のまのしわざ

カンバン方式、カイゼンなどトヨタ式を標榜する言葉が氾濫してます。私も深く知らないで使っていた節もあるので、ここできちんとトヨタ式を理解すべく、本を読みました。

本屋にいくと「トヨタ」でひとつのコーナーがあるんですよね。大野耐一さんがトヨタ式の開発者で知られますが、著作としては若松義人さんのものが多く、ポピュラーです。その中で選んだのがこちら、最強の現場を作り上げる！トヨタ式「改善」の進め方　です。理由は一番軽くて、安かったから。

トヨタ式「改善」の進め方―最強の現場をつくり上げる! (PHPビジネス新書 32)
	若松 義人 PHP研究所 2007-05 売り上げランキング : 1398 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書 450) 元トヨタ基幹職が書いた 全図解トヨタ生産工場のしくみ トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして トヨタ流「視える化」成功ノート―「人と現場が変わる」しくみ 「判断力」の磨き方 (PHPビジネス新書 35)

この中でいくつかトヨタ式のエッセンスであり、特に目をひいたものをピックアップしてご紹介。

トヨタ生産方式は手段、手法だけではなく、意識の改革を迫るものだ。

大量生産方式：つくり手の論理でなりたつ
トヨタ生産方式：買い手、お客様を中心に考える作り方

（p.145 改善推進チームとトップの役割より）

改善推進チームにはトップ・実力者の参加が不可欠だといいます。小さな会社では社長自らが、大きくなるとナンバー２・副社長が相応しいそうです。そしてトップの取り組む姿勢が問われる、と強く主張しています。

…当時のH社の担当部長は「モノを買ってやっている」という態度で仕入先に接していた。約束の時間に仕入先が訪ねてきても、「仕事があるから」と平気で相手を待たせ、「待たせても当然」という態度が目についた。納入された部品に重大な不良でも見つかろうものなら、すぐに担当者を呼びつけて、理由も聞かずに値引き要求をする。はては取引打ち切りを口にして脅す。最も大切な「なぜ不良が出たのか」「不良が出ないようにするにはどうすればいいか」などはまるで考えようともしなかった。

（p.205 本当のパートナーシップを求めて）

車メーカーといっても部品はいわゆるサプライヤーと呼ばれる会社から購入（仕入れ）します。ですから関係各社とのパートナーシップはとても大事です。もちろんこれがイベント運営となればパートナーはまた業界が変わってきますが、トヨタ式は業界を超えて適用可能な普遍な方法だとこの本は説いてます。

あるとき、病院経営者の会合でトヨタ生産方式を知り、「これは病院にも適用できる」と考えた。

（中略）

（受付から会計まで）９０分以上もかかっていた。以後、カルテをトヨタ生産方式の「かんばん」と考えて、スムーズに流れるよう改善を重ねた。その結果２ヵ月後には待ち時間は１時間を切るようになり、患者にも各自の待ち時間を示せるようになった。

(p.90 「仕方がない」を放置しない)

この本を読んで、F1富士の開催、運営があまりにもトヨタ方式とかけ離れていた点に驚きを隠せません。

前評判では「カンバン方式」を利用したチケット＆ライド方式によるスムースなアクセスが売りだったのが、蓋をあければこの体たらくです。トップ・責任者不在、現場責任者の現場放棄と逃亡。そしてC席仮設スタンドの件も明らかに事実を隠蔽しています。これでどうして「トヨタ」を標榜することができるのでしょうか、余りにも「トヨタ式」と違いすぎます。

驕れるものは久しからず。

そんな言葉が相応しい世界一の企業トヨタ、いや世界一のKY企業トヨタです。

もしも今後もトヨタが世界一の企業としてありたいのであれば、真摯に事実を受け止め、説明責任を果たし、お客様を中心に考えて謝罪、対応、改善をしていって欲しいと感じます。

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