国が滅ぶ5秒前(参院選雑感)

F1ブリティッシュGPが参院選報道で遅くなったのに腹立ちながら、ちょっと考えてみました。

政治家とメディア(TV)と民衆(選挙民)の関係を整理します。
まずメディアは民衆の鏡です。メディアは報道をする機関、ではなく、民衆が見たいものを提供する営利団体です。ですのでTVに限らず新聞、週刊誌やスポーツ新聞、夕刊紙、はたまた雑誌に至るまで民衆の目を引く話題を提供するようになっています。

民衆は基本的に政治に興味がありません。特に女性はありません。女性が興味あるのは芸能人の私生活やスキャンダルだけです。それは「女性自身」や「週間女性」を見れば分かります(と宮脇檀さんが書いていた)。

では男性が政治に興味があるかというと、もっとありません。男性が興味あるのはオンナの裸だけです。それは週刊誌のグラビアを見れば分かります(出典同じ)。

新聞では政治面があり形式上は政治を報道しているかのようですが、実際には近視眼的な記事で紙面を埋めているばかりで長期的視野にたったものはほとんどありません。

さて次に政治家とメディアの関係です。メディアが新聞だけだった時代と、TVがメディアの中心になった現在では政治家のあり方が違うようです。政治家は選挙活動をする場合にもっとも重要なのは「政策」のはずでした。しかし今選挙を左右するのは「知名度」です。そしてその「知名度」を得るにはTVへの露出が欠かせません。その証拠に芸能人、スポーツ選手ばかり目立ちます。これは政治がTVを通してより民衆のレベルに近づいた、下がったということの表れではないかと思います。他は2世、3世議員か、秘書あがり。血がつながっているかどうかの違いこそあれ、世襲的に政治家をやっている一族が占めます。

問題は政治家が民衆のレベルに下がった点にあります。民衆は国造りなんて興味ないのです。興味あるのは芸能人スキャンダルと裸だけです。あとは生活に密着したお金関係だけです。税金、健康保険、年金。そして今まさに議論されているのはこの点です。民衆の興味のあるさしせまったお金の話だけで、年金が未納かどうかという枝葉末節な話題でメディアの貴重な紙面と放送時間が埋められ、税金で成り立っている国会がムダに空転するのです。そんなことよりもっと大切なことがあるでしょう?

長期的視野にたった場合、国の財政が最も危険で急務のはずです。年金崩壊はシナリオ通りで政治家は知っていたことです。民衆が気付き、メディアが騒ぎ立てるまでほっておいただけです。しかし赤字国債による国の債務超過は国が滅びます。でも国が滅ぶって?さすがに想像もつきません。日本ではそんなこと起きたことがないからです。世界を見れば国が滅ぶことって頻繁ですよね?ということはありえる話です。

さて選挙に戻ります。今回民主党が「躍進」とかいう言葉で評価されていますが、自民党の落選してしまった議員や、当選した民主党の議員にとっては重要ですが体制にはまったく影響ありません。特に参議院は与野党が逆転したとしても法案を可決、否決する最終的な権力を持っていません。戦前の二院制、貴族院を踏襲して議員を多く養うための受け皿になっているに過ぎないのです。参議院の任期は6年。一度当選すれば6年もの間、権力の場にいられるのですから美味しいです。美味しいからさっき指摘したように政治家一族が世襲的に受け継いでいるのです。

現状を見れば衆議院のみが立法機関の役割を担っています。参議院選挙は民衆にとっては人気投票や世論調査であり、政治家の就職試験の意味しかありません。

では何をすべきか?

民主主義政治、代議員制度のやりかたはいくつでもあります。一院制でもいいし、議員の定数はもっと少なくてもいい。選挙制度にしても普通選挙だけでなく制限選挙、小選挙区制と比例代表制のありかたなど問えるはずです。今のシステムは政治家にとって美味しく、そして第一党の自民党にとって有利な制度になっています。そうでなかったらとっくに改正しているはずですが、そうしないのがその証拠です。野党も自分が第一党になればその旨みが自分たちのものになるのであえて改正しようとしないように見受けられます。

所詮議員が自分たちに不利な立法をするはずがありません。それが民衆のレベルに近づいたという真意です。民衆は自分の利益しか興味ありません。政治家が自分たちの利益、利権を守ってしまう限り改革はないでしょう。政治家ではなく、政治屋と呼ばれても仕方ありません。

民主党が躍進した今回の選挙ですが、10年後振り返ってみて思い出せるほど革命的なことではないでしょう。ここ10年間で与野党逆転したことがありますが、思い出せますか?出せません。民衆は目の前のことしか興味がないので忘れてしまうのも早いです。

もしも理想に燃える本当の政治家、政党であれば、財政赤字や選挙制度改正を論議するべきところではないか?と思いながら、自民党と元自民党党員の民主党が戦っている風の選挙報道を見る白々しさに飽き飽きしてしまいました。

それでも投票しました。それが自分のできる唯一の参政なので。