オンラインゲーム、ネットワークコミュニケーションのビジネス構造(第2回)

・コストの詳細

(開発費+サービス提供コスト) / ユーザー数 = 料金
開発費=人件費
サービス提供コスト=サーバー代+ホスティング費用+運営費用
運営費用=人件費

コスト計算をさらに詳細につめて見てみよう。サービス提供コストのうちのサーバー代は、Unix系であればSun, linux、PC系であればWindows 2000/XPなどを使うこととなる。ここでコストを圧迫するのがサーバーに使用するハードウェアの購入またはレンタル費用とライセンス費用、そして保守費用である。

Unix界でもっとも安定していて信頼されているSunを使ってしまうとライセンス費用、保守費用ががっぽりとかかってしまう。Windowsの方がハードウェアが安い分オトクではあるが、ライセンス費用、保守費用はいずれにしてもかかる。この2つの費用は毎年かかるから厄介だ。Linuxであれば費用はほとんどタダに等しいのだが、保守を自分で行う必要が出てくる。RedHat Enterprise版であればサポートを受けられるが、やはり保守費用が別途かかるのでLinuxを選択するコストメリットが少なくなる。こういった事情から、大企業の選択は通常Sunでサポート付となり、中小企業の選択はLinuxで、サポートなしで自分でちまちまとメンテナンスすることになる。

サーバーをインターネット上に置くには、ホスティングする必要がある。いわゆるデータセンターにラックを借り、そこへサーバーを設置するのだ。データセンターは場所代とトラフィックに課金をする(場合によっては電気代もだが)。その代わり、firewallによるセキュリティの確保、トラフィックの監視(サーバーがaliveかどうかのチェックを含む)、自家発電やUPSを備えて停電などからのトラブル回避を24h/7daysサービスで提供する。品質と信頼性は非常に高いのだが、すべて料金に転嫁されている。

もう少しホスティングについて詳しく見ると、2つの形態がある。ひとつは
co-locationと呼ばれるもので、これは純粋に「場所貸し」である。サーバーを購入して設置、OSのバージョンアップ等のメンテナンスをすべて自前で行う必要がある。この場合でも最低限のセキュリティチェック等は行ってくれるが、基本的には自分たちで管理する必要がある。運用のキャッシュアウトは起きないが面倒な管理をする必要があるのと、Sunのようなサーバーを購入する初期投資が必要となる。

もうひとつはmanaged serviceで、これはサーバーマシン、サーバーのOSライセンス、パッチあて、バージョンアップの管理+上記のような24時間運用サービスをホスティング会社側で持つというもの。これの利点はサービス提供者がわざわざ高いSunのマシンを買う必要がなく、またOSのメンテもホスティング側でやってくれる点だ。つまりサーバーの購入費用および運用費は外出しになり、特に初期投資を抑える効果がある。

いずれにしてもサーバーの台数(または体積)、トラフィック量(またはピーク時のトラフィック)に比例してコストがかさむ仕組みになっている。

さて、ここで大きな落とし穴がある。つまり、このネットワークサービスは一体だれのビジネスであるかという点である。さきほどから触れているように、インフラが重要でサービスの品質はインフラだといっても過言ではない。アクセスが多ければインフラを増強、つまりサーバー数を増やし、トラフィック契約を増やす。ユーザーに課金するしないは後に議論するとして、サービス提供者はホスティング会社やサーバーメーカーにお金を払うことになる。つまりビジネスはデータセンターを持つホスティング会社、またはSunのようなサーバーメーカーのものとなってしまうのだ。オンラインゲームがヒットしようがしまいが、両者にはお金が入る。ヒットすればその分もうけることができる。プロフィットモデルが明確に確立されているので、売り上げである契約規模がそのまま利益に直結する。

サービス提供者にとってプロフィットモデルを構築できるか否かは、上記のキャッシュアウトがありながら利益を残せるかどうかにかかっている。

(→第三回「ユーザーへの課金」へ続く)