ミニ四駆でのパワーソースは電池。前回はその単三形電池の外形、重量を計測しましたが今回は中身の測り方です。
もっとも簡単なのは電圧計をあてることですが、実はこれ、正確な値がでません。というのも一般的な電圧計は何Vでるかわからないので超大きな抵抗を使って、電流をながさないようにしているためです。
電池の構造は簡単化すると、起電力+内部抵抗で構成されます。
電流が流れないとこの内部抵抗の電圧降下が少なくなるため、実際に使用する場合より高い電圧値を示します。
これを避けるためにバッテリーチェッカーやテスターで電池測定レンジでは適度な抵抗値にし、実際に電流を流すことで正確な数値を得るようにしています。
PIC16F819を使った電池電圧チェッカー通常の電圧測定レンジでは、テスターの内部抵抗が高いので、無負荷に近い電圧を測ってしまうことになり、電池の消耗具合がわかりません。 電池チェックレンジでは「10Ω」の抵抗が並列に入り、電池の負荷になります。
秋月電子で販売しているバッテリーチェッカーでも適正負荷をかけて計測します。
秋月電子通商-お店のページ◆1.5Vボタン電池から22.5V乾電池・ニッカド電池・リチウム電池をチェックするバッテリー専用チェッカー。
◆それぞれの電池に合わせた負荷電流を流して測定しますので電池の良否が正しくチェックできます。
・1.5V乾電池 負荷電流:50mA,100mA
アナログ針式なので正確な数値は読みにくいですが、さすがは秋月といったところでしょうか。
次にメンテナンス、保存方法です。
充電池は放電しないうちに充電すると、メモリ効果により容量が減るという特性があります。特にNi-Cd(ニッカド)電池でそれが顕著で、Ni-MH(ニッケル水素)でも同様です。そこでニッカド、ニッケル水素充電池ではたまに放電する必要があります。ただ放電しすぎると電池をいためてしまうというのが面倒なところ。
では電池をどう保存したらいいのでしょうか。
バッテリーのノウハウ保存する場合、ニッカドの場合は放電電流1Cでセルあたり0.8~1ボルトまで放電します。ニッケル水素電池は過放電すると電圧がゼロになるものがあり、セルあたり1ボルトで止めた方がよいようです。
しばらく使用しない場合、ニッカド電池は放電して保存し、次回使用直前に満充電します。1ヶ月以上使用しなかった場合は、まず0.1Cで12~15時間充電してから放電し、次いで1Cの充放電を数回繰り返すと容量が回復します。
ニッケル水素電池は満充電して保存します。ニッケル水素電池はニッカドよりも自己放電率が高いので放電したままで放置するのはよくありません。一般にニッケル水素電池は1日あたり容量の1%を自己放電するといわれますから、満充電した状態から100日で容量ゼロまで放電することになります。またこの自己放電率は温度が高くなるほど大きくなります。
なお2005年に発売されたサンヨーの「エネループ eneloop」はニッケル水素電池ですが自己放電率が低く、またメモリー効果もないとのことです。
ニッカドとニッケル水素で随分と違います。ニッカドは放電して保存、ニッケル水素は充電して保存です。そしてニッケル水素充電池は数ヶ月で完全放電してしまうので、たまに充電してあげないと使用不能になってしまいます。この問題点を解決したのがエネループ、というわけですね。
ニッカドとニッケル水素では放電の場合の電圧値も異なり、ニッカドでは0.8ボルト、ニッケル水素では1.0Vほどに留めるのが良いようです。これを放電終止電圧といいます。
さて放電方法について。
放電器、ディスチャージャーはこの放電終止電圧をどう制御するのかが重要な機能となっています。
タミヤ製「ニカド自動放電器」性能アップ大作戦!?本当に放電の終了を正しく検知しているのか?
だいたい正しく検知しています 実際に測定したところ、電圧検知部でほぼ「1.9V~1.8V」で放電を停止させています。 1セルあたり0.95V~0.9V程度となりますので、0.1V程度深く放電させてしまうこともありますが、だからといって電池を激しく痛めるような過放電ではありません。 多少のブレがありますが、単純な回路ですのでこのくらいは許容範囲内です。
放電電流はどれくらい?
