様式美と日本ブランド化するPerfume:Perfume 4th TOUR 東京ドーム参戦レポート #prfm

perfume tokyo dome day1

大阪はスキップして今回は東京ドーム、2日間参加することにしました、Perfumeライブ。

ここ最近は、といっても1年半くらいは狙って小さめの会場に参加。JPN Tour 打ち上げパーンで沖縄、WORLD TOUR 1stでは香港、WORLD TOUR 2ndでドイツ、ケルン。規模だけみるとどんどん小さく小さく、1000人規模から数百人、特にケルンは200人くらいしか入らないのではないかという学園祭状態の狭さ。

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そして今回の東京ドームで約5万人とポーンとでっかくなりました。そのギャップたるや相当です、200倍!

1日目は1F1塁側スタンド、2日目はアリーナ左手奥、ちょうど花道、出島の側でその近さといえばそれこそドイツのライブ会場と同等。これはテンションあがりました。

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Perfumeにとって東京ドームは今回が3年ぶり、2回目。中に入ると球体、Sphereををモチーフとした大規模セットが組まれており、その大きさはドームの中にさらにドームを作ったの? と思うほど。白い半球はそのままスクリーンとなっており、ライブが始まりLEVEL3のオープニング曲「Enter the Sphere」が流れるとともにスクリーン上に3人の姿が映し出されますがまだ本人は見えません。

そして球体の最上段に登場、観客のテンションは一気に高まります。

4万5千人の観客、といっても全員が全員熱烈なるファンということはないはず。にも関わらず、明らかに3年前のドームとは雰囲気が違います。前回は規模をどんどん拡大していってついにドームに到達した、アゲアゲ、富国強兵政策的な Perfumeの最果ての地だったわけで、観客もどちらかというと「今話題になっているからちょっと見に行ってみようか」的な、興味本位、物見遊山な人も多かった一方、密接な空間を楽しんでいた古参ファンからするとちょっと手の届かない存在になってしまった寂寥感が入り混じった雰囲気でした。

ところが今回はちょっと違います。まず・・・女性が多い! とにかく多い。どれくらい多いかというと、前回の東京ドームに至るまでの会場、武道館や代々木体育館、といった場所でトイレの混雑は圧倒的に男性がひどく、それこそ30分待ちだったほど。ところが今回はかなりスカスカ、一方女子トイレは相当混雑していました。

そして歓声。「男子ぃー!」に対しての低い声に対し、「女子ィー」の掛け声に対する高い歓声は見劣りしない声量で、明らかに女子率の高さを示しています。

そしてアルバムLEVEL3の所持率の高さ。ほぼ8~9割が持っているんじゃないかという位で、聴きこんでの参戦。ですからみんな予習バッチリ。Perfumeのライブはどんなもんなんだろう、ではなく、LEVEL3のアルバムがライブになるとどう見せてくれるんだろう、という期待感への変化です。

Enter the Sphereからその期待感を裏切ることなく映像化、実像化したことに対して、テンションMAXなのです。

変化は観客だけではありません。いやむしろ、Perfume、チームPerfumeに大きな成長があったというべきでしょう。

今回のライブ、実は構成自身はこれまでとまったく変わっていません。構成とは、

オープニング - 曲 - MC - ... - 衣装替え用映像 - 曲 -MC - P.T.Aのコーナー - エンディング - アンコール

といったもの。特にドームならではのフォーマット、移動用のクルマで一周するとか、クレーンで2Fの高さまであがるといったところまで、前回の東京ドームとまったく同じ。あけてびっくり、という仕掛けは一見ないように見えて、もはや Perfumeのライブのフォーマットが固定化、偉大なるマンネリに突入していたのです。

マンネリ

エンタメ業界に限らず、飽きられることは怖いです。だから常に新しいこと、新しいことをしようとして、仕掛けていくことが多いです。いわば挑戦。しかし全部が全部成功するわけでもなく、逆に新しいことが受け入れられずに新しいファンのみならず古参ファンすらも離れていくケースもあります。逆にこれまでやっていたことを続けることに、勇気がいります。

マンネリというのはもともとmannerism、「様式主義」「形式主義」で文学・芸術・演技などの表現が型にはまっていることをいいます。つまりマンネリになればなるほど、様式美が問われます。

Perfumeのライブってどんなの? と問われたときに毎回違うライブ様式では、観客の受け取り方が様々です。Perfumeライブとはこれだ! という一つの確たる形式が必要なのです。幸い武道館以来、大きなハコで試行錯誤を繰り返しながら Perfumeライブの形はきまってきました。まるで大きな岩が川の流れによって角がとれ、綺麗な丸い石になったかのように。それが今ある、Perfumeライブの様式美、マンネリズムの真髄です。

ではその中身、コンテンツはどうか

これはもう、違います。段違いです。3年前の Perfumeと同じではありません。この3年間で彼女たち自身の、そしてチーム Perfumeがいかに成長したか、試練に打ちのめされながら立ち上がってきた足跡をすべて出し切ったのではないかと思うくらいの、ながいながいプロジェクトの最終章を見る思い。

全編を通してクオリティの高さを見せつけられたのですが、特に分かるのが、Sleeping Beauty、いわゆる衣装替え曲から Party Maker、Spending All My Timeへの流れ。

ここでの映像はこの1年間の足跡、カンヌでありWORLD TOUR2 ヨーロッパを振り返りながら東京ドームへと戻ってきた Perfumeを宇宙視点で捉えています。東京ドームのセットを見下ろす巨大化した3人、自分たちのポリゴンモデルをミニチュアのステージに配置、そして同じくポリゴンモデルの観客をピックアップして見せるのですが...このポリゴンモデル、実際に当日、ライブ直前に3Dスキャンした観客自身のデータなのです!

perfune tokyo dome day2

しかもその観客本人をカメラ映像で抜いて見比べるという技。え、え、どうして、どうやって!?

