「みんなのガンプラ」玩具からリアルモデルへの昇華

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ガンプラ30周年。

ガンダムがヒットした影にはこのガンプラの功績は大きいでしょう。

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ビジネスモデルの転換、玩具・超合金から脱却しスケールモデルのプラモデルとして世に出されたのが通称「ガンプラ」です。それはあっという間に社会現象となり、経済にも寄与。子供たちはおもちゃ屋やデパートのおもちゃ売り場へ殺到、私も毎週末デパートからおもちゃ屋までハシゴしたものです。

「大河原邦男のメカデザイン ガンダム、ボトムズ、ダグラム」が素晴らしかった! ([の] のまのしわざ)

そして時代とビジネスモデルを分けて整理しています。

・1970年代~80年代:おもちゃ(ダイキャストモデル)

・1980年代~90年代:プラモデル

・1990年代~00年代:OVA、DVD販売

・00年代~:マルチ展開

なにが興味深いかというと、「メカデザイン」という職業が、ビジネスモデルと直結している点でしょう。

アニメが最初「セイカノート」など文房具などのグッズ販売からはじまり、マジンガーZを端に発する「超合金(ダイキャストモデル)」販売を主軸にすることでロボットアニメの大ブームが訪れます。

翻って作品はというと、おもちゃ=ダイキャストモデルを売るための30分の宣伝と化したきらいもあり、それに反旗を翻したのがリアルロボットモノと呼ばれた「ガンダム」という作品です。

そしてガンダムが開拓したのが、超合金ではなくスケールモデルであるプラモデル。実在することを前提に、1/100スケール、1/144スケールとスケールモデルにしたことでそれまでの「おもちゃ」から一線を画すことになりました。

その後ヒーローロボットものが終了します。これはおもちゃのビジネスモデルが立ち行かなくなったことと、エンターテインメントが多様化したことと符合します。

そして90年代からはOVA(のちにDVD)の販売。つまりアニメ作品自体を直接売ることで利益をうるビジネスモデルが出現します。

さらに00年代はそれらを含めてキャラクタービジネスや、ネットを通じたストリーミングなど多種多様なビジネス展開をすることになりました。

その時代の変化のなか、第一線で活躍しているのが大河原邦男さん。

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いや比較すると良く分かりますけど、最初に出た1/144ガンダムの出来なんて、ちっとも良くなかったんですよ。明らかにまだまだ玩具チックでプロポーションも悪いし、とてもじゃないけど「リアル」からは程遠いもの。

当時のプラモデル雑誌、ホビージャパンの主流はミリタリー。戦車や戦闘機のプラモデルが超リアルに再現、ジオラマまで作られてまさに「リアル」そのもの。それから比べるとガンダムなんて、まだまだオモチャにしか過ぎなかったのです。

しかし転換点は HOW TO BUILD GUNDAMからはじまります。

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ホビージャパン誌の主流がミリタリーなら、ムックでガンダムを特集してしまおう、さらにはガンダムにミリタリーのリアルさを追求しようとして色々なバリエーション、改造、ジオラマがこのHOW TO BUILD GUNDAMで展開されたのです。とにかくこれには震えましたね。私もこれに影響されてパテもって削って作ったものです。1/144ガンダム1体完成させるのに5ヶ月かかりました。

あれから30年。今では1/1スケール・リアルグレードとして静岡にリアルを超えた「本物」のガンダムが立っちゃうくらいですからね。まさに時代が変わったとはこのこと。当時そんなことになるとは思いもよりませんでした。

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(ANA限定ガンプラ)

30年経っても変わらないのは、ガンプラを買うだけ買って作らないこと。いわゆる「積みプラ」ですね。こればっかりは進化しません。すみません。この夏に絶対作ろうっと。

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