「下流社会第2章」踊る下流女の高笑い

転職市場は作られた

現在の日本社会では正社員、契約社員、アルバイト、パートなど様々な契約形態で労働し、頻繁に転職を繰り返すことが可能です。ところがこういった社会形態になったのはほんのここ10年ちょっとのこと。20年前まで、つまりバブル景気前までは終身雇用制度が一般的だったのです。ではどうしてこうなったのか。色々な理由はありますが、離転職を行うことで利益を得る市場があります。それが転職市場。

この転職市場を大きくするためには、流動人材を多くすることが必要です。ところが終身雇用で会社にいる人はまったく流動せず、転職市場には出てきません。ですからこれを促進すべく色々な「罠」がしかけられました。そのキーワードがこちら。

自分探しは作られたブーム

好きを求めて離転職する人が「開発」された

どこが開発したかは自明ですね。ってことで「自分探しをする」のもいいかもしれませんが、「お給料を貰うために仕事をする」というのも立派な労働の動機だと思います。

私も仕事柄、書類選考や面接を行うのですが、毎回とても気持ちがブルーになります。というのも1年前後で離転職を繰り返している人が多いからです。そういう人は、経験を積むことができずに次の職場に移ることが多いです。大抵の場合はそのときに持っているスキルでできる職場を選んでしまうので、職場に仕事がなくなった場合はすぐに次、とこの繰り返しになってしまいがちです。その結果何回も転職しているのにやれることはジュニアレベルに留まり、マネジメントスキルの向上や長期のプロジェクト経験がありません。二十歳代ならこれでも悪くないのですが、三十台となるととたんに不利になります。

もちろん給与待遇が上がることはありません。同レベルを維持するのがやっとでしょう。終身雇用なら会社にいるだけで昇給するというのに、転職を繰り返すと給与は上がらないのです(もちろん例外はありますけど)。

現在の格差社会はこういった状況により、さらに助長されているのではないか、そんなことを思いながら面接に臨むのでブルーになってしまうわけです。

現在の職場が嫌、不満、人間関係が良くないから、一度リセットしたいという理由で転職するのは、RPGでうまくいかなかったからリセットボタンを押してやりなおすのと同じです。時間は費やしているのに、レベルアップしません。

人生レベルアップを目指すのなら、辛抱、忍耐、耐久力が時には必要です。それが結果的に経験を積むことにつながり、どこかで「ちゃらりら~ん」という音とともにレベルアップできるのではないでしょうか。

三高神話はいまも

「三高」ってご存知ですか?知っている人は間違いなくバブル世代ですね。

・背が高い
・学歴が高い
・給与が高い

という3つの高いを意味し、バブル時代の女性が結婚相手に求めた必須条件です。バブルもはじけて、もうそんなこともないかと思ってましたけど、どうやらそうでもないそうです。というのも

背が高いほうが雇用されやすく、出生しやすく、結婚もしやすい

そうです。

背が高い方が有利ということは時代を超えているようです。ということはやっぱり幼少のころから牛乳たくさんのんでおかないとね。

女女間格差が広がった

女性が社会進出といわれてから数十年。女性が働くのは珍しくもなんでもない光景ですが、女性同士の格差は近年さらに広がっていると指摘しています。

特に既婚・正社員と未婚・非正社員の間がひどいといいます。

トランプの「大貧民」にたとえるならば富豪には良いカードが集まるが貧民には悪いカードが集まり、絵札がない状態。

実際にはそんなこともないのでしょうが、「意識」の問題としてそういう傾向が見て取れます。

そんな中でもっとも良いのはどうやら「専業主婦」になること、らしいです。これはまた私には意外なのですが、共稼ぎせずに生活レベルが保証されるというのはある程度の収入があるということですから、確かにそうなのかもしれません。

ただ私の身近な人たちで感じるのは

理系女性正社員最強伝説

です。技術職の場合は給与の男女間格差がないので、例えば同期・同年齢で結婚したらなんと給与は正確に倍。もうクイズダービーの問題みたいなもんです。そんなわけであっという間に住宅ローンも完済ですよ、凄いなあ。もちろん子育てで苦労しているのは分かってますけどね。

未来に希望をもてませんけど、知識として知っておくと良い本です。

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