日本人にとって地球温暖化はリスクではない

先日から「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」を読んでますが、これを先にいっちゃオシマイだからわざと最終章に書いたと思われるのがこちらの内容。

地球は温暖化しない。なぜなら
地球温暖化の原因となる石油が
その前に枯渇するからだ!

地球温暖化は100年単位での話しをしていますが、その前に石油が枯渇するという指摘です。そして石油が枯渇すれば、温暖化ガスのうちCO2の排出も抑えられるので、地球温暖化は解消。だから心配する必要なんかないと。

それよりも心配しなければいけないのは、もっと広義な意味での環境。石油に頼ったエネルギー政策、さらにそれをベースとした労働集約型の高効率な農業。食糧自給率の低さは、エネルギーがなくなった場合はさらに押し下げ、決定的なダメージを受けると指摘します。

さらに話は広がり、治安、そして親を尊敬する心の欠如など、「社会」全体を憂う内容になっていくわけですが、注目したいのはエネルギー政策。

現在エネルギーなくしての農業はありえません。高度に工業化された農作機械とシステムを利用し、農作物は生産されているのが現実です。ガソリン、電気がなければ野菜を生産することも、生産地から消費地まで届けることも不可能です。Just in timeの物流システム、倉庫レスなコンビニは24時間365日トラックが全国津々浦々を走りまわっていることを前提に成り立っているのです。ガソリン価格の高騰はこれらの価格を押し上げます。

さらに現在世界的に問題となってきているのが、水不足です。これは単純に飲料水が不足したのではなく、拡大する農業生産に対して水が必要となり、その一方で砂漠化する土地が出ている現実があります。増えすぎる人口を養い、一方でエネルギー危機による食糧生産の効率がおちた場合、食糧の輸出国が輸出の割合を減らすことは想像に難くありません。

その場合に食糧を得られなくなるのは先進国で、日本だけなのです。

アメリカやフランスは食糧自給率は100%を超え、食糧輸出国になっているのは有名です。他の先進国でも80%程度はまかなっており、40%という自給率の低さは実はエネルギーを外に頼っているのとあいまって二重のリスクになっているのです。

つまり、日本においては地球が温暖化する前に、石油がなくなる前に、食べるものが無くなる可能性の方が高いという事実です。

すでにこれは起きていることですが、中国で生産された農作物が日本に輸入されなくなる傾向にあるそうです。なぜなら中国が裕福になり、中国国内で高値で取引されるため、日本に輸出する必要がないとのこと。そういう状況ですから今後も中国国内の需要が高まり、高値で取引できるのであれば、わざわざ日本に輸出なんかしません。これは外交上の大きなリスクにもなりえます。

実は地球温暖化、そんな些細なことよりも石油枯渇、そしてその前に引き起こされる食糧不足の方が日本という国、日本人にとって大きなリスクなのです。がーん。

環境問題はなぜウソがまかり通るのか
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