最大約300mA、放電終了前約150mA
単純計算では、バッテリー2本で2.6Vを8.2Ωの負荷抵抗にかけた場合、約317mAとなります。
終止電圧間近の2.0V(よりちょっとだけ上)を8.2Ωの負荷抵抗にかけた場合、計算上は約244mAとなりますが実際には180mA程度しか流れていません。これは放電スイッチで使用しているトランジスタ(Q5)のコレクタ-エミッタ間が完全に0Vとならない為(トランジスタの性質で飽和電圧といいます)で、実測で約0.5Vでした。
負荷抵抗にかかる電圧は2.0V-約0.5Vで1.5V、8.2Ωに1.5Vかけると電流は約183mAですので実測値とほぼ合いますね。
ミニ四駆用タミヤディスチャージャーは放電電流こそ少ないですが、まあまあの性能です。
さてついでにタミヤのディスチャージャー各種も確認。単三用ではありませんが。
タミヤ製「7.2Vオートディスチャージャー/2」(AUTO-DISCHARGER/2)を開けてみたこの時の電圧の設定がバッテリーの正しい終止電圧より低い場合は真綿で首を締めるようにじわじわとバッテリーにダメージを与える「やさしい・バッテリー潰し機能」と私は呼んでいますが、この放電器の場合設定は4V。セルは6個ですから1セルあたり0.6666Vというニカド電池でも少し苦しい「やさしい・バッテリー潰し器」ですね。
単セル放電器でダイオード一個+抵抗で約0.6Vでカットするつもりの回路と同等になるような設計のようです。
もちろん、この放電器は(製造された時期から)「ニカド電池専用です」という事ですから、ニカド電池では多少の過放電ではダメージは少なく、逆にメモリー効果をしっかりと取る為に深く放電させてしまうというラジコン用途の放電のしかたには合った設計と言えるでしょう。
この旧型でニッケル水素タイプのバッテリーパックを放電させた場合、LEDが消えたら早い段階でケーブルを抜いて、それ以上は「じわじわ首締め放電」をさせないように注意しましょう。(ニッケル水素バッテリーの放電はメーカー保証外です)
ちょっと電池をいためても、容量を復活させようというラジコン用ならではの設計のようです。
さらにディスチャージャー2では、、、
タミヤ製「7.2Vオートディスチャージャー/2」(AUTO-DISCHARGER/2)を開けてみたニッケル水素充電池を過放電させない正しいNi-MH対応放電器への期待が高かったのですが、回路図を書いて愕然としました。スイッチをNi-Cdに切り替えたら…
オートカット無しの永遠放電器!
まさしくデスチャージャー
Ni-MHモードの場合はやはり約4Vが終止電圧に設定されています。
Ni-Cdモードの場合、ダイオードのVfによる電流遮断回路を迂回して、抵抗2個の直列回路で電池が0Vになるまで最後まで放電してくれます。
素晴らしきデスチャージ器。
ひえええ、ディスチャージャーではなく、デス(死)チャージャーと呼ばれてます。
よく理解して使用しないと、知らないうちに充電池を壊しかねません。
パワーズ パーフェクトディスチャージャー の性能を調べる● 1Aの放電
● セル数自動判定でのオートカットオフ
● 過熱検知と電流制限機構 (過熱時は333mA)
● LEDとブザーによる状態告知機能などコンパクト放電器としては十分な性能を実現している事がわかりましたのでまさに「パーフェクト」に近い放電器です。
2000円の価格で内容は充実、まさにパーフェクトな放電器のようです。
充電池の用途としてミニ四駆での使い方はかなり特殊ですので、それ相応のノウハウがあります。特に継ぎ足し充電(追い充電)を行うことが多かったり、4Aかけたりとかなり無茶するケースも多々あり。というのも充電池の特性上、充電電流が大きい方が出力電流も大きくなるという性質があるからです。つまりパワーを出すためには電流をたくさんかけて充電することになります。しかし、
秋月のニッケル水素電池が発売中止に:BWT Lab.:So-netブログ大容量ニッ水は適合充電器を必要とすることはあまり浸透していないようで、手持ちの適当な充電器(殆どは-⊿V検出方式)を流用しています。ニッ水はもともと-⊿V特性が出にくく、従来のニッカド充電器では満充電停止しません。ニッ水対応の充電器でも-⊿V特性がはっきりと出る電池以外では、安全タイマーが働くまで充電し続けてしまいます。特に残量が残っている状態から補充電を開始したり、一度充電が完了したのにもう一度充電したりするとタイマーが効く前に過充電になってしまいます。
充電しすぎるとドッカーンです。危険危険。
今回新しい充電器を購入したので、また今後レポートしたいと思います。
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ミニ四駆のしわざ