【2007F1日本GP 富士スピードウェイ訴訟】富士スピードウェイとトヨタの本質

今回の訴訟を通じ、富士スピードウェイの責任逃れ体質、トヨタ金儲け主義の本質を見ました。

【地獄のF1富士】富士スピードウェイに賠償命令:F1日本グランプリ訴訟判決 #f1jp ([の] のまのしわざ)

結論から先に言うと、被告はレースファンのこと、モータースポーツのことなんてこれっぽっちも考えてないということです。自分たちの楽しさ、身内の幸せ、金儲けができればいいのです。

訴訟の流れはこうでした。

原告109名が個々人の被害、バス待ちの長さ、待っている間の環境の劣悪なこと、そして疲労困憊、その結果風邪など体調不良に陥った事を訴えたものに対し、被告はすべての争点を争ったのです。つまり原告のいっていることは「そんなの知らん」「信用できない(=ウソつきよばわり)」「おおげさ」として、全部否定したのです。

例えば私の例であれば、子供(当時4歳)が腹痛を訴えて妻と救護室に向かい、立錐の余地もなくなってごったがえす中バスが到着するのを待っていました。

当時の様子は翌日に書いたブログに詳細をかきました。

F1 日本グランプリ in 富士スピードウェイ 2日目:地獄絵図 ([の] のまのしわざ)

待ち始めて1時間(5:40pm頃)子供が体調を崩し、おなかが痛いといったので妻と子供だけ「救護所・保育ルーム(ナーサリー)」へと移動。しかしここ救護室でもとんでもないことが起きていたとのこと(以下妻の話)。

1pmに行った時点でナーサリーとは託児所のために子連れであっても、親同伴では原則入場すら受け入れないことを知っていたものの、悪天候と疲労とで座る場所もない状態だったので、なんとか入れてもらったらしい。

続々と体調を崩す人がやってくるものの、なんと救護室は定時の6時(を少し過ぎて)終了。

その後具合の悪くなった妊婦が運ばれてくるものの、対応する人がいないという状況。すぐに他の場所から担当者がやってきたものの、緊迫した状況だったそう。実際東1シャトル乗り場にも救急車が乗りつけたし、他にも何回かサイレンの音を聞きました。

雨のため、屋根を求めてくる人が後をたたず、救護室の下の部屋(1F)に入れてもらったものの、定時になったときになんと電気を消したそう(ありえない・・・)。そこを頼み込んで電気をつけて貰ったのだが、スタッフは2階の部屋の中でお茶を飲みながら談笑してたとか。その様子が暗くなった外から丸見えで、1Fと2Fとで天国と地獄の様相を呈していたそうだ。スタッフはチケット売りの担当だったので、交通とは関係ないとはいえ、そういった行動は慎むべきでしょう。

外人もやってきて

「疲れたからなんとかしてほしい」

といったところ、英語ができるスタッフが

「疲れたのなら宿に帰って休めばいい」

と返答・・・さすがに外人も

「ノォーーーーーーー!」

と叫んだそうです。まるで、コントみたいです。

その外人は一旦外に出たが、また帰ってきて、疲れた人々がひしめきあう1Fの狭い空間に座り込んだそうですが、話を聞いただけで同じ日本人として、心が痛みます。

そんなひどい状況でしたが、子供は他の流浪の民の子と一緒に遊んだりしてなんとか3時間を乗り切りました。

こんな状況だったにも関わらず、被告代理人は法廷の中で

「救護室を一般に開放した(ドヤ顔)」
「屋根がある場所で快適にまっていたのだから、バス待ちの被害はない」

と言い放ったのです。

・・・被告は本当に心をもっているのでしょうか。観客を、レースファンをなんだと思っているのでしょう。

私に限らず、レースファンはなぜ家族、子供たちを連れて行ったのかまったく理解できていないです。子供に自分と同じく、クルマを、レースを好きになってほしい、佐藤琢磨や可夢偉のようなレーサーを日本から輩出したい、そしてそんな思いを家族と共有したい、そのように感じて高いチケットを購入したに違いありません。

