「ボーイング777フライトシミュレータ実体験(1)リンクシェアJAL日本航空機体整備工場見学会 2011」「ボーイング777フライトシミュレータ実体験(2)」のつづき。
素人によるフライトシミュレータ体験の次は本物の現役パイロットによる、アクシデント対応デモンストレーションです。
デモといってもまさに本番さながら。なぜならシミュレータで落ちることはつまり、実機でも落ちてしまうことを意味するからです。
トラブル発生を予めプログラミングし、いざスタートです。コースは羽田空港に向けての着陸。
最初は通常飛行、ところが。
ピーピーピー!
「デコンプレッション!」(機内の気圧が下がったらしい)
いきなり緊張が走ります。キャプテンと副操縦士の人が慌ただしくパネルを操作、同時に管制へと連絡。
客室内には酸素マスクを出し、パイロットもマスクをします。
マスクをするときは2人同時ではなく、片方づつ。
You have control.
I have control.
と掛け声をかけ、相手に操縦を任せて酸素マスクをしてからまたキャプテンにコントロールを戻します。
緊急着陸のため羽田空港に向けて高度を下げはじめます。
高度計がグルグルとまわり下がり続けます。
高度が十分下がったことを確認し、酸素マスクをとります。
このときも同じく、controlを互いに受け渡しながら、必ずひとりが操縦桿とスロットルを握っています。
羽田空港も見え、そろそろ着陸です。このまま順調に着陸かと思いきや。
「エンジンファイヤー!」
「エンジンファイヤー!」
なんと右側のエンジンが火を噴きました!
また機内は騒然、コントールと交信し状況を伝えます。
同時に右エンジンのスロットルを絞り燃料供給をカット、消火へ。
カットオフスイッチを下げるなどの操作。操作のたびに必ず2人が声を出し、復唱しながら動作させます。
片肺の状態で着陸態勢へ。左エンジンのスロットルと操縦桿だけを使い、ピタッとラインに乗せて滑走路へとアプローチしていきます。
無事に着陸!
すごい、完璧!
見事なトラブル対応をしたお二人のパイロット。いやすごい、カッコイイ!
操縦中の会話、緊迫した雰囲気はハリウッド映画かのようでまるで台本があるかのよう。この見学のために予め練習したものかと思いきや、この組み合わせのトラブルは今までやったことがなく、その点では完全なる
ぶっつけ本番!
の対応だったそう。にもかかわらずピタッと息があい迅速に対応して何事もなかったかのように無事着陸させるのはまさに
プロの技!
ちなみにあれだけのトラブルがあったにも関わらず、機体の揺れは皆無。素人操縦のドリフのコント状態の後だと余計にスムースさが際立ちました。右手でスロットル、左手で操縦桿握ってあれほど正確に操作できるだなんて、もうほんとスゴイとしかいいようがありませんよ。
常日頃の厳しい訓練の賜物ですね。もうこれからJALに乗ります! いや、乗せてください!
すばらしいプロの技、どうもありがとうございました。
(続く)
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