はい、ベジタリアンではありませんが、草食系男子です。
最近「草食系男子」と「肉食系女子」が増えているそうですね。この書籍では「非モテ」というネット界隈のキーワードを軸として、80年代から00年代までの男女間の関係性の変遷、特に恋愛・結婚についてをデータに基づいて分析しています。「下流社会」の系譜、続編にあたる本というと分かりやすいでしょう。
■下流社会 ([の] のまのしわざ)（ガンダムで読み解く下流社会）
■「下流社会第2章」踊る下流女の高笑い ([の] のまのしわざ)
今回もっとも面白いのは、アン・アン(an・an)の特集を80年代から追い、どう変遷したのか歴史を辿ったところです。
簡単にいうと1995年ごろを境にして、それ以前が
・草食系乙女全盛時代
そして1995年以降を
・肉食系女子成長時代
と分けていいでしょう。
草食系乙女とは、奥手、もしくは奥手を装うこと（＝ぶりっ子）で男性からのアプローチを待つタイプ。たとえば南野陽子のデビューアルバムの１曲目、「恥ずかしすぎて」ではまさにこの草食系乙女で、好きな男性の前であがってしまう乙女を、「接近」「話しかけたかった」でも男性に近づくのがやっと、話しかけたくても恥ずかしくて話しかけられない乙女心をうたいあげてます。普通に考えてアイドルとしてイケイケだった南野陽子が、男に翻弄されるなんてありえませんが、そういう乙女全盛時代だったのです。
そういった草食系乙女があこがれたのは、いまでいうチョイ悪風。つまりツッパリがもてた時代ですね。抱かれたい男性としては「藤竜也」があがるなど、渋い、大人の恋を教えてくれる男臭い男性がもてています。童貞力という言葉があるならば、草食系乙女は「処女力」を発揮してますし、じっさいカマトトぶる、処女を装うこともメリットがあるとして横行していました。
ドラマ「東京ラブストーリー」ではこの価値観がくっきりと現れており、「カンチ、セクースしよ」と誘った鈴木保奈美よりも、カマトトでぶりっ子な有森也美を主人公（だれだっけ）が選ぶことからも明らかです。
ところが1995年ごろを境にこの様相は一変します。
この頃から女性は大人の恋愛を謳歌しはじめます。具体的にいうと処女を大事にするといった価値観よりも、積極的に恋愛を楽しむことをしはじめます。そして好みの男性も男臭い、大人の恋を教えてくれるといった受身の体制から、醤油顔のイケメンを選ぶ方へとシフトしていきます。これはSMAPの台頭で明らかです。
この転換点を担ったのは、なにを隠そうIT。そう、ご存知携帯電話とWindows95の登場なのです。
OSとして初めてインターネットを標準サポートしたことで、インターネットメールが利用可能となりました。インターネットメールといったのは、当時まだパソコン通信があり、パソコン通信のメールと区別するためそう呼ばれていました。
携帯電話の登場により、家族の取次なしにダイレクトで連絡がとれること。
インターネットメールにより、秘匿して手紙のやりとりができること。
さらにインターネットの発達により多くの情報がリアルタイムで入手することができるのと同時に、出会い系など、自由恋愛を謳歌するツールも（女性は）無料で手に入れることができるようになったのです。
これをITの恋愛革命といわずしてなんと呼びましょう。
このIT恋愛革命により、受身だった女性は一気に攻めに転じるのです。そう、肉食化です。肉食化した日本女性は有志以来虐げられてきた自由恋愛を解禁し、男を選別しはじめたのです。同時に男女雇用機会均等法の実効性が出てきたことで、経済的にも自立できたことがこれを後押ししました。
一方の男性はアイドルが絶滅したことや、バブル崩壊の社会ストレスにさらされ疲れていきました。そこで求めたのが「癒し」です。癒し系タレント、飯島直子の登場、そして井川遥へと続く癒しの流れです。その間男性はどんどん弱くなり、草食化が進みました。結果として現代に至ります。
社会不安や情勢の変化がありますが、やはり大きな転換点にIT恋愛革命があったことは疑いようがありません。
「非モテ！」では冗談まじりに今の状況を打開するには「男性保護法」を施行するしかないと主張しています。いわれのない差別、無駄に高い要求を禁止し、男性が男性らしさを取り戻す手助けをしようというものです。漫画の題材としては面白いのですけれども、少し突拍子もないですね。しかし情勢は確かに切迫しており、私のまわりのアラフォー男子でも未婚者はチラホラと見受けられ、さらにうつ病発症者も多くいる事実をみると、これもあながち極端な話ではないかもしれません。
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