【Amazon】 ソニー デジタルスチルカメラ Cyber-shot RX1(35mmフルサイズCOMS) DSC-RX1
これまで日本といえば日本製品、電気に自動車がその代表的製品。しかしここドイツは同じ工業国、しかも明らかにドイツの方がその歴史が長く、高い品質に当然プライドも持っています。そんなわけで自動車でいえばドイツ国内での日本車シェアは低く、唯一日本製品がドイツと互角かそれ以上に活躍しているのはカメラくらいなものです。そうです、問題はカメラです。
日本におけるローカルアイドルとして発生して成長した Perfume、そのPerfumeがヨーロッパ人に「見つかる」までに至ったのはインターネット、ソーシャルメディアの普及、特に動画共有サイト Youtubeの存在が大きいです。
昨年世界的にヒットしたカンナムスタイル、そして今年爆発的に広まったマカンコウサッポウ、どちらも国境や言語を飛び越えてネット上で流行しました。
Perfumeへのファーストコンタクトが Youtube、そして今ライブで登場した本物のPerfume。この感動をどう伝えたいか、もちろんネット上です、Youtubeにです。
ということで問題はライブをカメラで撮影する行為です。
旧来、というか公式にはライブを撮影することは禁じられています。しかしながらこれだけのカメラ付携帯電話の普及の前に有名無実。昨年のWORLD TOUR1の時もライブ中の撮影にびびりましたが、今回も多くの人がライブ中スマホやデジカメで撮影していました。
モラル的にはイカンのです、当然のことながら。最初のSAMTが終わったあと、あ~ちゃんからも「ライブは私たちとみんな(観客と)の秘密だから、(撮影はやめてね)お願い」とされたにもかかわらず伝わり切らなかったのか、やはり撮影が完全になくなることはありませんでした。
ライブを撮影したい、この感動をTwitter/Facebookで共有したい
この衝動はまるで恋だね、なんてボケている場合ではありません。ライブパフォーマーにとっては由々しき事態です。しかし現実には収まるどころか、激しくなる一方です。私が見たこともない「だいじょばない」のライブに期待したのも、こうしてライブ会場で無許可撮影された映像をYoutubeで見つけたからです。
このカメラ撮影の是非を問う前に、日本の功罪を問わなければなりません。というのも、この「記念撮影文化」は日本が、日本人が作ったからです。
その昔、観光といえば風光明美な場所にいって、記憶に焼き付けるものでした。
そこに登場したのが戦後復興、経済成長して裕福になった日本人観光客。かれらはパックツアー、団体旅行で旗をもって先頭を歩くガイドの後ろにゾロゾロと連なり、名所旧跡を巡ります。そして必ず行うのが「記念撮影」。撮影が目的なので、見ることも知ることもおろそかにしてその場を立ち去ります。これをみた世界の人たちは、日本人のステレオタイプとして
・眼鏡をかけている
・首からカメラを提げている
ことを特徴としました。特に一時流行した農協の団体ツアーは田舎者丸出し、旅の恥はかき捨てといって我がまま放題ふるまう姿は忌み嫌われたものです。
そのカメラ撮影文化を背景に発展してきたのがキヤノン、ニコンといったカメラメーカーであり、フジフイルムといったカメラ・フィルムメーカー。
そして写真の次にやってきたのが動画、ビデオです。
ソニーはCCD-TR55でパスポートサイズという超小型軽量のビデオカメラを世に送り出し、パスポート=海外旅行での撮影というダイレクトなイメージ戦略で成功、観光旅行にビデオ撮影という文化を創出します。1989年発売。
[Sony Japan | Sony Design|History|1980s]
最初光景は「記憶に焼きつけるもの」と見下していた海外の人ですが、その面白さに目覚めてあっという間にカメラ、ビデオカメラが普及。この流れはデジタルになっても留まるどころか加速。デジタルスチルカメラにデジタルムービーは全世界に普及しました。
そもそも携帯電話にカメラをつけたのもJ-PHONEが最初。PCにカメラをつけたのも、ソニーが最初。そしていまやスマホにカメラが付いているのは当然、そしてそのカメラに使われているセンサーにソニー製が少なくありません。
スマホでライブ撮影、Youtubeにアップされてしまう...実はその文化の底辺には日本の歴史が深くかかわっているのです。
だからいくら天使のあ~ちゃんがお願いしたとしても、一度習慣づいてしまった動画撮影・Youtubeアップを簡単に止められるわけではありません。もはや中毒といってもいいでしょう。
これはクール・ジャパン、日本文化の表と裏の部分で表裏一体。表面としてのPerfumeライブパフォーマンスであれば、裏面である違法動画撮影・アップロードに対抗するには唯一の手段しか残されていません。
・公式で誰よりも早く・高品質で配信してしまうこと
です。すでに公式チャンネルでその流れはきており、PVやライブが配信されています。違法動画にたくさんアクセスされるくらいなら、公式動画にたくさんアクセスしてもらった方がいいです。
こちらは森高千里ライブでの記念撮影の模様。私も実はバッチリ映っています。Perfumeも以前撮影し、写真集に掲載したことのあるライブ会場でファンとの記念撮影です。こういうことをどんどんやるべきです。
