すべての賃貸住宅入居者へ:敷金の返金トラブル

いわゆるアパートなどの賃貸住宅からの引越しの場合問題となるのが、敷金の返金トラブルです。ここ数年でトラブル・苦情が増えているそうです。しかしそんなトラブルに自分が巻き込まれるとは思ってもみませんでした。

(12/30/2003に一度エントリーしたのですが、事情により差し戻し、今回再公開します)


・前フリ

引っ越す間際になり、同じアパートの方と仲良くなりました。その方いわく、その前に入居していた人が出て行くときにもめたとのこと。入居していた方は外人の方と日本人の奥様でしたので、きっと「外国人の方だから、日本の慣習に馴染めなかったんだろう」くらいに思っていました。

・それって変じゃない?

退室の1ヶ月前に媒介業者の営業所にいって、解約の手続きをすることになりました。提示されたのは3枚の紙。2枚は部屋の解約書、駐車場の解約書です。そしてもう一枚が「原状回復工事精算単価及び負担割合表」(以下、原状回復覚書)でした。

その内容で問題なのは以下です。

1) 室内クリーニングは入居者負担
2) 畳・襖・障子等の取替え費用は入居者の全額負担(期間問わず、原則取替え)

1)については、普通だと思ったのですが、2)の内容は納得がいきません。それに対して媒介業者の説明はこうでした。

「これはアパート管理会社との間で決まっており、契約書にも載っています」

契約書なんて読んだことないので、契約書に書いてあるといわれたら反論のしようがありません。この時点では値段も分からなかったですし、しぶしぶサインをしてしまいました。

・それって変だよ!

さて退室当日です。退室と同時に立会いのもと、敷金から原状回復費用を差し引いて返金するという手続きがとられます。リフォーム業者の査定が終わり、提示された費用が、

17万円!!

帰ってくるお金ではありません。敷金から差し引かれる金額です。今まで何回もアパートを借りてきましたが、通常はハウスクリーニング費用にちょっとした補修で3万円から4万円くらいでした。今回は入居期間が1年半ですし、特に汚したり、傷をつけたということはありません。なにより、今までは掃除もしないで引渡しをしていましたが、今回は念入りに水まわりを綺麗に掃除したにもかかわらずです。

どうなってるんだ!

ここで半ギレ状態だった私はリフォーム業者に詰め寄りました。すると、リフォーム業者は必要なリフォームから、さきの「原状回復覚書」の内容により入居者負担(私)の部分を計算しているだけですという。そこでリフォーム業者は媒介業者を呼びました。

・それは契約ですから

まず、私が負担する内容はこうです。

- ハウスクリーニング費用
- エアコン洗浄
- 畳表替え
- 襖張替え
- 出窓面材張替え(植木による日焼け跡)
- 網戸2枚張替え(破れあり)
- クロス張替え(2部屋)

まず指摘されたクロスの汚れや傷ですが、これは入居前からついていたものでした。まずこれは自分ではないので外してもらいました。しかし畳・襖の取替え費用は「管理会社との契約に載っていて、入居者(私)負担となっている」との主張。ここでも契約書をよく読んでなかった私は食い下がれませんでしたので、ここで打ち止め。クロス張替え分と網戸1枚分を差し引き、約11万円でとりあえず敷金返金のための書類にサインすることにしました。

・意外なトラブル

さて、通常は荷物を全部搬出し、すっからかんになった状態で立会いを行い、鍵の引渡しをして終了するはずです。しかし今回は引越し業者の見積もりミスで、すべての荷物が2トンロングのトラックに積みきれないことになりました。最初業者は別のトラックを呼ぶとなるとお金がかかるとの話だったのですが、明らかに営業の見積もりミスだということで、無料で夕方にもう一台トラックが来ることになっていました。

さて立会いのあと、なんとなくむかむかしていた私は残った荷物とともにもう一台のトラックを待っていました。来るまであと2時間はありました。時間をもてあましていたので、ふと「そうえいば、契約書なかったっけ?」と、契約書を引越し荷物の中から探し出し始めました。

・怪我の功名

契約書を見るとハウスクリーニングの記載はあるものの、媒介業者が主張する「畳・襖の張替えを必ず行い、入居者負担」というのがないのです。ここでマジギレ。即媒介業者に電話し、「契約書を見たら書いてない。管理会社にすぐ確認して見解を欲しい」と連絡しました。

担当者から連絡が来ません。

2台目のトラックの搬出が終わっても連絡がありません。ここでマジギレから、怒りモードです。てめー、騙したな!?

