築城の名手・豊臣(羽柴)秀吉による姫路城の近代化手法

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頭に天守閣をのっけている不思議キャラ「しろまるひめ」も気になりますけど、もっとも気になるのはこの建物「姫路城情報センター」。きっと素敵な情報が満載に違いないと入ってみると・・・

(30分以上経過)

中の担当者につかまり(?)、姫路城がいかに素晴らしいかをトクトクと説明してもらいました。東大柱、西大柱にはじまり、江戸城とは逆の左回りの螺旋状に広がる堀。難攻不落の名城となり毛利氏との対立、そして備中高松城の水責めに至るまで。この「姫路城」がいかに強力で強大かで、それはすべて秀吉の居城時代に確立していたのです。

姫路城 - Wikipedia

1580年(天正8年)、黒田孝高は秀吉に「本拠地として姫路城に居城すること」を進言した。秀吉は、同年4月から翌年3月にかけて行なった大改修により姫路城を姫山を中心とした近世城郭に改めるとともに、当時流行しつつあった石垣で城郭を囲い、さらに天守(3層と伝えられる)を建築した。あわせて城の南部に大規模な城下町を形成させ、姫路を播磨国の中心地となるように整備した。この際には姫路の北を走っていた山陽道を曲げ、姫路の城下町を通るようにも改めている。同年10月28日、龍野町(たつのまち)に、諸公事役免除の制札を与える。この最初の条文において、「市日之事、如先規罷立事」とあることから、4月における英賀(あが)落城の際に、姫路山下に招き入れ市場を建てさせた英賀の百姓や町人達が龍野町に移住したとする説がある[13]

現在の天守は秀吉の後建てられたもので、それはもちろん見事なものです。この現存天守は戦争での被災をまぬがれ、昭和の大修理を経て現在平成の大修理中。

しかしここで改めていいたいのが、天守は城のごくごく一部の機能であるということ。特に戦国時代以降天守の役割は弱まり、江戸城に至っては焼失を機にそのまま再建しなかった例もあるほど。歴史的にはとても価値がたかく、世界遺産に指定されているほどの姫路城ですが、天守だけの魅力ではそれは成し得なかったでしょう。

やはりここで注目したいのが縄張りの妙。平山城の形態をとりながら、その高さは山城に匹敵するほど。石垣を利用し、ひな壇方式による一の丸、二の丸、三の丸と防御が固い上、要所には櫓とまさに鉄壁の守りです。

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(池:元々2分割されていた石垣が埋められ連結されている)

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(近道だけど、有事には埋められ閉ざされる)

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攻める方は、どこまでいったら辿りつけるのかと気が遠くなるほどの導線。いわばディズニーランドでスペースマウンテンの長蛇の列に並んでいるかのようにグネグネと通らされ、曲がるたびに新しい敵に遭遇するという脅威。

どこからでも見える天守、近く感じても、気が遠くなるほど遠い、という縄張りの妙。

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まあここまで取りついてもまだまだ先なわけです。これはコワイ。

さてここでひとつ面白いことが。普通城の石垣といえば四角形・台形が基本。石垣の角の角度は90度が基本なのですが、場所によっては120度という浅い切り方があるのです。はて。

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(内堀)

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姫山、という山を使ったという話ですが自然の地形を活かした風にもみえず、特に堀は自由に切るわけですから直角でいいはずです。この浅い各度での切り方は6角形や8角形の一部とも見え、となると安土城のようでもありこの時代の羽柴秀吉流の築城トレンドなのかもしれません。大阪城でもこういうのはあるのでしょうか。かなり興味がわいてきます。

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さて肝心の石垣自体ですが、ふーむなんというかかんというか。細かい石が多数使われており、とてもじゃないけど美しいとは思えません。全体的に石垣自体へのこだわりや建築技術がつかわれていたかは少し疑問。とりあえず「石垣はやってるぞ、全部石垣にしとけ」みたいな作り方っぽいです。

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西の丸などその後改築された部分を除けば、よっぽど江戸城の方が巨石が使われている印象です。

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比較的新しい西の丸・化粧櫓ですら角の算木積みを除けば石はバラバラで小さいです。

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内堀の石垣も同様。このへんは昔の縄張りのままだったのかもしれません。

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・・・

百間廊下もみれたし、とにかく見応えのあるお城でした。さすがは世界遺産です。

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いまは大修理中だからなあ、と多少敬遠しがちですけどその魅力は色褪せません。「天空の白鷺」で今しか見れない景観を逆に楽しむこともできます。今だからこそ見られる姫路城、いかがですか。

50年に1度の大修理! 「天空の白鷺」で姫路城を間近に見学 ([の] のまのしわざ)

それにしてもやはり秀吉の築城系譜はおさえておきたいところ。安土城、大阪城も見に行きたいですね。

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