スプリングの固さを固有振動数で考える:車重・スプリング(バネ)レートから固有振動数を計算

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(MINI Clubman OHLINS DFV)

スプリング(バネ)も奥深いです。

車両に適性なスプリングレートってどれくらいだろう、と考えたときの目安として「固有振動数」があるそうです。

(1)スプリングバネ定数の考え方

a) スプリングの固さは「固有振動数」で考える

一般にこの固有振動数は1.0~1.5Hzの範囲で設定し、乗り心地を重視した車(たとえばシーマなど)で1.1Hz、スカイラインGTR(R32)1.5Hz程度である。

(中略)

一般に低扁平率のワイドタイヤなどグリップの高いタイヤをはくと、ハンドルを切ったときのコーナリングフォースの立ち上がりが早いので、ハンドルを切ったときのロールの挙動が大きくなる。したがって、スプリング、ショックアブソーバー、スタビを固めて姿勢変化をある程度抑え込んでおくことが必要となってくる。とくにサスペンションジオメトリーで抑え込めないロールは、これらのチューニングパーツで抑え込むしかないのである。

ロールを抑えたセッティングにするとキャンバー変化が小さくなり、タイヤを有効に使うことができたり、また、ハンドル操作時のシャープなターン人を実現できるのである。走りを重視する車がスプリングを固めていく理由がここにある。グループAなどのレース仕様だとレーシングタイヤにあわせて、ばね定数7~25kg/mmのハードスプリングを使い、固有振動数は2.5~3.5Hz程度まで固めていく(ここまで固めるとタイヤのばね定数とスプリングのばね定数が同じ様な大きさとなってくるのでタイヤのばねを考慮した検討が必要となってくる)

車両運動性能とシャシーメカニズム p.199~p.200

そこで車両重量とフロント、リアのスプリングレート、レバー比を入力すると固有振動数を計算するフォームを作ってみました。

【追記】レバー比の計算に誤りがあったので修正しました。二乗すべきところをしていませんでした。

【固有振動数計算】

車両重量 kg

フロントスプリングレート [kg/mm] フロントレバー比

リアスプリングレート [kg/mm] リアレバー比

固有振動数:

ストラット式だとレバー比は約1.0、S2000のダブルウィッシュボーンではレバー比は約1.5(フロント1.46、リア1.56)です。

株式会社 テイン よくある質問 車高調整・設定

車高を30mm下げようと思いロアシートを30mm下げたところ、車高が45mm近く下がってしまいました。どうしてですか?

これはレバー比によるものです。レバー比とはショックアブソーバとタイヤのストローク比の事で、この場合はショックアブソーバ1に対してタイヤが1.5です。ダブルウィッシュボーンはレバー比1.2~1.7で、ストラットは1.0。マルチリンクは約1.0~1.1位です。

【計算例】

参考までに、下記車種で計算してみました。

・ルノーメガーヌR26.R 1270kg
  • F 6kg, R 7kg(Rレバー比1.2と仮定)2.06
・MINI Clubman (OHLINS DFV)1270kg
  • F 6kg, R5kg (Rレバー比1.2と仮定)1.92
・S2000 1240kg(Fレバー比1.46/ R 1.56)
  • F 5kg, R6kg(OHLINS FLAG-S、ワンドラカスタム16インチ暫定仕様)1.39
  • F 8kg, R9kg(ワンドラカスタム 17インチ暫定仕様)1.73
  • F 10kg, R8kg(OHLINS DFV標準仕様)1.79
  • F 17kg, R18kg(OHLINS DFV のま仕様)2.48
  • F 20kg, R23kg(OHLINS DFV のま仕様最高)2.75

グループAのレース仕様で2.5Hz~3.5Hzということですから、S2000はいかにも固めすぎです。メガーヌR26.RはSタイヤ仕様で2.06Hzですからやはりしなやかといっていいんでしょうね。

一方ファミリーカーのMINIが約2.0HzとメガーヌR26.Rに近いというのには驚きです。でも乗り心地はとてもいいし、コーナーもしっかりしていて高速安定性もあるし申し分ないです。あとはもっとグイグイ曲がるといいなあ。いや、よく曲がるんですけどルノーの後だとやっぱり欲が出てきました。

みなさまの車の固有振動数はいかがでしたか?

【iPhoneアプリ】

↓ 固有振動数を計測するiPhoneアプリがありましたので、こちらもぜひどうぞ。

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cadic4d さんご紹介ありがとうございました!

しかしレース車両は別として、スプリングをあまり固めすぎると乗り心地が悪化するだけでなく、路面のうねりでタイヤが跳ねて接地性を失うこともある。たとえば、うねりのあるコーナーを走行するとタイヤが跳ねて瞬間的にグリップを失いコースアウトすることにもなりかねないのである。一般の車での固めすぎは禁物である。

車両運動性能とシャシーメカニズム p.200~p.201

はい、固めすぎは禁物です。つくづく身にしみます。

それにしてもこの本、「車両運動性能とシャシーメカニズム」は面白いです。色々な疑問がたやすく氷解しました。

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