のまのしわざ

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LFAがいかに凄いか、よく分かるスーパーファクトリーシリーズです。

このシリーズは他にはGT-Rやポルシェ、ランボルギーニなど世界のスーパーカーの工場に潜入、密着取材することでそのモノ造りの真髄を引き出そうというものです。LFAは雲の上の存在というか、台数も限られており街中で１度も見たことがないこともあり余り興味を持っていなかったのですが、これは凄い。

2008年で撤退したトヨタF1。このF1のために作られた工房は当時閉鎖されていたのですが、LFAの生産にあたって再び開けられたとのこと。

カーボンモノコックで作られたボディシェル、このカーボンは当然F1技術が反映されていますし、V10エンジンもヤマハで設計されていますが、精密加工は同じくF1工房の機材を使って仕上げられています。そういったこともあり、もともと1000万円台で販売する予定だったものが3750万円と急上昇、それでも限定500台、1日１台の生産ペースということで採算割れとのこと。あれ？

塗装にしても、組立にもして、なんとここにはいわゆるベルトコンベアがありません。すべてが職人による手作り、最先端の車にもかかわらず、作り方はなんとイタリアのスーパーカー工房並みの手作業がほとんど。そのイタリアのスーパーカー工房ですら、現在ではラインが導入され効率的に生産をしています。それで1500～3000万円くらいの車を毎日何台も完成させ、販売、当然利益を確保しています。

トヨタはこのLFAを「レクサスのブランド価値向上のため」、採算度外視で開発、販売したといいます。

▼LFA ニュルpkg。リアカーボンウィングはなんと１ピース、歩留まりが悪く何べんもやりなおしたとのこと

でもこれを購入できるのは限られた500人、しかも3750万円のお金を払える人のみです。でも実際の車の価値はもっと高く、バーゲンプライス、例えば5000万円の車が3750万円で買えたとしたら1250万円も安くなった、お金がもらえたようなものです。

ここでハタと気付きました、何かがおかしい。

その赤字分はどこから出ているのでしょうか。それはLFA以外の車種で儲かったお金からです。つまり庶民が頑張って買ったトヨタ車の利益で、お金に困らない富裕層に対してスーパーカーを安く売っているということです。

フェラーリも高いですが、フェラーリははっきりと売上の2割はF1の運営費に使う、としています。つまり車の価値＋F1の運営費を顧客に支払ってもらっています。

ポルシェもそうです。ポルシェのどの車も基本は高級車であり、どれも利益が得られるように価格設定されています。そしてその利益はどこに使われるかというと、次世代モデルの開発に使われ、最良のポルシェは最新のポルシェと言われる所以。

フェラーリオーナーは自分がフェラーリを所有しているという喜びと共に、フェラーリF1をサポートしているという自負が生まれます。ポルシェは常に最良のポルシェが出ることで、買い換えたときに新しい価値を享受できます。

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しかしトヨタは...極論すると貧乏人から搾取して、お金持ちを接待している、という見方もできます。もしくは普段はケチケチでティッシュペーパーは路上のティッシュ配りに何回でも並んでもらって節約する半面、娘の結婚式はドーンと派手に、ガラス張りのトラックで嫁入り衣装を運んだりする気質とでもいうのでしょうか。

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庶民が買えるのはこういった車です。でもこのシャア専用、赤いだけで3倍速いわけではありません。見掛け倒しです。

LFAはニュルで開発した、と胸をはっていますが、7月にニュルにいってみましたが、LFAが走っている姿は一度もみかけませんでした。F1の駐車場にもとまっていません。一方SLS AMGやフェラーリF12、ランボルギーニムルシエラゴ等は雨後のタケノコのようにみたのにも関わらずです。ちなみに911に至ってはもはやニュルブルクリンクのカローラ、もうありがたみもなにもないほどに多かったのと対照的。

これが意味するのは何でしょう。エンジン音も素晴らしく、ニュルラップタイムも市販車最速にも関わらず500台限定のプレミアムカーはガレージにしまわれたままなのです。

本当のブランド価値向上というのは、ニュル北コースで実際に走っていたり、F1の駐車場にとまっていたりすることで成し得るのではないでしょうかね。911が評価されているのと、ニュルのカローラであることとは同じドイツ国内ということを差し引いても相関がありそうです。

スーパーカーファクトリーをみてLFAは素晴らしいと思う反面、メガーヌR.S.のように庶民が手が出せるハイパフォーマンスカーを出すべきではないかと。せっかく86といういい素材ができたわけですから、3倍速い86を出しても罰はあたりません。シャア専用オーリスも完成度の高い痛車というレベルを抜け切れてないのが残念、まさに痛い。

LFAは500台の生産が終わって工場はまた閉鎖になったようです。こういうのは継続してこそ価値があるわけなので、きちんと採算をとって、継続してほしいものですね。