これからの車社会は女性が牽引する?(後編)

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これからの車社会は女性が牽引する? (前編)の続きです。

まず前回のクイズの解答から。

ある日、お父さんと息子が一緒に車に乗ってドライブに出かけました。ところが大事故に遭い、二人とも意識不明の重体、救急車で病院に運ばれました。

そこで出てきた医者の先生がこの息子をみて一言。

「私の息子だ」

答えは・・・

医者の先生は母親だった。

なーんだでしょ。でも結構ひっかかった人は多いのではないでしょうか。息子は連れ子で、お父さんとは血がつながってなく、医者が実の父だとか。

そう、無意識のデフォルト値として医者=男性と刷り込まれているんです。そのデフォルト値が入ったままだと本来の答えにたどり着くのが大変。

同じことが車社会にも言えます。もともとドライバー=男性です。職業ドライバーも基本は男性です。女性ドライバーが増えたのは実はここ30年のことで、職業ドライバーとしてタクシーやトラックドライバーに女性が出てきたのはここ20年のこと。車ではありませんけど、電車の運転手が女性というのもここ10年のことですし、パイロットに至ってはハテ、いかがなものかというくらい男性優位です。

それくらい車社会のおいてはデフォルト値が男性になっているんですね。ですから車に興味を持っているのも、運転するのも、買うのも男性だと思っている。

ところが実際には昨今はそうではないのではないかと。まず運転は女性ドライバーが最早普通ですね。昔は「女性ドライバーは自己中心的で、回りを見てなくて、運転が下手」と敬遠されてましたけど最近それをいう人はいません。そして購買の決定権を持っているのももちろん女性(奥様)。家庭では最終的には奥様の同意を得られなければ買えません。

そうなってくると残りのひとつ、車への興味という点です。若い世代の車離れが指摘されて久しく、実際にそのようなのですがこの調査というのはあくまでも「男性」ではないかという仮説です。確かに不経済で、車で女をゲットする時代ではなくなってきた昨今、男性が車に興味を持たないのは自明です。

ところが一方の女性は逆に車がないと生活ができないという現実に直面しつつあるのです。

一部の交通至便な都市部はともかく、ちょっとした郊外になればもはやアメリカと同じように郊外型のショッピングセンターを中心とした行動様式になります。同時に地域密着型の小型店舗が次から次へとなくなっていくのでこの動きはまさに連動しています。そうした中で生活するとなると、車は必需品であり、運転は必須となるのです。

従来女性が車を苦手とした理由としては

・ハンドルが重い
・メカ音痴(メンテナンスができない)

が大きかったです。ところがハンドルが軽くなり、メンテナンスフリーな品質の高い車になってあとはガソリンを入れるだけとなれば、まったく問題ないです。誰もがアメリカと同じく、普通にセルフでガソリンを入れてます。

都市部ではベンツやBMW、ポルシェを颯爽と乗りこなす女性を多く見受けます。彼女達は特殊な才能をもったプロドライバーではなく、ちょっとセレブな女性たちでしょう。そして運転をするのは便利というだけではなく、おそらく運転がしやすく、楽しいからではないかと推察するのです。

もう一つの仮説は、現在の車離れのもう一つの要因は「車の運転が楽しくない、苦痛だから」というのがあるのではないか、というものです。

便利だからという理由だけで3列シートのミニバンに乗るものの、ボディは大きくスーパーの駐車場は狭い。安いからという理由で軽に乗るものの、背高のおかげでいつでもフラフラユラユラ。乗り心地は悪く、横風が吹けばどっかとんでっちゃう。そんな車の運転はストレスフルで、疲労がたまります。だから夫婦間で運転をおしつけあい、ともすれば夫婦喧嘩になりかねません。

もう一度いいますが、今の日本社会で一部の都市部を除くと車なしで生活は成り立ちません。

そのとき、車の運転が苦痛で、義務で、勤労であるならば当然車離れを起こしてしまいます。しかし逆にこれが楽しく、自由で、趣味であるならどうでしょうか。

「運転を私に代わって」

といわしめるような車であるならば、そして何キロで走っても、何百キロ乗っても疲れない車。

タクシーのうんちゃんは下手だし、道知らないし、車もぼろいからイヤ

ということになれば車離れではなく、再び車好きが生まれることでしょう。今の国産車は車嫌いを量産しているのに過ぎないのです。

そしてこの新しい車好きは旧来男性が担ってましたが、今後は女性が同じだけ台頭するでしょう。そうなると今ある車雑誌は余りにも汗臭く、オヤジっぽいものばかりです。女性誌のような作りで女性の生活に密着したファッショナブルな車雑誌が実は求められているのではないでしょうか。

車でいえば適度なサイズでデザインが美しく、ハンドリングに優れたものが良いです。ベンツやBMW、ポルシェと同じくらいだといいんですが、そこは国産。やれば出来るはずです。

定員はズバリ3名。2シーターでもなく、旧来の4ドアでもなく。女友だちを2名乗せられる、夫と子供を乗せられるで十分。どうせそれ以上になったら他の車で代替するので過剰は禁物です。

最近女性モデルをフィーチャーした限定車を出すなどトライアルはあるようですが、車のコンセプトデザイン、設計から「女性専用車」と作らないとホンモノはできないでしょう。逆にそこまでやれば必ずや成功すると思うのですがね。

またメディアミックスは重要です。女性ドライバーが活躍する漫画。これを少女漫画として掲載、さらにはアニメ化、そしてドラマ化。今の世代に向けてだけではなく、小学生、中学生に向けても重要です。もちろん男性キャラの布陣は手厚く、美少年キャラで腐女子対応もぬかってはいけません。さすれば10年後に大きく刈り取れるかもしれませんよ。

新しい時代は女性が牽引します。がんばれ日本車。