電気自動車界のトラトラトラ! EVタクシー電池交換ステーションはサンダーバード秘密基地 #evtaxi

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AMN主催「世界初!バッテリー交換式電気自動車を用いたEVタクシー試乗会ブロガーミーティング」へ行ってきました。ベタープレイス - 経産省資源エネルギー庁によるバッテリー交換式EVタクシー実証事業で、タクシー営業は日本交通(株)が担当。

ベタープレイス・ジャパン Better Place Japan

ベタープレイスは、日本交通と共同で、世界初となるバッテリー交換式EVタクシーの実証運用を2010年4月26日から7月末日まで開始します。

その電池交換ステーション(Battery Switch Station, BSS)を見学してきました。ついに来ましたよ、近未来が!

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・バッテリー交換ステーション(BSS)

ベタープレイスの交換式EVタクシーの特長はその名のとおり「バッテリー交換」ができる点。電池交換ができると何がいいかというと、長い充電時間が不要ということ。がちゃこーんと交換するだけですぐに走りだせます。

とはいえその「がちゃこーん」が大変。バッテリーはとても重く、人間がやるわけにいきません。そこで出てくるのがバッテリー交換ステーション、BSSです。車を所定の位置にセットすればあとは全自動で交換してくれます。

交換バッテリーは予めBSSで充電、保管されているのでドライバーはまったく気にする必要がありませんし、車から降りる必要もありません。

実際の交換の様子は動画でどうぞ。

所要時間たったの1分。ガソリン入れるよりも早いですよ。でも実際に何が起こっているのかわかりにくいですね。そこで別角度、車両の下からどうぞ。

今度は一目瞭然。車両の下からバッテリーを外し、充電済のバッテリーをその代わりに装着するという作業を行っています。これ、どこかでみた風景ですね。そう、まんまサンダーバード2号ですよ。

今度はバッテリーを保管、充電するラック部分から。

バッテリーの横には識別のために「5」とか「7」など数字が書いてあります。この数字もサンダーバードっぽいですね。

使用済のバッテリーは充電ラックへと運ばれ、充電を行います。充電が完了したら保管ラック(ラック上側)へと移動されます。

なんだか大がかりな装置に思えますが、自動車の立体駐車場を考えれば全然大きくないですね。もしかしたらその技術が応用できているのかもしれません。

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・電池交換式EVタクシー

このバッテリー交換ステーションと同時に開発されたのが電池交換式EVタクシー。なぜタクシーかというと、タクシーはほぼ1日ずっと走り通しなこと。つまり充電している時間がないんですね。

さらに随分と将来的な話ですが、タクシーは東京において車両台数は2%を占有するものの、CO2排出ガスだと20%にも達すること。このタクシーをEVに置き換えられればCO2削減に非常に効果的です。

またタクシーはLPG(天然ガス)を使っていますが、このLPGステーションの老朽化、立て替え時期が迫っているところが多いこと。今後のエネルギー需給環境を考えると既存のLPGステーションを建てるか、廃業するかという決断を迫られています。しかしこのBSSであれば、ステーションとしての機能が果たせて将来性も見込めます。

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日産:デュアリス [ DUALIS ] スポーツ&スペシャリティ/SUV Webカタログ ホーム

電池交換式EVタクシーは今回日産デュアリスをベースに架装。エンジンミッションをとっぱらい、モーターに。フロア下にはバッテリーを装着できるように改造。もちろん普通にEV共通規格のコンセントで充電もできます。

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(エンジンルーム、フロントグリルに前部充電ソケット)

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(後部充電ソケット)

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(メーターコンソール)

さてこのEVタクシーに試乗できました。さてその乗り心地は動画からどうぞ。

ぐるりと1周して、電池交換を体験という短いコースでしたが何か違和感があります。

アイドリングのエンジン音に振動がないんですよ!

