RFIDのユビキタスコンピューティング

SFC RESEARCH FORUM 2003で、以下のセッションがあったので見てきました。他にも色々なセッションがあった中で、これだけ事前登録制でした。それだけ注目度が高いということでしょう。

エンタープライズ:脚光を浴びるRFID、可能性とその課題

、「Auto-IDをはじめとする自動識別技術の可能性とビジネス・社会モデル」と題するパネルが開かれた。小さなICチップを搭載した無線タグ(RFID)は、さまざまな物に貼り付け、個体識別に利用することで、バーコードの代わりにだけでなく、食品のトレーサビリティなどでも活用できると脚光を浴びている。

この前のセッションであった、坂村健X村井純対談から連続して聞いたのですが、RFID(無線タグ:各々がユニークなIDをもつ)がユビキタスコンピューティングとどう関わるかがよくわかりました。

元々無線タグという概念は古くからあり、

村井純×坂村健 対談:「ユビキタスは日本が貢献できる少ないチャンス」 (2/2)

RFIDというのは、1940年代に敵味方識別装置として第二次世界大戦のときにドイツが考えたんです。小さくするために40年代や60年代にいろいろ研究されたわけですが、70年代に核物質管理のためにロスアラモスのサイエンティックラボラトリーがRFIDの原型を開発しました。

民間利用で普及してきたのは、ここ10数年のことだそうです。例えばJRのSuica(ソニーのFelica)などもこのRFIDにあたります。この歴史を考えると、インターネットの歴史よりも圧倒的に古いわけですね。

そして1990年代後半にネットとRFIDがまみえるわけです。IPv6という、なんでもかんでもIPふれますよとなったとき、いわゆるコンピュータが入っているもの以外の利用をどうするかという話になってきました。PCや携帯、電化製品であればなにかしらのチップが入っているわけですから、それがネットにつながってIPふられるというのは想像に難くないです。しかし、例えばじゃがいもやトマトといった野菜にコンピュータチップをのっけてIPふって、ネットにつなげるというのは想像の飛躍となっていまいます。

この間をとりもったのがRFIDです。RFIDはそれ自体で処理能力をもつActiveタイプと、自身は処理をもたず、最小限のメモリとアンテナを持つだけの Passiveタイプに分けられます。Passiveタイプはそれ自体だけでは機能しませんので、必ずRFIDリーダー・ライターとセットで機能を発揮することになります。このRFIDリーダー・ライターがネットにつながっているので、RFIDを持つものはネットに繋がったも同然となります。

非常に画期的だなと思うのが、これまで個々を区別できなったモノ、例えば野菜などが一個一個個性を持つことができるようになる点です。産地、流通経路、加工、販売までの情報が入ること(traceabilityと呼ぶ)ができるようになります。すでに宅配便ではtrackingといって、どこの集配所にあるかが分かるようになっていますが、それの野菜版と考えてもよいでしょう。大きな違いは中間業者をまたがり、系列企業だけではなく、さまざまな流通経路がある点です。

ただ難しいのは、ただのバーコードの代替としてしか機能しない場合は、単にコストのかかるバーコードになってしまいます。一体どんな付加価値をつけるのか。それが普及の大きなポイントとなるのでしょう。

RFID、とてもエキサイティングです。