惑星探査機「はやぶさ」にみる日本人らしさ

ところで今回の帰還で何を感じたかというと、これが実に日本人の琴線に触れるプロジェクトだったということです。

・僅かな予算

・壮大なゴール(世界初)

・次々と襲いかかる試練

・技術者たちの努力と工夫

・奇跡的な幸運

これからがすべてうまく重なり、地球への帰還に成功しました。この成功はいわば宇宙戦艦ヤマトと非常に似ています。

ヤマトは地球規模の大プロジェクトでしたが、最初成功を信じるものはおらず、まさにいちかばちかの賭け。他にもはや打つ手段がない、苦肉の策でもありました。

小惑星探査機はやぶさを巡る物語「オタクが世界を救う」:[mi]みたいもん!

まあ、要するに宇宙戦艦ヤマトです。真田さんです。

いしたにさんの指摘するように、技術者の鑑、真田さん(真田技師長)の機転と「こんなこともあろうかと」というありとあらゆるリスクを想定して準備しておく用意周到さが光ってくるわけです。

その技術者の鑑、真田さんは自己犠牲の精神の持ち主でもあります。TVシリーズでは自身の体に埋め込まれた爆弾を使い、自爆覚悟で他のクルーを助けるエピソードもあります。命をかけて、プロジェクトを完遂させようとするのです。

この自己犠牲の精神が感動を呼び起こします。

さらにもうひとつは擬人化。

八百万の神、万物に魂が宿る国だからこそ「はやぶさ」が「はやぶさタン」として擬人化、さらにアニメの国だからこそ萌えキャラに昇華。大気圏突入で燃え尽きてしまう姿もまたひとつ「自己犠牲の精神」が見て取れます。

ただこの自己犠牲の精神がともすれば日本人の、日本人らしい危うさをともないます。

今回のプロジェクトは(ほぼ)成功したといっていいでしょう。となると次はどうなるか。

これがアメリカであればさらに大きな成功を得ようと大きな資本を投下=投資し「レバレッジ」を利かせようと考えます。

ところが日本は逆です。この費用でこれだけのことができたんだから、次はもっと安くなるだろう、コストダウンできると考えてしまうのです。実際には技術者のプライスレスな努力があるというのに、プライスレス=タダと考えてしまうのです。

すなわち「自己犠牲」を強要します。今回でも技術者、科学者の多大な自己犠牲の上になりたっているのに、外野、特に文官はそれを無視するのです。

今まさに予算についてすったもんだがはじまりました。すでに「仕分け」という公開処刑により予算を削減することが決まった宇宙開発ですが、この成功をみて突然手のひら返しで予算を見直すことも考えると。

突然の手のひら返しは時代劇の「悪代官」そっくりです。

あまりにそっくりなので腹立たしいを通り越して、痛快でもあります。

簡単にまとめると、

悪代官=ドS

技術者=ドM

で成り立っている日本の科学技術の風景を「はやぶさ」が改めて浮き彫りにしてくれました。

こういったことを全部含めて、非常に日本らしいです。

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