この映像の大部分は当然事前に作られているはずですが、一部はライブ直前まで、いやライブ開始後もまだ完成していないのです。観客のデータをレンダリングして編集して完成、つまり映像制作までライブ!

衣装替え曲ですよ、本来時間稼ぎですよ。

そこにまさかの映像制作ライブを見せるなんて。しかもその世界観。これこそがこの1年のPerfumeの活動であり、これからの行き先を暗示するもの。

3年前の東京ドームライブからライゾマティックスが参画していますが、今回のライブはそのライゾマのライゾマらしい部分、スピード感、映像美がいかんなく発揮されていました。しかもこの1週間前には PRFM Playerなるソーシャルミュージックプレイヤーをリリースするなど、その八面六臂の活躍には驚くばかり。PRFM Playerは再生している曲情報を共有し、つぶやけるといったものですが、今現在同じ曲を何人の人が聴いているのか、どの曲が人気なのかが分かることで、単なる再生アプリの枠を超えています。

Spending All My Timeはカンヌで見せたプロジェクションマッピングもバージョンを変えてみせてくれます。でかい、スクリーンがでかい!

そしてカンヌでは前からの映像だけでしたが、なんと東京ドームでは後からもマッピングしたんですよ!

センターステージで後ろからも見られることを考えてですが、いやいやどうして、もはや衣装360度フルプロジェクションマッピングといっても過言ではないです。そしてもちろんですが、Perfumeの3人の動きにシンクロして映像がついていくんですからね。オーマイガッ!

Party Makerも音とダンスにシンクロして動く映像といったように、その巨大なドームと完全に一体化し、我々を翻弄。生身のPerfumeが機械を通して巨大化したような錯覚を覚えます。この瞬間ドームはアプサラスIIIに。

メガ粒子砲は巨大なスピーカー、小さなザクヘッドが Perfume本体です。そんなイメージ。球体を使ったイメージが東京ドームとSphereのセットに重なります...え、重ならない?

ガンダム脳はおいといて、日本の至宝 Perfumeが日本の技術集団 ライゾマと邂逅した集大成がここ東京ドームライブだったということです。

世界で戦うのは並大抵ではありません。そこにオリジナリティ、軸が求められます。何が軸なのか、originなのか。日本発であるからには日本の何かしらの要素が必要です。カワイイ、華奢な女の子が生身でダンスをするという軸に、日本のもつイメージである最先端技術、映像であり、ロボット・サイボーグ的ななにかをラッピングすることで、より日本らしさを感じてもらえるというか。簡単にいうと美少女とロボット路線です。

カンヌだけ、ライブだけ、を見ていると断片でしかなかったものが、この東京ドームのパフォーマンスをみて、すべてがつながりました。

ああ、なるほど、Perfumeは日本を代表するブランドになるのだなと。

ブランドというものは様式美です。例えば自動車のデザインや、ファッションがそうです。

ルイ・ヴィトンはLVのマークが配置さえしていれば、それはもうどんなアレンジを加えようとも誰もがLVと分かるわけで、バリエーションとしては様々ですが、その様式は決まっています。自動車でもBMW、ベンツが一目みて分かるように、MINIやFIAT500、ワーゲンが現代に復活してデザインやエンジン搭載位置が変わろうとも、それがそれとして分かります。

オペラにしても、ミュージカルにしても、ヒットしたものがロングランした場合はかたくなにオリジナリティを守り続けます。そのオリジンがどこにあるのか、という軸はぶれません。

だから Perfumeのライブを見た時に、ああいつものアレだよね、という安心感をもちつつ、参加者が、ファンが一緒に成長していくのです。定番のP.T.A.のコーナーももはや詳細を丁寧に教えることなく、誰もがMy Colorでフリをやれるようになっていることからも分かります。

Perfume自身、そして観客自身が参加してこそ成立するPerfumeライブ。

不変の様式、そしてレベルアップしたパフォーマンス。これが前回東京ドームの重圧につぶされかかった Perfumeが、今回自由自在に振りまわしたゆえんでしょう。まさにレベルアップ、まさにアプラサスIII、無敵です。

サンタ、サンタ、トナカイ、トナカイ、サンタ、トナカイ、サンタ、トナカイ、ゆっきだるま!

観客振りまわし過ぎです。

さてWORLD Tourはアジア、ヨーロッパと続きましたが、まだまだ大きなリージョンが残っています。そう、アメリカ

いつもなら発表があるライブ最終日。しかし今回何も発表がありませんでした。来年の計画が白紙? いやそんなはずはありません。必ず期待を裏切らない、いや良い意味で期待を裏切るニュースがあるに違いありません。それまで LEVEL3を聴きながら、余韻を楽しみましょう。

ゆっきだるま!

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まさしく次のレベルへ。