残る鍵を届けに媒介業者の営業所に行き、同じ主張を繰り返します。すると立会い担当者にすぐに連絡をとって、連絡を入れるようにしますとの答え。その後10分ほどして連絡が入りました。

「管理会社が日曜日でお休みなので明日、月曜日に連絡します」

との答え。私としては、契約書に載ってないのだから畳・襖の費用負担はしないというのが狙いです。そうなるとハウスクリーニングと原状回復・補修部分の負担となり、普通の金額に抑えられます。

・大爆発

しかし月曜日に担当者から連絡が来ませんでした。
火曜日(祝日)にしびれを切らして連絡してみたところ、

「担当者は本日お休みをいただいています・・・」

ここで大爆発。普通月曜日に連絡入れるっていったら、例え進展がなくとも留守電の一本くらいは入れるのが常識でしょう?上司に代わってもらい、一連の主張と担当者が連絡を入れなかったことを説明しました。上司の方はすぐに状況を確認し、折り返し連絡をくれました。

「本日と明日は管理会社がお休みなので、必ず木曜日には連絡をします」

そこで大人しく木曜日まで待つ自分ではなかったのでした。

・入れ知恵

「かくかくしかじか、これってひどいでしょー、訴訟も辞さないよー」

と、あちこちに言いまくってました。というのもこれだけマジギレしたのは本当に久々、1年以上振りでしょうか。するとアパート経営もやっている人からこんなアドバイスが。

「不動産会社は訴訟とか全然怖くない。(顧問)弁護士いるし、慣れているし。それよりも宅地建物取引免許を出している自治体とか、所属している協会に言うぞって脅した方が効くよ」

さすが専門です。早速水曜日にあちこちに連絡してみます。

・クレーマー&クレーマー

まずは国です。国土交通省 住宅局から以下のリンクを見つけます。

国土交通省:賃貸住宅に係る相談・情報提供窓口

以下へと連絡してみました。

・(社)全日本不動産協会から(財)不動産適正取引推進機構

ここに連絡したところ、東京都本部を紹介されました。東京都本部に連絡すると、内容から(財)不動産適正取引推進機構を紹介されました。

(財)不動産適正取引推進機構の方いわく

- 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が平成10年に出ている
建設省(当時)が出したガイドラインで、自然損耗とは何かを定義している。ただこれは法的な強制力はない。

- 平成12年12月の判例
契約書に入居者に不利な内容が記載されていたが、公序良俗に反するとして契約内容は無効、入居者が負担しなくても良いとされた判決が出ている

- 消費者契約法が平成13年に出来た
消費者(入居者)に不利な契約はたとえ契約が成立していても無効に出来る。

最初機構の方は私が入居者ではなく、貸主だと思っていたらしく「不利な世の中になってきていますねぇ、でも受け入れなきゃダメですよ」とか言ってました。

そこで都庁の住宅指導課というのがあり、「貸借の手引き」というガイドブックがあるので参考にすればよいとのアドバイスを頂きました。

・国土交通省住宅局住宅総合整備課マンション管理対策室

国土交通省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の概要

を出しているところへと電話してみたところ、あっさりと

「払う必要はないですね」

との答え。国がいうんだから、これはイケるはず。

・東京都住宅局不動産業指導部指導課

こちらに相談したところ、

「すべての書類(契約書、覚書)を持って、相談窓口に来てください」

とのこと。都庁第2庁舎3階へと出向くことにしました。相談の受付時間は平日 9-11am, 1-4pmです。

・相談窓口

ポイントは2点あり、まずは契約書では「畳・襖の取替えを行う、費用負担は入居者」がないことの確認と、「原状回復覚書」をどう取り扱うか。

まず契約書の方ですが、補修の条項にはハウスクリーニングのみ記載されているます。媒介業者の主張する特約条項には、畳・襖以外の鍵や壁など数十の項目に渡って、「傷・汚れ」がある場合に補修する旨が書かれていました。これに対し、指導課の方の見解は