EVなので当たり前なのですが、今までにない体験。どちらかというと電動カートや遊園地の100円いれて走る遊具みたいなもの。停止していると完全に無音で、ウィンカーのカッチンカッチンいう音がやけに高音質に聞こえてきます。駆動するとかすかにグモォーンというモーター音が聞こえますが、ウィンカーの音にかき消されてますね。

乗り心地はというと短い試乗だったので特に気付いたところはなく、ごくごく普通な感じでした。とにかくその静粛性に圧倒されますね、すべての車が高級車に変身です。

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・EVを支えるネットワーク&サービス

静かなEV、電池交換による素早いリチャージといいことづくめのベタープレイス。しかもそれだけではありません。現在位置やバッテリーの状況を逐一モニタリング、センターで情報を集約して指示出しをするネットワークサービスも万全。まるでF1のテレメトリーシステムのよう。

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iPhoneはもちろん、iPadにもいち早く対応。

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(iPadの情報画面)

タクシーのコンソールにはiPhoneが鎮座しています。

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さらにこのタクシーの情報はTwitter/@tokyo_evtaxiで配信中。まるでbotのようにつぶやいています。バス停にあと何分で来ると表示されるシステムがありますけど、これからはTwitterの時代になるのかも。


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・世界初、1/10スケールでBSSを再現

電池交換式電気自動車。この発想は特別なものではありません。そう、皆様のご家庭に1台以上はあるはずのミニ四駆や電動ラジコンと同じシステムですね。そこで1/10スケールでバッテリー交換ステーションを再現してみました。もちろん世界初の試みです。

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じゃーん、材料はもちろんダンボール。車両はボルテックファイター、でかいミニ四駆です。

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交換場所のスロープの下には、予め充電済バッテリーを用意。

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この穴の真上に車が来ると交換開始です。

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(裏面から車をみた様子、と思ってください)

車の下にはバッテリーがありますので、まずこれを外します(落とします)。

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(バッテリーを外した状態)

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充電済バッテリーを装着。

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使用済バッテリーは回収され、ラックへ収容、充電器(左側)に接続されて充電開始します。
充電完了すると、保管ラックへ移動、収容されます(右側)。

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充電済バッテリーを装着したので、走りだします。

というわけで、ラジコンやミニ四駆においては非常に普通でなんの変哲もない光景。では今回フルスケールの車で実現する技術的課題はなんでしょう。

・脱着可能な高性能バッテリーと脱着技術

まず今回のバッテリーはA123社製のLFバッテリーということ。

新世代 Li-Fe(リフェ)バッテリーがタミヤから登場 ([の] のまのしわざ)

ちなみにこのLFバッテリーのセルのメーカーはA123社です。MITからのスピンアウトで、主に電気自動車やハイブリッド車用の新タイプの電池の開発、商品化を行っています。ハイブリッド用なので、充電と放電をこまめに繰り返す、自己放電が低いことが非常に重要になってきますが、これは模型用であってもいいことづくめですね。

タミヤ LF2200-6.6V レーシングパックと充電器

~ LFバッテリーの3大特徴 ~
スペース
【 約1000回もの長寿命! 】 約1000回もの充放電が可能。しかも、専用充電器を使って約20分で充電できるので、バッテリーを2本持っていれば走行と充電を交互に繰り返して1日中楽しめます。さらに、重量がニッケル水素バッテリーNi-MH3700の約半分という軽さもポイントです。
スペース
【 放電容量が変わらない! 】 充電電池特有の「メモリー効果」がないため、走らせた後すぐにバッテリーを充電すればOK。走行時間が短くなることはありません。また、付属のバランス充電コネクターを使って、5回に1回充電すれば各セルの容量バランスを最適に保ってくれます。
スペース
【 メンテナンスが不要! 】 走行後、バッテリーに放電器をつないでコンディションを整える必要はありません。また、自己放電もほとんどないので、半分程度の充電をしておけば長期保存が可能です。

従来プリウスやインサイトで使用されているNi-MH(ニッケル水素)よりも電気自動車向きでメリットが多いんですね。特に重量が軽いというのも見逃せません。ちなみにこの交換バッテリーは200kgという重量。もしこれをNi-MH(ニッケル水素)で行っていたら400kgにもなっていたかもしれません。

