ビートの人気の秘密

デカビートのエントリーに結構反響があり、ビートの人気の高さに驚かされます。

当時ちょうどバブルはなやかし時代。オープンでいえばCR-Xデルソル、軽自動車でいえば AZ-1やカプチーノなど百花繚乱でした。その中でもビートはHONDAにとってNSXにつぐミッドシップ、しかも4連スロットル装備、NAで64psを絞り出す高回転エンジン。さらにはシティカブリオレ以来となる幌のオープンという特殊な車。当時学生だった私も興味津々、丁度雑誌取材のアルバイトを紹介してもらい、それは東京から富士の裾野までビートを運転して運ぶというもの。喜び勇んでやったなあ。その後何年かして、当時会社の同期だった奴がビートを購入しやがった。これは無理矢理?合鍵を奪い取り、なんどか運転させてもらったりしましたね。

そんな経験からビートの魅力を思うに、ビートとはバブル時代の落とし子という成立背景とは裏腹なところなのかなと。バブル時代というのはお金がすべてで、貯金よりも借金が多い方がよい、お金持ちになれると真面目に信じられていた時代。地上げが一般的で、どなかいとダンプが家に突っ込んでくるのは普通。古い家をつぶしてマンションやビルになっていく、そんな状況下で銀座はつかまらないタクシーを待つ、終電を逃した会社員が徘徊していた頃。車もひととおり豪華装備が付き、サイズはより大きく、排気量もより大きくなっていた時代。それなのにビートは

- 荷物は載らない
- パワーはない
- 屋根もない

とないないづくし。さらに五月蝿いからBEATという名前がついたというくらいの騒音。標準のオーディオは車速感応型ボリューム(高速になると自動的にボリュームが大きくなる機能)がついていた位で、100km/h超えたらカップルの会話は不可能。さらに五月蝿いわりにはそんなに早くない。

その代わりに得られたのがオープンの爽快感と、ダイレクトなレスポンス。ハイパフォーマンスではなく、スポーツでもなく、ハイレスポンス。性能ではなく、感性。それがビートが今なお愛される理由ではないかと。デカビートもそういう意味ではエンジンがやたら高出力だったり、荷物がやたら載ったりしない方がいいのかも知れませんね。