「Zガンダム2 恋人たち」を見ました

渋谷での公開が終わるギリギリで見てきました。

機動戦士Zガンダム Part I ― メモリアルボックス版
B00005LCH9飛田展男 池田秀一 松岡美幸

バンダイビジュアル 2005-05-25
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(以下ネタバレあり。ご注意を)

総じての印象ですが、とにかく濃すぎです。濃縮還元100%オレンジジュースに例えるならば、濃縮した顆粒を舐めるようなピリッとした酸味が利いています。オレンジならまだしも、味噌汁に例えるなら味噌チューブを直接舐めるとか、味噌顆粒を飲むようでもあり、ちょっと苦痛感もありですね。上映時間は110分程度なのですが、Load of the Ringsのような3時間ものと同じ位に感じました。

話題になった声優交代の件ですが、フォウ・ムラサメは声優さんがやっているし、声質も似ているのでこれはこれで受け入れられますが、サラはかなり落胆しました。今回あてている池脇千鶴さんは女優ですが、女優として優れている人が声優として才能があるかはまったく別ですし、そもそも専門性が違うのでそういった配役は止めてほしいと常日頃思ってます。映画版ガンダムIの倍賞千恵子とかね・・・映画は政治なのでこういうことが頻繁に行われてしまうのですが、作品性に大きな悪影響を与えていると感じます。極端な例が宮崎映画ですね。声優が出ないアニメ映画は魅力半減です。

ストーリーですが、フォウがさっくりと死んでしまいました。元々はキリマンジャロで再会するんですが、まあそのときもサックリと死んでしまうんですけれども、ジェリドとの確執が深まるという演出効果はあったんですね。ただTV版ではジェリドに「女の名前か」とバカにされてキレることから物語が始まるのに対して、映画版ではその出来事の後の、MPの横暴に対してキレるのが主軸となっているので、この時点で「ジェリドライバル」という軸を外してしまったんでしょうね。ジェリドは前回ライラ、カプリコン、今回はマウアーを失うわけなんですがただカミーユに対しての恨みつらみが募るだけです。一方カミーユはジェリドなんか気にしていません。そのためカミーユvsジェリドの図式が映画版では作られないため、キリマンジャロ作戦をさっくりとカットしてしまったのでしょう。その影響が他にもあり、あのうざかったベルトーチカが全然前面に出てこなく、それにつられてアムロの出番も終了してしまいました。ストーリーとしてはスムースなのですが、まあ一つ一つ時間軸の転換が分かりにくいのとやはり総集編としての限界、新作カットと昔のセルのつなぎの不自然さが没入感を損なうわけです。

新作カットでいえば作画監督の恩田さんが1作目でぐれた事件があったのですが、その影響かキャラクターの新作部分が少ないとの印象がありました。どちらかというとMS、MAの戦闘シーンが綺麗に書き換わっていましたね。これはサンライズの親会社、バンダイさまの圧力か!?とも思いましたけどね。ただゼータ放送当時の私の不満点であった、「戦闘シーンがつまらない」というのは払拭されたので良かったです。

元々ゼータはMAが中心、しかも変形するためにMSとしての自然さ、泥臭さが希薄なんですね。そのため戦闘シーンもビームライフルばんばん打ち合うだけに終始しやすく、単調でした。それを今回の書き直しで距離感や速度感を表現することで遠距離での交戦と接近戦とのコントラストが出てきました。そしてMAからMSへの変形の妥当性も補強しています。最後に出てきたガザCは浮遊感とか、ハマーンの邪悪さをうまく体現できていました。

ゼータのTV版は52話あり、ファーストの43話と比べて9話も多いんですね。それを同じ3作品にまとめるというのはかなりの苦労だと思います。今回でハマーンをちらりと出して、3作目ではついにティターンズ、エゥーゴにアクシズ(ネオ・ジオン)の三つ巴の構図に集中できるようにしたのは良い構成ですね。今からラストがとっても気になります。

ガンダム部員たちで噂されているのは、最後ハマーンは生き延びるのではなくやっつけられてダブルゼータを存在ごと消してしまうという説です。黒歴史はいっそのこと封印するって奴ですね。3作目はもっと早く、できれば公開と同時に見に行って、いちはやく「誰も知らないラスト」を体験したいです。