山都(旧矢部町)の石橋:絶対に見ておいた方がいい通潤橋

ただし高所恐怖症の人にオススメできない橋、それが通潤橋。

DSC_8466

規模、機能美、そしてダイナミックな放水と三拍子揃った通潤橋です。これは本当に見ていた方がいい、素晴らしいのひとこと。

ダイナミックな放水ももちろん魅力の一つですが、この石橋(眼鏡橋)が他の石橋と違うのはやはりその機能美。水道橋としての機能を果たすべく水道管が内部を通っているのですが、それさえも石でできているのですから。

人を渡す橋ではない水道橋ですから、もちろん手摺なんてありません。

DSC_8429

NO 手摺、NO LIFE

なんかあるだろうと上がってみてびっくり。なんもないんです。落ちたらまっさかさまに、デザイアってやつですよ。さぞかし毎年犠牲者がでているだろうと思ったのですが、なんと転落事故はゼロ。過保護になりすぎない方がいいのかもしれませんね。ずいぶんと示唆的な話です。

通潤橋 - Wikipedia

高さ20メートル、長さ75メートルもあり、江戸時代に造られた石橋としてはアーチの直径ならびに全体の高さは国内最大である。常時人が渡れるもののあくまで水路のための橋であるため手摺等は一切無いが、これまで転落した人は一人もいないという。

示唆的とはいえ、はっきりいって崖っぷちに近寄ることなんて怖くてできませんよ。まさに怖気づくとはこのこと。

DSC_8510

これが限界。

DSC_8514

ダイナミックな放水はもともと水道管につまったものを勢い良く出す、浄化の意味があったそう。今では観光の目玉となっていますが、水道管の劣化にもつながるために年々少なくする方向といいます。補修を受けたとはいえ、もともと漆喰で作っている上すでに100年以上たっているものですからね。今もその威容を称えている方が貴重です。しかしこれは是非後世にも伝えてほしいものですね、NO 手摺のまま。

さてこの通潤橋、石組みも非常に特徴的です。

DSC_8426
DSC_8425

特に注目したいのが、橋の袂。土台となる鞘石垣は霊台橋が土塁のような丸みを帯びているのに対し、熊本城の武者返しをヒントに反り立つ壁のように作られています。そしてそこにうねるように積まれた石たち。特に曲面の接合部分はなんと石自身を削って曲面を出しているのです。うお、マジかよ!


DSC_8424

このこだわりにより遠景から見たとき綺麗に筋がでていて、美しさを際立たせているんですね。本当に芸が細かいです。

そしてこの通潤橋の資料館が道の駅に併設されていました。有料で中に立ち入る人は稀ですが、ここはお金を払ってでも入る価値ありです。

DSC_8624
DSC_8604

歴史解説、模型やジオラマはもちろん、この通潤橋の設計図の古文書まであるのですから。

DSC_8616
DSC_8622
DSC_8623

ふっふっふ、これさえあれば通潤橋を作ることが可能です。っていっても今更石橋は作らないか・・・

それはともかく、通潤橋がどういった経緯により希求され、そして技術的困難を克服して豊かな水を白糸台地にもたらしたかをよく理解できます。

ここだけで軽く半日はいれますね。また来ようと思いました。


【他の写真】

通潤橋 - a set on Flickr

【石橋関連エントリー】

美里(旧砥用町)の石橋:日本一の霊台橋 ([の] のまのしわざ)
美里町の石橋:小筵(こむしろ)橋 はひっそりと佇む ([の] のまのしわざ)
美里町の石橋:二俣橋(ふたまたばし)・年祢橋(としねばし)は一粒で3度美味しい ([の] のまのしわざ)
八代の石橋:郡築三番町樋門と二番町樋門は静かに時を刻む ([の] のまのしわざ)
日本の石文化:熊本県芦北町の眼鏡橋 ([の] のまのしわざ)