そしてこのバッテリーの脱着技術。この重いバッテリーを間違いなくお腹に抱きかかえなければいけませんが、ここにイスラエルの軍事技術が応用されているということ。それは

ラッチ。のっち、ではないですよ。

ラッチとは戦闘機が爆弾を保持するのに使うもので、間違いなく保持し、必要なときにはきちんとリリースできるというものです。振動や衝撃があってもとれませんが、交換時はスムースに外せる、という意味でこのバッテリー交換ステーションにはピッタリの技術。実際には爆弾じゃなく燃料なので増槽(ドロップタンク)といった方がしっくりきますね。

「まあ、軍事技術が転用されているなんて、コワイわぁ」

とお嘆きになる方もいらっしゃるかと思いますがこの増槽の技術、世界に先駆けて実用化したのは日本です。

増槽 - Wikipedia

初めて本格的に落下増槽(初期の物は「かまぼこ型」であったが切り離しがうまく行かず後に「円柱形」に改められた)を実戦使用した軍用機は大日本帝国海軍の九六式艦上戦闘機である、日本海軍では落下型増槽を使用する前から落下型でない「かまぼこ型」の増槽を使用していた。

特にゼロ戦で戦闘を開始する合図として増槽を切り離すシーンは象徴的に使われていますね。

このプロジェクトが目指すもの|EVタクシープロジェクト特設サイト|ベタープレイス・ジャパン

しかし、こんにちのバッテリー技術では、走行距離に制限があるため、営業時間中に数回、しかも数十分から数時間、バッテリーを交換しなければなりません。これでは、タクシー会社がCO2を削減できたとしても、営業効率を悪化させてしまいます。

それらを解決するのが、ベタープレイスが提唱するバッテリー交換です。

ベタープレイスのバッテリー交換式電気自動車であれば、数分でフル充電されたバッテリーに交換して、また走り出すことができるので、充電のために営業時間を犠牲にすることなくタクシーをEV化できます。

九六式艦上戦闘機で実用化し、ゼロ戦で一般化した航続距離を延ばす技術が巡り巡って21世紀の今日、こうして世界初のバッテリー交換ステーションに使われるのですから感慨深いです。ある意味、ダブルで世界初をとったということでしょうか。

地球環境の変化の原因が人間の活動によるCO2増加によるものなのか、温暖化しているのか寒冷化しているのか、自然相手で統計がとれてもせいぜいここ数十年から100年程度のものをベースに大局を予想するのは困難です。しかし昨今の化石燃料に依存したエネルギー施策から転換していっているのは全世界のトレンド。

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(グローバル・イノベーション)

今後20年なのか10年なのか、はたまた5年で電気自動車が一般化するのかは分かりませんが、早ければ10年でガラリと様子が変わるんじゃないでしょうか。電気自動車の充電時間がかかることを考えると、この交換式というのは実はEVが一般化するひとつのオプションとして有力なんじゃないかと感じました。

今は車両を流用、改造して作っていますがこの交換式バッテリーを世界標準化、共通化することで車体設計から最適化した車が出てきてもおかしくありません。そうなるとますます電気自動車が身近なものになりそうです。そんな未来を予感させるベタープレイスの取り組みでした。

電池交換ステーションでは土・日・祝日に一般公開デモンストレーションを実施中。7月末までということなのでご興味のある方はお早目にどうぞ。

EVタクシープロジェクト特設サイト|ベタープレイス・ジャパン

またこのEVタクシーは六本木ヒルズから乗車可能です。今度はもっと長い時間乗ってみたいですね。電気だからといって乗車料金が高い、安いということはありません。EVタクシーがどんな状況かは、Twitter/@tokyo_evtaxiでも見ることができますよ。

ベタープレイスジャパン@EVタクシー (btrplcjp) on Twitter

なお、今回頂いた記念品はエネループ充電池&充電器。ベタープレイスの取り組みを象徴するようなお土産で、ミニ四駆にピッタリでした。ありがとうございました。

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