FF(フロントエンジン、フロント駆動)全盛のこの世の中にあって、スマート フォーツーはリアエンジン、リア駆動です。この構造をとる有名な車といえばポルシェですが、残念ながら運転したことがありません。友人の空冷ポルシェの助手席に乗った感想としては、
・室内がとにかく狭い(笑)
・ブレーキすると前につんのめる感じじゃなくて、後ろから引っ張られる感じ
でした。
同じRRの構造をとるスマート フォーツーの走りはいかに。まず街乗りから。
街乗りではRRを意識することは余りありません。エンジン音も静かで、窓を閉めているとエンジンが後ろにあることなど忘れさせてくれます。遮音性は非常高いです。窓をあけるとエンジン音が聞こえますが、全体的にボディ下から響いてくるといった趣であまりリアエンジンっぽくないです。排気音はほとんど意識できないほど。
3気筒エンジンは振動が気になりますし、実際三菱iではアイドリング時の振動が後ろからひびいてきてお尻がもぞがゆかったのですが気になる振動は一切なし。それどころかそもそもECOモードON(デフォルト設定)ではアイドリングストップしますから停止中は振動も騒音もゼロ。3気筒のネガティブさはほとんどないといってもいいでしょう。
乗り心地ですが、これが非常に微妙。フニャフニャとは真逆なのですが、ガチガチとも違う味。フロントサスペンションは比較的よく動き、ダイブにリフトとピッチングします。一方リアサスペンションは余り動かない方向。マンホールやペイントでは特に問題ないのですが、路面の変わり目や高速の継ぎ目でドタン!バタン!として、場合によってはガツンとした衝撃が伝わってきます。リアサスのショックの伸び側が強くてサスペンションが伸びない感じ。
よくいえば重厚、悪くいえば硬い、といった印象です。軽い車にありがちなフワフワ感はないのでこれは好みですね。
ホイールベースが短いのでハンドルをちょっと切るだけで曲がるという先入観がありましたが、実際にはハンドルはたくさん回さないと曲がりません。どうやらロックツーロックが大きい上にタイヤの切れ角が浅いようです。
急激にハンドルを切った時にフロントタイヤが切れすぎてアンダー・オーバーが出る、横転の危険性が高まるといったことからあまり切れないようにしているのではないかと推測。ただこのセッティングのおかげか高速道路でハンドルがシビアすぎて直進安定性が低いったことはありませんでした。
ブレーキは面白くペダルがフロアから生えている、いわゆるオルガンタイプ。そのため最初感触に違和感がありますが、すぐに慣れました。タッチはかなり重いですがストロークに比例して減速Gが立ち上がる、懐の深いブレーキ。踏み方によってノーズダイブの量をコントロールすることができ、非常に好感がもてます。
アクセルペダルは普通どおり上から生えている吊り下げタイプで、ペダル自体が非常に小さく左にオフセットしています。そのためかなり踏みにくい印象。アクセルペダルとブレーキペダルは接近していて、左足ブレーキを使う私にはかなり窮屈でした。ちょっと右足がずれると右側にあるホイールハウスを踏みつけてしまい、余りアクセルが踏めないということに。
アクセルは(確か)DBW(ドライブバイワイヤ)を採用。アクセルペダルはちょっと踏んでもスロットルは余り開かない、いわゆる燃費志向のセッティングです。加速したい場合はたくさんアクセルを踏み込むしかないのですが、上記のように踏みにくい構造なのでダブルで燃費志向に。さらにミッションが執事風変速ロボで常に高いギアを選択、回転数は低いので踏み込んでもなかなか加速しません。
鋭い加速をする場合はシフトを自分で一段落として、アクセルを目いっぱい踏むのがよさそうです。なおタコメーターがついてないので、シフトアップポイントは執事風変速ロボにお任せするか、加速とエキゾーストノートから判断するしかありませんね。私は速攻でタコメーターを取り付けましたがw
さて次はワインディングでのハンドリングチェック。
曲がりくねった山道はかなりのポテンシャルがあります。特に下り坂は最高。よく利き、コントロールしやすいブレーキのおかげでフロント荷重自由自在。リアのリフトも少なく、全体的に沈み込むといった制動を見せてくれます。15インチホイール目いっぱいのブレーキディスクが安心感ありますね。このクラスでこれほどの大きさのブレーキってなかなかお目にかかれません。
コーナーではフロントが軽快に入るし、フロント荷重をかければグイグイとコーナリングができます。舵をあてて一定のアクセル開度で曲がっていきます。着座位置や視点は高いのですが、重心がさほど高くないためかロールも抑えられていて、かなりのハイペースで峠をクリアできます。これは非常に面白い。
気をつけなきゃいけないのは、フロントグリップ。155サイズとは思えないほどよくグリップし、よく曲がるのですが、ただよく曲がるからといっても急激に舵をあてると曲がりません。こんなところでもハンドルの切れ角が抑えられている、ロックツーロックが大きいのが効果があるのかも知れません。アクセルオフやブレーキできちんとフロント荷重、グリップを確かめて、早めにターンインをするのがよいといった印象です。
結構ロールをかけてコーナリングして、ラフにアクセルをあけるとVSAが効くようです。エンジン出力が抑えられたり、ブレーキがかかったり。少なくともドライ路面では姿勢が乱れるといったこととは無縁でした。
下り坂はスポーティにびゅんびゅん走れてとても軽快なのですが、その代わり上りがツライです。パワー不足で一旦速度が落ちると速度回復が大変。ミニバンにもおいてかれます、くやじーー。
マニュアルモードで低いギアを選択、高いエンジン回転数を維持すれば追いつけるのでしょうが、車のキャラに合わないですよね、あくまでもエレガントに静かに速いのがいいなあ。
ということでクルマの外見とは裏腹にサスペンションセッティングにハンドリングは十分にスポーティ。心臓となるエンジンが非力なのがちょっと残念といったところ。特にブレーキはすごくいいですね。下り坂のブレーキングではRRの重量配分の良さがでて、タイヤのグリップ性能を限界まで引き出している印象です。
高速道路編に続く。
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