「特約は明確性が必要であり、この表では明確性がない。ゆえに(畳・襖替えの)有効性はない」

とのこと。一方の「原状回復覚書」の方ですが、

「たとえ内容に同意してなくても、サイン・捺印までしちゃっていると不利ですね。これが契約と言い切れるかがポイントです。つまり法的効力を発揮してしまうかどうか。この点は私は弁護士ではないので、弁護士の方と相談してください」

契約者(今回は私)の自由な意志によりサイン・捺印したのでなければ無効となるでしょう。特に事実を誤認させるような誘導(契約書にその旨があったなど)をしているのであれば、訴訟を起こすのであれば事実をたんたんと記述したメモを作り、自由な意思では無かったことを示した方が良いでしょう、とのアドバイス。

また流れ的には媒介業者と交渉を続け、交渉でダメなら訴訟という形になります。ここで気をつけるのは交渉は媒介業者なのですが、訴訟を起こす場合の被告となるのは(被告適格は)、管理会社となるとのこと。契約書は私と管理会社が取り交わしているためです。普通の物件は家主が賃貸人なのですが、私の物件は家主ではなく、管理会社が賃貸人となっていました。

・意外な指摘

契約書を読み進めるにつれて、こんな指摘がありました。

指導課「ハウスクリーニングも書いてありませんね」
私「ここにありますよ」(と、条項:補修を指摘)
指導課「これは補修であり、今回の件は条項:敷金が適用されます。この条項:敷金にはハウスクリーニングについての記載がありません。そうであればハウスクリーニングを入居者の費用負担で退去時に必ず行う必要はありません。条項:補修に書いてあるのは、解釈は曖昧ですが、長い期間入居していて汚れてきて、どうしても綺麗にしたい場合のハウスクリーニングは入居者の費用負担になると解釈できます。」

目からうろこでした。確かに「ハウスクリーニング」の文字がある補修の条項、項目には「退去時に必ず行う」とは書いていませんし、敷金は基本は全額返金するだったのです。ただし原状回復費用の未払いを差し引くことができる記載はあります。そしてハウスクリーニングは「原状回復ではない」とのこと。

・指導課の解釈を確認

こうなったらすべての項目について確認したくなりました。そこで植木をおいた出窓の面材に丸く日焼け跡が残っていた件について聞いて見ました。

指導課「ああ、それは典型的な自然損耗の例ですね。」

自然損耗とは通常の使い方を行っていた場合、自然に経年劣化していく部分です。畳に家具をおいて、家具の場所は日焼けしないで跡が残るケースです。畳に家具を置くのは通常の使い方とみなされるわけです。原状回復とは入居時当時の状態に戻すのではなく、自然損耗分から著しく汚れ・傷があった場合に自然損耗した部分まで戻すことをいうのです(詳しくは国土交通省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の概要参照のこと)。

もう一点残った網戸については、破れがあったものの自分には憶えがないものでした。しかし入居時からそうなっていたのか定かでもないです。これについては

指導課「微妙ですね。やってないことを立証する必要があるので、入居時に写真をとっておいたりすれば証拠として提出できますが」

ということでした。ただこれを除けば

指導課「敷金は全額戻せます」

というコメント。しかし今回の大問題はハウスクリーニング・畳・襖替えを行い、費用負担を入居者が行う内容の「原状回復覚書」にサイン・捺印したことです。これさえ無ければ上記のとおりなのですが、そこで弁護士にこの覚書の有効性について確認することにしました。弁護士相談は都庁の指導課の同じ場所で出来ます。木曜日の午後に弁護士相談する予約を入れて帰りました。

・媒介業者担当者再び

木曜日の午前。月曜日に電話連絡をしてこなかった担当者が、いけしゃあしゃあと電話してきました。

私「今後は上司の方とお話しするお約束でしたが。だいたい約束した月曜日に連絡せず、火曜日お休みするとは何事ですか。」
担当者「月曜日以降にご連絡するとのお話しだったはずです」

