついていて、路面のうねりやつぎはぎがあるとタイヤが路面から離れちゃうんですよ。そんな心配は一切ナシ、ペッタリとコーナリングです。
もちろんリアもついていくのですが、とにかくフロントの動きの良さが勝っている印象。コーナリング速度が速すぎて、サイドサポートのない標準シートではまったくもって足りてません。こりゃバケットシートが欲しくなります。
でもそうじゃないんですね。シートからずり落ちそうになる位のコーナリングができつつ、コンビニやショッピングセンターに気軽にいけるのがこのクルマのいいところ。サイドの張り出しがない標準シートで乗降性がよいのも大事なポイント。
屋根についた大きなサンルーフもそうです。太陽の恵みや自然の風を入れて楽しくドライブ。スポーツの観点から考えると屋根の上に40kgもの重量増は考えられないほどのハンディ。あのメガーヌR26.Rではリアウィンドウを全部ポリカーボネイト化して軽量したくらいです。でも室内が明るく、爽やかな風を入れられるサンルーフは、街乗りにピッタリ。
そうなんです、まさにあなたの街にマッチするんです。
「マッチのマーチがあなたの街にマッチする」でお馴染みの初代マーチ。こちらもターボ、さらにはスーパーチャージャーとターボがついたスーパーターボ、マーチRもありました。マーチRは生粋のモータースポーツ専用、レギュレーションに合うようわざわざ930ccまで排気量を落としてラリーなどで活躍しましたね。
そんな古き良き昭和の日本車のようなやんちゃさとスポーツ性を兼ね備えたルノーのエントリーモデル、それがトゥインゴ クープ・デ・ザルブ(CdA)です。
ただ単に昭和の香りがするクルマかというとさにあらず。そこがさすが、ベストハンドリングの称号を持つメーカーの奥深さ。
エンジンスペックやディメンジョンは当時の日本車に似ていますが、違うのが安全性を備えたボディ。1040kgの重量は当時の日本車より200kg以上も重いんです。しかし軽快感は同等かそれ以上。
軽快感と軽量さは必ずしも等しくなくていい。
そんな味付けが凄い。内装もしっかり、ボディもガッチリ。GA2シティなんてコーナリングするとGでボディが歪んでハッチバックが開くのが定番だったのでガムテープでハッチをとめていましたが、そんなことがあろうはずもなく。
40kgのサンルーフ装着でトップヘビーというハンディはありつつも、補強されたルーフ開口部に合わせてクープ・デ・ザルブで施されたフロアのボディ強化のおかげで止まる、曲がるという車両の基本性能がアップ。メガーヌもスペック以上に軽く感じましたけど、このトゥインゴも同じ。数値以上にとても軽く感じます。
軽薄ではない、軽快さ。
この味付けは一朝一夕にはできない、まさに秘伝のタレ、老舗の味わいです。
サイズといい価格帯といい、とっかかりはとても気軽ですけど、走れば走るほど手に馴染むフレンチホットハッチです。一家に一台欲しいなあ、街乗り最高ですよ。
このトゥインゴ CdAはシーフォ(SiFo)さんにお借りしました、ありがとうございます。
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