『強い現場を作る「トヨタの上司」』は職場改善の手本書

『強い現場を作る「トヨタ」の上司』という書籍を読みました。

トヨタの上司
トヨタの上司OJTソリューションズ

中経出版 2007-10-20
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これはトヨタの生産現場で実践されてきた内容を上司の言葉を中心に紹介するもので、とても読みやすいものでした。

以下に印象に残った部分をピックアップします。

中村 武嗣氏

仕事の知識 前工程と後工程の仕事内容にも精通しなさい

よく仕事で自分の担当だけきっちりとこなすんだけど、その仕事がその後どうなるか気にしないとか、自分の仕事がやりやすいように前工程の人に「こうして」とかいうことがありますよね。例えばweb製作の現場であれば、

「データはイラストレータじゃなくって、切り出したJPGデータを頂戴」

とか、

「イラストレータのデータ作ってあるから、適当に切り出して使って」

とか。生産効率を考えると自分の仕事の範囲だけではなく、どちらがやった方がいいとかそういったところまで気を回すためには、前工程、後工程まで精通する必要があります。

中村 武嗣氏

(トヨタは教える道具を持っている)

教える道具を持たなければ口伝えだけで教えることになる。いわゆるOJTですが、それだけだと教える人のスキルを超えられない

OJTですけど、たしかに「標準化」という話でいうと、ツールがあった方がいいです。OJTとは結局研修をを省略したようなもので、担当者と受けてによって教育にばらつきがでてしまうわけですから。

中村 武嗣氏

ビジョン指向型の問題解決

・世界情勢はどのようになっているか

・世界の自動車業界はどうなっているか

・日本の経済、自動車業界はどうなりそうか

・トヨタはどうななるか、どうあるべきか

・自分の職場はどうあるべきか


トップからブレイクダウンしていく手法です。ソニーの盛田さんが常に「アンテナを高く」といっていましたが、近いものを感じます。

中村 武嗣氏

問題解決の力をつけるためのトレーニング

三分間スピーチとケーススタディーで問題解決の力を養う

人前でスピーチ、プレゼンを行うことは問題解決はもちろん、人に伝えるというコミュニケーション能力を高めることができます。ブログのエントリーを書くというのも、同じような訓練になるように思いますが、いかがでしょう。

山田 伸一氏

全部ができるひとは多くない。だからみんなでやる


よく「エースが欲しい」とないものねだりをする会社や職場があります。そりゃあエースが来ればなんだってできます。営業のエースであれば、ばんばん受注できるだろうし、プログラマのエースがくれば、どんな難解なリクエストに対しても、「できますよ」といって次の日には出来てます。

でもね、そんな人は現実、雇用できるような状態にないんですよ(w

だからみんなでやりましょ。

近藤 刀一氏 中根 光男氏

仕事ができん奴でもチームの一員

上に関連してなんですけど、いかにその人の能力を引き出すかが重要です。誰かが120%働いて、ある人は80%しかできなくてもいいんです。もちろんその差は何かでつける、例えばボーナスが違うなどする必要がありますが、できないからって仕事を与えなかったり、辞めさせる必要はないわけですね。一人でできることはないのでチームワークが重要。team work.

近藤 刀一氏

個人を責めるな。しくみを責めろ

ある職場で作業員がケガをしてしまった。上司が「お前がぼやっとしているから悪い」と責めたが、これはおかしい。

つまり注意を払わないとケガをしてしまう、緊張感が必要な危険な作業だったわけですね。
これは工場だけではなく、ITでも同様でしょう。

不要なファイルを消そうとrmしてみたら、rootで別のディレクトリをさっくり綺麗にしてしまったとか。
複数台のホストにログインして実行していたら、ホストを間違えて操作してしまったりとか。

これで個人を責めてはいけません。大抵そういう場合の対策は「気をつける」になるんですけど、それでは未然に防げません。

そもそもそういった手順、紛らわしい操作をすること=仕組みがいけないのです。ということでそんなに気をつけなくても間違いが起きないよう、fail safeになるような仕組みが必要です。

原田 恒夫氏

「村祭り」

村祭りとは、各家庭から2合の酒をもちよって村祭りに出すお酒にしようとしたところ、どうも水っぽい。というのも「うちくらい水いれてもわからんだろう」とみんなが水を入れてしまったせい。

書類のめくら印とか、それに近いですね。いくつも印がおされているのに、誰もチェックしてないっていう、アレです。はい、気をつけます。

豊田章男氏(現トヨタ自動車副社長)

「感謝・謙虚・信念」

「物流カイゼンは人間関係が大事」、そう思うからこそ豊田章男氏はディーラー支援の現場での人間関係を大事にしたという。

コストとか、リードタイムとか改善すべき点はもちろんあるでしょうけど、まずは人と人のつながり。人間関係をきちんとケアしなければいけないという話です。まったくもってその通りで、結局この一冊の一貫したテーマは、

人を人間として尊重して、全員で上を目指しましょう

ということです。「村祭り」の例ではみんなが水をいれてしまって酒が水になってしまいましたけど、逆に全員が良いものを持ち寄れば、素晴らしいものを達成することが可能となるのです。

それにしてもすでに、過去の栄光なんでしょうかねえ。

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