自由闊達なる理想工場

外野から見る昨今のソニーについてはよくまとまっていると思います。

先日ソニーが、トップ人事刷新を発表した。携帯型デジタルオーディオ事業での“失敗”や、DVDレコーダー・薄型テレビへの対応の遅れなど、最近は首をかしげたくなる事業戦略が目立ったが、創業時に掲げられた「理想工場」はどこへ向かうのだろうか。

しかし実際にはもっと単純で、根の深い問題がそこには横たわっているように思います。

簡単にいえば会社が肥大化し、組織が老朽化しただけのことです。「大企業病」という言い方もあてはまるでしょう。

設立趣意書にある「自由闊達なる理想工場」は創立60周年を迎えようという古い会社では残念ながら言葉だけが残ったに過ぎません。社員がiPodを使っているという指摘は当然のことで、iPod以前からMP3プレイヤーを普通に使っています。誰もが思うように、チェックイン、アウトなんてしちめんどうなことは望んでないのです。

それなのになぜ? 政治です。レーベルと調整した結果、無制限コピーが可能なMP3はダメで、チェックアウト3回までならOKで政治決着したからです。ちなみにATRACは音声圧縮形式の名前、MagicGateは暗号化と著作権保護技術の名前、OpenMGがコンテンツ管理保護技術の名前となっています。

- 著作権技術の仕組み

ATRACはMD開発時の技術でMPEG(1)ができようかという時代です。問題はMagicGateとOpenMGです。これは政治を解決するための技術で、ユーザーに対して何もメリットを与えず不便を強要するものだったのは周知のことです。これのどこが「理想工場」なのでしょう?理想工場は技術者の自己満足のためや、政治を支えるものではなかったはずです。ユーザーの暮らしを豊かにし、愉しみを与えるために技術をいかんなく発揮する場所だったと想像します。

とまあそんなことをこの記事をみて思い出しましたね。私は退職時に設立趣意書の理念だけ大事に持ち帰ることにしました。中の人、頑張れ。