それにもかかわらずこんな仕打ちをしたうえに、「我々は救護室を開放した」とドヤ顔ですよ。実際には詰め寄る難民に渋々あけたというのに、怒りを通り越して、あきれるとしかいいようがありません。

若者のクルマ離れが深刻」とトヨタはいいますが、若者がクルマから離れているのではなく、あなた方が若者を遠ざけていることに気づくべきです。なぜなら観客を金づるとしかおもっていないでしょう。お金を払ったあとは、適当にあしらって、意見をいう心ある人はクレーマー扱いです

被告はこうも言い放ちました。

「ネットで集まった奴らが、ネットに書かれた情報をもとに事を大げさにいっている。」

ネットで集まった奴ら、連中呼ばわりでした。原告は日本全国にバラバラで、確かにインターネットを利用して募集したことは事実です。しかしそれは一昔前であれば新聞広告であったり、電話であったり、ファックスを利用したりと「通信手段」の話です。

インターネットをもって見下されることは、インターネットサービスを仕事とするものとして尊厳を二重に踏みにじられ、強い怒りを感じました。

ネットで書かれた情報は、一次ソースがあります。そこにウソや大げさではなく、真実の声も入っているのです。その一次ソースとなったのは私のブログであり、体験者の書き込みであるのです。それを全部否定し、知らぬ存ぜぬを貫き通そうとしたのです。この被告の態度はまさにはらわたが煮えくりかえるほどのものでした。

裁判所の判決の中で、さきの妻子のバス待ち被害については、

「子供なのだから(例え屋根のある場所であったとしても)精神的負担は大人よりも大きい」

「妻は子供の付き添いとして一緒にいるのが当然」

として、真っ暗で冷え込む野外のバス列に4時間並んだ私と同じだけのバス待ち被害を認めました。これが法廷の判断です。

(ちなみに私のバス4時間待ちの件も、富士スピードウェイは「そんなに待ってないはずだ」「知らない」と断言してました。こちらはメールのタイムスタンプ、撮影した画像のEXIF情報を証拠として提出、事実認定されました。)

富士スピードウェイはトヨタの子会社としてトヨタの社員が出向し運営し、富士スピードウェイは観客を人として扱ってないこと、それが彼らの本質です。トヨタにしても富士スピードウェイにしても、誰一人辞任や降格、減給といった処分をしていません。自分たちは責任逃れをして、あげくには観客に責任転嫁したのです。

いくらトヨタ社長が86を発売して「スポーツカーは楽しい!」と浮かれていたとしても、レース場である富士スピードウェイの性根が腐っている限り、私はどうしても組みする事はできません。

この判決で、

・FSWが高地にあり雨が降りやすいことを当然FSWは認識していた
・雨が降ると道路が陥没、バス待機場が泥濘化することが予め想定できたにも関わらず、何も対策をとらなかった

が事実認定されました。何も対策をしなかった理由は簡単です。コストカットです。

・はれるといいな〜

・何もおきないといいな〜

・何かおきてもオレの責任じゃないよ〜(下請けの責任にしちゃえ)

という無責任体質が明らかになった上で、お金をケチったのです。

なので今回判決を受けて殊勝にも「裁判所の判断を尊重する」なんてこといってますが、心の奥底では「安くすんでよかった」と思っているに違いありません。なにせ総額たったの83万円ですからね。

レースをちゃんと運営できない、と烙印を押されたことを不名誉に感じないのです。

彼らはお金の大小でしかものを考えられないのです。

クルマ好きとして、そんな会社のクルマなんて買えるか、という話になるのも当然でしょう。当時余りにも頭にきて実家のトヨタ車を即売っぱらって買い替えようかと思ったくらいです。さすがに人の(親の)クルマだったのでやりませんでしたが、次買い替える時は絶対にトヨタ車だけは買いません。

5年たっても怒りは鎮まるどころか、訴訟のやりとりを思い出すたびに腹が立って仕方ない、というのが今の気持ちです。