月曜なのか月曜以降なのか、細かいことをいいあっても進展がないのでとりえあずこの担当者の話を聞くことにしました。管理会社の見解は以下のとおりでした。

- ハウスクリーニングに関しては条項:補修に記載してあるので、入居者の全額負担
- 襖・畳に関しては特約事項の中に記載されており、使用(入居)している。自然損耗ではないので30%~50%は負担して欲しい

これに対し、私は昨日の各相談窓口での見解や東京都の指導課に相談したことを伝えて以下のように主張しました。

- 畳・襖については契約書に乗っていないので費用負担しない
- ハウスクリーニング費用も契約書に載っていないので費用負担しない
- エアコン洗浄費用は見積書で負担割合が0になっていたのに費用計上されていた(間違いがあった)
- 出窓の面材は自然損耗のため、費用負担しない
- 以上から費用負担するのは、網戸1枚のみ(3000円だけ)

基本的には自分の解釈ではなく、東京都の指導課の見解であること。宅地建物取引免許を発行していることは東京都であること。ガイドラインが出ていて、一般的には畳・襖替えは(傷・汚れがないかぎり)入居者が負担しなくて良いことを強く伝えました。

最終的に媒介業者は畳・襖の費用負担は0%でよいとし、

- ハウスクリーニング費用
- 出窓の面材
- 網戸1枚

しめて 44,100円にすると言いました。こちらの主張は

- 網戸1枚

しめて 3150円の負担で、これが通らない場合は管理会社を相手取り訴訟を起こす用意があることを伝えました。担当者は管理会社と協議して土曜日に返答するといってきたので、それは待ちきれない、明日(金曜日)の午前中までに連絡をしてくださいと伝えました。これは時間をかけてもいい結果が出ないだろうということで、最低限必要な時間のみを与えました。

・ 行列のできる法律相談

さて、その午後にはまた都庁の東京都住宅局不動産業指導部指導課に併設されている弁護士相談窓口に行きました。

昨日の時点では畳・襖替えの費用負担、原状回復覚書の有効性について確認する予定だったのですが、午前の時点で畳・襖替えがなくなってしまいました。しかし一連の状況を説明して、確認をとることにしました。

通されると、そこには女性の弁護士がいました。気持ちとしてはビギナーのミムラ、横山めぐみ、奥菜恵、松雪泰子の誰かに似た感じを期待したのですが、実際には北村弁護士(行列のできる法律相談所)のような雰囲気の方でした。

一通り状況を説明するのですが、相槌をうつでもなく、まるで石像に話しかけるようで非常に話しづらいです。話しおわると、数秒間の空白の時間が訪れました。そしてその空白を破って

弁護士「ま、こんなものでしょう」

44,100円なら家賃の1/3なので、妥当だというのです。私も最初からこの数字が出ていたのであれば今までの相場どおりでクレーマーにはならなかったの思うのですが、今回は経緯がいけません。契約書に書いてあるといって、騙そうとしていたのですから。訴訟を起こしてても、徹底的に戦うという意思を告げると弁護士はたんたんと以下のように説明しはじめました。

- クロスや襖の張替えにともなう敷金返金トラブルは小額訴訟になる
- ハウスクリーニングについては書いてないものの、裁判では「客観的な判断」がなされる。たとえ原状で相手が畳・襖替えは費用負担しなくてもいいとしていても、実際には使っているため、この点が復活して費用負担することにもなりかねない
- (44,100円の)金額は不当ではない
- 訴訟を起こしても上記の理由から費用負担が減るとも限らない

悪徳媒介業者に正義の鉄槌を下すという正義感よりも、まずは費用負担を減らすという実利を優先させると、訴訟はそんなにトクにならないことを理解しました。最後に一番気になっていた、「原状回復覚書」について聞いてみると

弁護士「(今まで相手がそれを持ち出してきていないのであれば)無視していいでしょ。もしもそれを持ち出してきたら、内容をよく確認しないでサインしたので無効だと主張できます」

とのこと。それ以前に今までの交渉の中で今まで一切それを持ち出してきていないのは、媒介業者もその書類が消費者に不利な内容で無効だということに気付いているのでしょう。そして本来この覚書は契約時(入居前)に行って有効になるものだそうです。

