ついにこの日がやってきましたよ。日産から出た、電気自動車専用設計の5人乗り5ドアセダン、日産リーフです。
思えば2009年の東京モーターショー。日産のEVへの取り組み、特に車両だけではなくインフラ整備まで含めての幅広い視野、分野での取り組みとその本気度。これはもちろん1メーカーだけでなし得るものではなく、自治体の理解と協力が必要です。ガソリンから電気という変化は物理的な変化だけではありません。使うユーザーそれぞれのマインドの根本的な変革をも必要とします。
日産はソーシャルメディアも有効に活用し、1年以上の歳月をかけてじっくりと電気自動車の啓蒙、ユーザーの正しい理解、ファンの熟成と応援をこぎつけました。その結果がこちらの記者発表会での映像。
People are ready.
です。
3:40~ 松村太郎さん
「重心が低いってことと、味付けがすごく上品です」
4:00~ のま
「すごい自然に乗れるような感じで」
「自転車に乗っているような爽快感がありました」
4:13~ いしたにさん
「不思議な感じ、とにかく」
「日常の足としての良さがあるなと」
私のコメントも採用されていてビックリ。まさかこんな羞恥プレイ、いや周知プレイになっているとは。今回記者発表会に参加できず残念でしたが、ビデオでリーフの応援ができたようでとても嬉しいです。
このビデオは8月の試乗会の時のもの。
▼ナチュラルに運転して! 電気自動車・日産リーフに試乗してきました(動画あり) : ギズモード・ジャパン
▼日本初の電気自動車! たま電気自動車に試乗してきました(動画) : ギズモード・ジャパン
▼電気自動車試乗まとめ:技術は時代に翻弄される ([の] のまのしわざ)
もはや古典的書物といっていいでしょうが、「イノベーションのジレンマ」では建設機材、いわゆるブルドーザーやショベルカーの技術変化について紹介しています。
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イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press) [単行本]
今では当たり前に内燃機関、ディーゼルエンジンが使われていますが、その前は蒸気機関だったそうです。いわゆる蒸気機関車と同じで、石炭を燃やして蒸気で駆動するものです。蒸気機関のブルドーザーメーカーは内燃機関に移行せず、新興メーカーに破れていくという歴史です。
鉄道では蒸気機関車からディーゼル機関車へ、そして電化とよばれ電車に置き換わりました。
となるとどうしてそれが自動車で起きないといえるでしょうか。そう、これはもはや既定路線なのです。もはやそれがいつ起きるか、問題はそれだけです。
そしてそれは今です。
私も、特に2007年の東京モーターショーの頃、EVはまだ10年から20年以上先の話だと思っていました。この20年はハイブリッドの時代であろうと。
ところがパソコンやガジェットの世界で電池がニッケル水素からリチウムイオンとなり、メディアがハードディスクからシリコンディスクで移り、iPhoneを代表とするスマートフォンが台頭する状況のなか、車だけが安穏としていられるはずがありません。この波はあっという間にクルマ業界をも飲み込み、一気にEV化シフトが進みました。
その昔、1990年代ソニーはトリニトロンというブラウン管技術において最先端を走り、ディスプレイ市場を席巻していました。これは原価が低く、収益性が非常に高い商品で当時のソニーの屋台骨です。ところがそれがゆえに液晶ディスプレイへの技術シフトが遅れ、後塵を拝したのは記憶に新しいところです。それと時同じくしてソニーの暗黒時代が訪れます。ウォークマンが iPod/iPhoneに破れたり、PS3の半導体投資が重荷になったりと多重的な要因があるのですが、技術シフトについていけなかった象徴的な出来事でしょう。映画スパイダーマンのヒットじゃソニーは救えません。
そしてEV時代の幕開けです。
先日のロサンジェルスモーターショーでもトヨタ、ホンダがEVの参入を本格表明し、もはやEV化の流れはとまることはありません。現段階での航続距離や充電インフラの問題など実は些細なこと。これもマインドの変革が進めば、200kmも走り続けるのがいかに特殊なケースなのか、みんな理解できることでしょう。
そしてガソリン車にできてEVにできないことを探すより、ガソリン車でできず、EVにできることを探した方がずっと楽しいですよ。例えばリビングにEVを入れちゃうとか、スマートグリッドで不安定な太陽光充電、風力発電のコンデンサ代わりに使うとか、停電時のUPS代わりにしちゃうとか色々あるわけです。ついこないだも八王子で30分停電しましたが、リーフ位の容量があればかなりいけるでしょう。
EVでできること、EVでしかできないこと。
なんだかそれを考えるだけでワクワクしますね。全部EVになれば、トンネルで窓しめなくたってよくなるぞーー。
日産の皆様、発売おめでとうございます。これからがまたスタートですね。