そしてもうひとつはロンドンのようにライブ中継を行うこと。
つまりライブという現在進行形のコンテンツを同時性をもって配信することで、各個人がわざわざ写真とる必要ないよね、それよりも今あるライブの雰囲気を楽しもう、記憶に焼き付けよう、という気持ちになることです。つまり原点回帰。
ビジネス的側面を考えたとき、例えばドイツ公演が800名動員だとするとまったくもってやる価値がありません。なにせ5万人入る東京ドームを満杯にできるアーティストですよ、それがこんな遠くの国でたった800名のためにカンヌで見せるコンテンツを生で見せる学園祭ライブ的ドサ回り。こんなことやらなくても問題ないわけです。が。
これをロンドン公演のように、日本だけではなく、全世界の映画館をつないでライブシネマとしたときに新しいビジネスの可能性がみえてきます。そうです、ライブの再電子化です。
Perfumeを知ったのがネットだとすると、今度はネットを使ってライブを電子化し、全世界に配信しなおすです。これをやるとたとえライブ会場、目の前にいるお客さんが数百人だとしても、全世界の映画館にいる数千人、数万人の観客にパフォーマンスを伝えることができるのです。
ライブは会場のキャパ、つまりハコの大きさでその動員数は規定されます。それに押さえたとしてももし読み誤った場合は調整のしようがないリスクもあります。その点、小さなハコをネットでつないで会場とするこのライブシネマはチケットの売れ行きで調整することができます。いわばサーバーの増設に対応可能なクラウドと同じ概念。必要なときだけ、ハコを増やせばいいのです。
そうなるとまた「ライブ(生)」ってなんなの? というところに舞い戻るわけですが、電子化された情報が世界を駆け巡る、ネットの海の向こう側で起きていることと、いままさに目の前で起きている本当のことの間がこれまで不可逆、そして情報量の大幅な欠落が起きていたのに対して、Youtubeからライブへ、そしてライブからネットへと自由に行き来できる時代になってきたのです。
その証左が Perfume Global Siteの取り組みであり、氷結ライブ(Hurly Burly)であり、カンヌであり、10人のかしゆかなのです。10人のかしゆか、Perfumeは電子化することで増殖可能であることを証明しました。そしてライブ配信により、ライブ会場は増設可能となりました。
実は日本というのは海外からみると「ミステリアス」な国。というのも言語も分からないし、何がおきているのか、海外への発信力がとても低いからです。その点音楽や映像、写真・動画は言語不要です。ネットを介することで逆に日本文化にとって壁がなくなるのです。
ですので違法動画アップロード、即削除というのは実は悪手です。パトリックくんやヨハネスくんのように、まったく情報源がなかったところからYoutubeで出会ったことを考えると、動画削除は雑草を抜こうとして種まで根こそぎもっていってしまい、芽も出なければ花も咲かない結果となるからです。
前述のように、雑草を抜くのではなく、強く綺麗な花を公式で咲かせた方がいい、となるわけです。そうすれば誰も雑草の小さな花に目を向けることはありません。
コンテンツがライブからCDに変換されたように、今はYoutubeへと変換されます。もうそれは仕方ありません。あ~ちゃんが秘密、といってももはや抑えるのは無理。
そして日本が過去広めた観光の目的は写真をとること、ではなくその場所を五感で感じ、記憶に焼きつけること、原点回帰させることが今の日本文化、クール・ジャパンの課題の一つではないかと思います。
公式でネタばれ発信する時代になった時、「ネタばれが怖い」という人もいるでしょう。これはF1放送と同じです。ライブ中継を見るか、ネットをシャットオフするしかありません。これからフジTVの録画放送をみようして間違ってasahi.comを開いた瞬間、「F1シューマッハ優勝」と書いてあってガックリくるという、あの残念感。だからもう録画じゃダメなんです。ライブです、同時性が大事なのです。そのためにPerfumeは電子化を強力に推し進めているのです。まさに草薙素子。
電子化の果てに待っているのは何か、 Perfumeがもしかしたら時間=人の寿命を越えるかもしれません。というのもアイドルには寿命が必ずあるからです。引退だけではなく、結婚や出産もそうです。これを越えられたらあ~ちゃん、のっち、かしゆかという外界とのインターフェースのみが残り、中身は電子化されまさにアイドルとして不老不死の世界へ入ることができます。
まあそれがいいか悪いか、幸せかどうかというのは、まったく分かりませんが、少なくともその片足は突っ込んでいるといっていいでしょう。なにが言いたいかというと、WORLD TOUR2直後のかしゆかスキャンダルにじわじわショックを受けているということです。
だからこそライブで記憶に焼きつけること、が大事なのです。記録は風化します。記憶は美化されます。美しい思い出とともに、人生を歩み、閉じたいのです。
ドイツ楽しかった。
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