大学進学は就職に有利なのか?

昨今の就職戦線、大学を卒業しても就職できるかどうかわからないことや、奨学金をもらってまで大学進学する価値があるのか、卒業後返せるのかどうかなどいろいろな問題点が指摘されています。なかなか直感的に分からないことも多いので、統計データを調べてみました。


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大学卒の求人数と就職希望数の推移。

これをみるとバブル期、つまり私が卒業した1993年にはピークアウトしていることがわかります。リーマンショックがあった2008年前後のピーク(いざなみ景気)のほうが求人数が多いことが興味深いですが、一方で大学卒業者数も多くなっていることもあり就職しやすいといった声はあまり聞こえなかったような気がしますがどうでしょう。

さてその大学卒業者数の増加は何が原因でしょう。


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大学進学率をみてみると、バブル景気のはじまる1986年頃から1990年は合計で横ばい、その後一貫して増加基調。実は男子は45%前後から一時40%と逆に低下するのですが、女子の進学率が15%から45%へと劇的に増加するためです。このようなことから大卒の数が増加しています。

女子の大学進学率が上がった一方、減少したのが短大進学。

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1994年をピークとし、減少に転じています。これは就職氷河期に突入し、短大に入っても卒業後の就職口が分からないため大学進学に切り替えた影響とみていいでしょう。


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有効求人倍率と新卒求人倍率を比較するとそれは明確で、大学は就職というのは数字でも証明されています。有効求人倍率はいわゆるバブル景気やいざなみ景気、古くはいざなぎ景気の時に1.0を超えますが、それ以外では1.0を割り込んでいます。

ここ数年は有効求人倍率が1.0を超えていますが、これはアベノミクスの結果でしょう。


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日経平均株価を参考のためにみてみます。株価的にはバブル景気にピークアウトし、その後は横ばい。GDPも同じような傾向です。

以上から大学は就職に有利、というのはいっていいでしょう。しかしながら男性と女性とでその肌感覚は異なることは間違いありません。

男女雇用機会均等法が施工されたのは1986年、1999年に改正されておりそれまで総合職・一般職と別れていた女性が男性と同じ総合職、昇進も男性と同じとなったことから短大に進学、一般職採用、いい男性を見つけて寿退社、専業主婦というキャリアパスが廃れていきました。

一方男性は女性の社会進出により競合することとなり、就職が厳しく感じるようになったのかもしれません。なにせ基本的な能力、まじめさや集中力では女性の方が勝っていますからね。

そういったことから共稼ぎで子育てとなり育児所不足、待機児童問題が生まれたといってもいいでしょう。

5年後は?

中学1年生の子供は5年後には大学進学の年。たしかにこのデータを見る限り大学に進学したほうがマシとも思えますが、ここで注目したいのが高専です。

高専は統計上短大扱いで男性の短大進学率は横ばい、多少低下していますが即戦力となる高専卒業生の求人倍率は実に4倍(ソースは東京高専の学生)。バブル期の求人倍率を超える高倍率です。

高専からは大学に転入するパスもあり、さらに大学院へと進学することも可能。一方大学に進学した場合、卒業までは必ずいる必要があり、2年で中退して就職、というのは難しいです。つまりフレキシビリティの面では大学は不利です。

いつまでも大企業に新卒で就職、というパスもどうなるかわかりません。未来を予想するのは難しいですね。


グラフ詳細

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