俄かに盛り上がる環境騒音

元々は自動車のマフラー騒音対策に規制が導入されるということで、一部の車業界から過敏な反応があり知ったのですが、マフラー騒音に関してはとりあえずおいといて。そのマフラー騒音を含めてさまざまな環境騒音について環境審議会というのが開かれているようですが、なかなか内容が興味深いのでご紹介を。

中央環境審議会第2回騒音振動部会会議録

以下引用しながら抜粋。

韓国、ソウルで川をつぶして暗渠にし、その上に高架の道路を通していた場所の話です。景観等の問題から高架をとりはずし、川に戻したところ騒音音源は減っているはずなのにかえって色々な音が聞こえるようになった興味深い話。

中央環境審議会第2回騒音振動部会会議録

【鳥越委員】

うるさいという感じよりも、環境騒音レベルが全体にすごく上がっていて、むしろいろんな音が聞こえない状態になっていたわけですね。やはり人間ってビジュアルですから明るくなったとか、山並みが見えるようになったとかというふうには気づくんですが、音環境の変化はあまり意識していない。前より静かになったのかと聞けば、そうだ、以前に比べていろんな音が聞こえるようになったよというような話なんですね。

次に身近な高尾山の話。設定された騒音レベルを下回ればいいって話ではないでしょ、という指摘。

中央環境審議会第2回騒音振動部会会議録

【鳥越委員】

高尾山というのは江戸時代よりもっと昔、1200、300年ぐらいの歴史を持って、そこは霊山なわけですね。ですから、今も国定公園ですし、住んでいる人は少ないかもしれないけれど、首都圏を中心に大変多くの人たちがその静けさというか、自然と向き合ってコミュニケーションをとるためにやってくる。そこには豊かな静寂と、自然の音があるからこそ、心の安らぎですとか、宗教的なことを求めにくるところである。
 そういう特殊な地点で、環境基準値よりも低いからといっていいじゃないかという論理しかない。騒音についてそれ以外の考え方は今は法律上はできないんだということはよくわかりましたが、何かもっとできないものか。

これを受けて規制を考えるときに音圧レベルだけは限界があり、完成に合わせこんでいくことが大事ではないかという問題提起。

中央環境審議会第2回騒音振動部会会議録

【橋本委員】

規制を考えるときに、音圧レベルで何デシベル以下というような規制がどうしてもやらざるを得ない、騒音計で測る以外にやりようがないので仕方ないと思うのですけども、実際には同じ音圧レベルでも、非常にうるさく感じる音と、うるさくない音とバリエーションがあるわけですね。ですからそれを、どうやって人間の感覚に合わせ込んでいくかというのは、鳥越先生がおっしゃったようなことと無関係ではないと思うんですけども、必要なことじゃないかなという気がしております。

マフラーの話で、驚くべき数値が。二輪車に限ると4割台で交換されているとのこと。どの二輪といっても50ccからリッターバイクまで幅広いので分かりませんけど、まあ交換してノーマルより静かなものはないわけでしょうから相当「追加音源」を取り付けられているのでしょう。

中央環境審議会第2回騒音振動部会会議録

【徳永環境管理技術室長】 すみません。それと、交換マフラーの割合でございますが、これは今、調査中ですので、具体的なデータはございませんが、自動車工業会で二輪車について抜き取り調査をした例がございまして、それでいいますと、4割台ということでございます。2分の1弱ぐらいまでが交換されているという話でございます。

一方で面白いのが「世の中静かになりすぎている」、「もっとうるさくてもいい(本来はもっとうるさいはず)なのでは」という意見もあります。

中央環境審議会第2回騒音振動部会会議録

【山下委員】

一つ申し上げておきたいのは、環境グランドノイズというか、日ごろの環境が静か過ぎやしないかということをちょっと考え直してみたいんです。今、環境省さんの努力のおかげで、大変静かになって世の中静かになる傾向、これを美徳としている。でも本当は、もっとうるさいのは当たり前じゃないかという世の中になっているところに、目を向けてみたいなという気がします。

これに呼応して、おそらく世代間の騒音レベルの違いを端的に表している事象がこれ。若い世代の方が騒音レベルが高いところでも気にしないでいられるようです。まあ生徒は授業にそもそも集中していないですが。

中央環境審議会第2回騒音振動部会会議録

【橘武史委員】

例えば今ここで聞こえますこのエアコンの音がなければ、恐らく会議などももっと集中できるのではと感じたりするわけです。
 少し嫌味なことを学生たちにしているのかなとも思うのですが、夏場、授業でエアコンが入ると、特に安物のエアコンを使っているものですから、グイーンというような音がして、講義をしていても非常に気持ちが発散してしまうんですね。それでエアコンを停めると、学生たちからは、「いや、別にうるさくありません、涼しい方がいいです。」というようなことを言われたりすると、少し悲しい思いもするんですが。

そんな議論の中で車のマフラー規制が入るってことで進んでいます。
現在パブリックコメントが募集されているので、ご意見がある方は送ってみてはいかがでしょうか。

道路運送車両法施行規則等関係規則(自動車騒音関係)の一部改正に係るパブリックコメントの募集について

ちなみに私の意見ですが、正直マフラー規制に関心がありません。マフラーを交換したいと余り思わないという点と、やはり年相応にうるさいのは疲れます。インプレッサの標準マフラーですら五月蝿いと感じているくらいです。

規制の内容は別段おかしなことをいってなく、単純にいうと「メーカーがきちんと品質を保証しなさいよ」ということで色々な条件をつけています。例えば吸音材(グラスウールなど)を使ったものであれば、耐久テストをしなさいよという内容ですね。新品のときはOKでもしばらくすると音量が上がるものが大多数ですからね。

いわゆるワンオフマフラーが作れない、装着するにはお金と手間がかかり零細企業や新興企業参入ができないから悪、という指摘もあります。湾岸MIDNIGHT風にいうと「シゲさんのマフラー」が不可になるわけですね。業界は大変でしょうけど、時代の流れなので仕方ないでしょう。頑張って試験通すしかないです。もしくはもっとコストの安い方法で品質保証をすることを提案するか。技術革新で騒音とパワーと燃費と排気ガスをコントロールするか。頑張れ業界の人。