結果的にうちにはBMW製のFFであるMINIと、Honda製のFRであるS2000が残りました。
よく考えると大変に逆説的であります。
単に私が変わり者(ひねくれモノ?)だということもありましょうけど、この取り合わせは実に興味深いです。どちらのメーカーも自分の得意分野ではないところで勝負しなければならないからです。
両社に共通するのは得意とする分野の方程式がそのまま使えないところ。つまりFRなら普通こうだろう、FFならこうだよ、というのが使えない。エンジンのマウント、ミッションの配置が異なれば振動も重量配分も運動特性も全然かわってしまうし、ボディ構造も異なります。
当然一流メーカーの両社、完成度の高いものを作ってくるわけですが、それぞれにコダワリのポイントがあって実に面白いです。
BMW MINIの場合はリアサスペンション。1.6リッタークラスの回りを見てみると最早どの車もコストを考慮して棒、つまりラテラルロッドを使ったトレーリングアームで左右輪がつながってます。昔カタログスペックとして流行った
「四輪独立サスペンション」
ではないんですね。ホンダもEK系シビックまでは4輪独立サスペンション、ダブルウィッシュボーンと凝っていたのですが、シビック自体が2リッタークラスへと昇格してしまい、フロントサスはストラットにグレードダウンしてしまいました。
そんな中MINIはリアサスが独立でマルチリンクな上にアルミサスアーム・・・なんというこだわり。
これは推測ですが、FRメーカーであるBMWはFFのリアサスがいかに重要かということを認識したからだと思っています。FFの場合リアはタイヤがついて、空転するだけの存在。悪くいえばついてりゃいい、となるのですがハンドリングを考えるとそうもいかない。FRであれば駆動がかかって、いかようにでも操作できるリアがGと荷重だけでしかコントロールできないんですから。そうなるといかにリアをセッティングするか、それがハンドリングの肝となってきます。その結果としてきちんとリアサスにコストをかけることになったのではないかと。リアタイヤからかいま見える、キラリとひかったアルミサスアームにはかなりヤラれました。
一方でホンダが作ったFR、S2000。これはまたひどい。なにせ元になるプラットフォームがまったくなく、あるとすると縦置き5気筒エンジンの初代インスパイア。どうせないならゼロから作ってしまえと車自体のコンセプトからなにからゼロスクラッチ。これがいかに大変かは想像を絶します。そして出来上がったのがFRオープン2シータースポーツ。なにもかも大変なわけですが、最も感動したのがエンジンの搭載位置とその前に鎮座する大型エアクリーナー。
50:50の重量配分だけでなく、マスの集中をさせるという理想的な配置。でもこの理想ってなかなかできません。少なくとも今までにフロントエンジンがフロントストラットの内側に完全に収まっているというのは見たことがなく、あるとすると小さなロータリーエンジンを積むRX-8くらいでしょうか。
両社ともにいえるのは「理想」を追求した結果、業界の常識にとらわれずに素直に作れた点でしょうか。一見ひねくれた車たちですけど、その内容は実に素直というのが対照的で面白いです。
【S2000詳細】
S2000 1999.04 FACT BOOK
開発のコンセプトなど詳細を紹介。これを読んでヤラれました。
S2000 1999.04ステアリング操作に遅れなく旋回する軽快なハンドリングレスポンスのために、徹底してコンパクト化した2リッター4気筒エンジンを完全に前輪車軸の後ろに配置する、新たなフロントエンジン・リアドライブ(FR)のパッケージング「ビハインドアクスル・レイアウト」を開発。あわせて、フューエルタンクとスペアタイヤなども後輪車軸の前に配置するなど、重量物を重心近くに集中させヨー慣性モーメントを低減させ、50:50の前後重量配分を実現しました。
【MINI】
MINI.jp
イケぽん
似たようなエンジン配置は、スズキのカプチーノがありました。問題点はバルクヘッドとアッパーマウントの距離が長いとボディ剛性が落ちることです(ロールするとねじれる)。S2000の場合は、フレーム構造で剛性を確保しているところが評価に値すると思います。
ダブルウィッシュボーンからストラットへの変更がグレードダウンといえるのかどうかは、かなり悩ましいです。ローコストなのは間違いないですが。足の良さは形式ではなく、設計の部分のほうが大きいと思います。
tnoma
カプチーノも確かにいい配置してましたね。ねじれるとのこと、なるほどです。S2000でも相当ねじれていると思うのですが、他のねじれとあいまって、しなり具合にバランスがとれているのかと勝手に解釈してます。たとえていうと釣竿みたいな感じでしょうかw
ストラット、というと語弊がありますね。EP3/DC5などで採用した継ぎ手付きストラットといった方がいいかも知れません。車高は落とせない、ストロークさせられないなど余りいい評判は聞きませんでした。リアはマルチリンクだけどミニバン(ストリーム)用なので同じく車高が下がらない、ストロークしないとか。
スプリング・ショックは変えられてもサスペンション形式は変えられないのでメーカーには頑張ってもらいたいところです。
イケぽん
DC5に乗っておりますが、フロントのストラットにいろいろと苦しめられています。さらに苦しめられるのが、リアのダブルウィッシュボーンです(ヘンテコな形ですが)。ストリームで荷物室を広くする目的があったせいか、アッパーマウントがトランク面に付いています(T_T)。おかげでストロークが極端に短く、全長調整式だと絶望的な固さのバネレートになります。
柔らかいバネにすればストロークを確保できますが、間違いなく車検に通らない車高になります。
まー簡単に言うとDC5/EP3のサスペンションは変更の自由度がなくって、前後とも相当苦労します(泣)
tnoma
>イケぽんさん
DC5に乗っていらっしゃいましたか。噂は本当のようですね、、、(苦笑
K20Aエンジンに憧れていたのですが、サスペンションがネックで結果的にはこの状況ですw
FD2シビックはどうなんでしょうね。エンジンとミッションは最高でしたが。
イケぽん
FD2シビックRの走行を街乗りで後ろに付いてみましたが、すごく固い足に見えました。わたしの装着しているスーパーオーリンズDFVとあんまり変わりません。
もっぱらスポーツランドやまなしを走っておりますが、FD2シビックRで本気でタイムアタックしている人は皆無に近い状況なので、どちらが良い足かはまだ不明です…。
クネゴ
こんにちは。
クネゴと申します。
貴殿のブログを引用させてもらって宜しいでしょうか?
よろしくお願いします。
tnoma
>クネゴさん
引用の件、問題ありません。
どうぞよろしくお願いします。