PodCastingでJASRAC許諾を受けて商用楽曲を利用するには

- 想定

PodCasting(自分がDJとなり、自分の声を録音。それにテーマソング、BGMや、ジングル、効果音を付ける)。
それぞれの楽曲は一般にCDなどで売られているもの。
編集された音声および楽曲はMP3ファイル等に出力され、サイトにダウンロード形式で配置される。

- 商用、非商用配信の区別

まずここでは私たちのような個人、アマチュアが対価を得ることなくPodCastingをするケースを想定します。JASRACの規定では以下が非商用配信の対象となります。

「非営利団体又は非営利の任意のグループ若しくは個人が営利を目的としない配信」です。

例外)
1) 個人の方でも、個人事業主が自分の事業を紹介する、自分の所属する会社の紹介をすると「商用配信」

2) 商業用レコード等の配信(ただし当該商業用レコード等にかかわる権利者から特に非商用配信の許諾を受けている場合はこの限りではない)

3) 着信音(着信音専用データを含む)

なお配信してお金を得る行為はすべて「商用配信」とみなされます。情報料として一曲あたり課金、サービスメニュー全体での課金、広告収入がある場合はすべて商用です。サイトにGoogle AdSenseや Amazonのリンクが張ってあると「非商用配信」になりません。

2)は個人であっても、CDをリッピングしてMP3ファイルにしたものを配信する場合は「商用配信」となります。

3)は時代背景として、着信音からの料金徴収を意識してこれらの規定が作られたと推測されるので当然でしょう。携帯向けの配信は「商用配信」となります。

- 料金
「商用配信」の場合は月額最低利用料金が1曲で5000円なので個人が無収入で行うことは事実上不可能です。ですからなんとかして「非商用配信」になるようにしたいです。非商用配信にするには

a) 個人(または非営利グループ)
b) 無所属(会社などは駄目)
c) サイトは無収入
d) 商業用レコードの配信はしない(権利者から許諾を得るのは困難と予想される)

一般のブログサイトであれば、a) b)は容易ですね。c)はアフィリエイトをやっていると駄目なので、アフィリエイトなどないPodCasting専用のブログサイトを立ち上げる必要があります。

さてクリアする難易度が最も高いのがd)の定義です。「商業用レコード等」はFAQ18「CDを音源としてエンコードしたMP3ファイルを配信したいのですが」を見る限り商用配信にあたります(しかも権利者の許諾が別途必要)。ではCDやレコードを音源としなければ良い、つまりMIDIや自分で演奏したものなどであれば良さそうです。もしも権利者から許諾が得られるのであれば良いのですけれどもね。

JASRACの不思議)

- 1曲は1曲
1曲はCDでいうと1トラックのようです。長さとかステレオ、モノラルとか、ボーカルのみだろうが、オーケストラだろうが、BGMだろうが内容による区別はありません。J-WIDで検索して登録されている曲目が1曲の単位となります。

- 何年たっても同じ配信料
発表年月だとかはまったく考慮されていません。JASRACが管理しているものは何年たっても同じ値段です。

- 配信ファイルの品質の規定はなし
楽曲の品質は規定されてないので、着メロ3重和音だろうが、CDを192kbps でリッピングしたものだろうが同じ1曲です。

- フォーマットの規定もなし
上記に関連し、ファイルフォーマットの規定はありません。AIFF/WAVでもMP3でも、MIDIでも同じ1曲です。

- ファイルの数が曲数(FAQ55)
同じ曲を複数フォーマットで配信可能ファイルにするとファイル数だけカウントされます。たとえば MIDIで作った曲をMP3化して2ファイルを配信可能とすると、2曲となります。

JASRACは何もしない)

- 販売促進しない
集客するとか宣伝するとかしてくれません。ポータル作ってアクセス増加させるとかしてくれてもいいのに。「今日のラッキーJASRAC許諾サイト」とか。「アクセスランキング」とか。アクセス増加=売り上げアップですが。

- 実体を提供しない
曲にしても、歌詞にしてもJASRACは何ももっていません。30年前の曲を紹介したいが入手困難な曲で、歌詞も記憶が頼り。歌詞を正しく載せたいと思っても本人がレコードを入手するなどしないと正誤が確認できません。曲の権利は管理していますが、曲の内容は管理していないし、管理して提供する予定もなさそうです。

- 提供しない
商用利用の場合、アクセス数はサイト運営者が提供しなければなりません。つまり、自己申告方式です。1クリック広告みたいにJASRAC側で集計、料金を決定してくれません。電話でいえば借家にみんなが使う共用の電話がおいてあり、「使った時間だけお金をこの箱にいれて下さい」みたいな方式です(携帯ばやりのこの時代にこの例え話は想像しにくいよな・・・)。そして「不正が見つかったら違法で懲役または罰金」と来るんですから怖いですね。逆にFAQ108 「許諾期間中、利用曲数を減らしたのですが」にあるように、契約よりも実際の配信数が下回っても返金してくれません。多く使うと捕まり、少なく使ってもお金は返ってこないという、なるほどJASRACだね!と思わせる仕組みです。
なお、配信数を増やす場合は新しく別途契約を起こすことになるそうです。

- (信憑性のある)アクセス数が申告できないと利用させない(FAQ55,56)
アクセスログが出ないホームページサービスを利用したり、ボイスチャットのような不特定多数で誰がアクセスしたか不明確でないサービスの場合は商用利用であっても利用することが出来ません(非商用利用の場合はアクセス数をカウントせず、配信可能な曲のIDを申請します)。

非商用配信利用料金)

10曲、1000円/月(一年で10,000円)ですが、1曲であれば150円/月で計算されます。
150円/月であれば払える金額です。

以上から非商用配信を行う場合は「CDを音源とせず、自分で演奏したものを録音するかMIDI」のものを PodCastingに入れることが可能です。

しかしですね、元々演奏するとかMIDIを作るとかできないからCDをリッピングしたいと思うわけだし、本物の音を使うことで臨場感を出すのが目的なわけですから意味がありません。

結局「権利者の許諾を得る」ところにいかざるを得ないわけですね。しかしそれだとJASRACの存在意義が半減です。そうすると単なる徴税機関なわけですから、嫌われるわけですJASRAC。

万が一許諾を得ることが出来たとしたら、1トラックでものすごい長い曲を、ものすごくハイクオリティなレートで配信するとオトクではありませんか!?

また色々と調査します。