上記のことから、訴訟に持ち込むのはやめ、交渉でどこまで下げられるかという方針に変更しました。

・大家と管理会社

入居していたアパートは、農家の方が大家で、農地の一部を削ってアパートにしたものです。その農家の方とは会えば挨拶をし、たまに新鮮な野菜を買ったりして、結構いい関係を築いてきました。

しかし、今回の一件で管理会社は大家の方にも連絡をしたようです。媒介業者の担当者からは約束の金曜日の午前、以下のように連絡が来ました。

- ハウスクリーニング費用の一部負担(20%~50%)
- 畳替え費用の一部負担(50%)
- 襖は汚れ、傷がないので張替えません(費用負担なし)
- 出窓の面材の一部負担(50%)
- (網戸1枚の費用負担は合意済み)

昨日消えたはずの項目、畳替えが復活していたのです。これは管理会社が大家に確認をとったところ、大家は畳替えをしたいということから出てきたそうです。まあ相手の立場としては当然の希望ですが。そして管理会社・大家としてはこの条件で妥結できなければ、訴訟を受けるつもりがあるとのこと。

弁護士相談の結果から、訴訟が決して自分に有利に働かないことを学習したので、以下の条件を提示しました。

- ハウスクリーニング費用の20%負担
- 畳替え費用は、東京都の指導課の見解に従い、負担しない
- 出窓の面材は50%負担

この条件を再び管理会社、大家に確認をとって日曜日に折り返し連絡を貰うことになりました。

・結局

日曜日の午前に連絡が来ました。こちらの条件を飲んで貰いました。その結果、

- ハウスクリーニング費用の20%負担
- 出窓の面材の50%負担
- 網戸1枚張替えの費用負担

で合計 13,230円の費用負担となりました。納得した私はさっくりとお礼をいって交渉を終了しました。

結局、最初17万円オーバーの見積書が1週間で 13,230円になったのです。なんか変じゃありませんか? 立会いで何も主張しなければいいなりで17万円のままなんです。今回クレーマーになったというのもありますが、しかし決しておかしなことは言っていません。東京都の指導課、弁護士に相談して正当そうなことを主張しただけです。指導課だって基本は中立であり、今回のケースとは逆の立場で部屋をぼろぼろにしたけど補修費用を払ってくれない入居者に対して業者が相談する場合もあるのです。

今回のケースでわかったのは、業者は入居者の敵だということです。敵のいうことを信用してはいけません。反省点は「決まりでそうなっている」「契約書に載っている」という言葉をそのまま鵜呑みにしてしまったところです。必ず自分で契約書を細部まで読み返すこと、自治体や弁護士に相談して確認をとることが自衛策です。

また入居時にクロス等に傷があったり、汚れがある場合は写真をとって証拠を残すか、必ず業者に立会いして確認をしてもらうことが必要でしょう。

幸い、しばらくは賃貸住宅ではありませんが、賃貸住宅に今住まわれている方、そしてこれから住むかたは十分に気をつけてください。

・続くかな?

やっぱり納得がいかないのが「原状回復覚書」です。敷金返金があったあと、媒介業者の所属している団体(協会)や、再び東京都にこの書類の悪質性について問いただしたいと思います。泣き寝入りした人は決して少なくないでしょうから。


今回の契約書から抜粋

【敷金】
敷金は、本契約が終了し、乙(入居者)が甲(賃貸人)に本物件を明け渡し甲の確認を得た後、原状回復に要する費用及び損害金等があればこれを差し引き、残額を30日以内に乙に返還する。但し、敷金には利息はつけない。尚、敷金は本契約の存続中はこれを賃料に充当することはできない。

【補修等】
1. 本物件内の内装・建具ほか設備機器に不良・汚れまたは破損を与えた場合には、その不良・汚れ又は、破損の原状回復に要した修理費等について、乙は全額負担する。
2. 乙が(禁止事項)に違反する行為をした場合、及び退室時には、乙の負担により、本物件を原状に回復し、あるいは設置物を除去しなければならない。
3. ハウスクリーニング費用は、入居期間を問わず、乙の負担とする。