もう番組「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」でとりあげられるのか、とシミジミしてしまいましたが、S2000が名車として認められたこともあり、嬉しいことでもあります。さて今回はどんなレストアなのでしょうか。
問題だらけ、でも意外とそんなでもない問題
基本安くかって、部品代をケチって、手間かけて直して高く売る、が名車再生です。今回の車両は
・VTECが切り替わらない(高回転が使えない)
・燃調が狂っている(エラー表示)
・電動ステアリングに違和感、突然重くなる、ひっかかりがある
とまあS2000最大の特徴であるVTECエンジンに問題がある車両。果たして直せるのでしょうか?
丈夫だぞ、VTEC
まず燃調はよくありがちな、O2センサーの不良、交換で終了。かんたーん。
そしてVTECに切り替わらない問題、こちらは油圧機構の部分で2段階になっている油圧のシーリング不良とフィルターの目詰まりが原因とのこと。こちらもOリング・フィルター2箇所交換と安い部品代で済んでます。
B16Aから数えるとB16B x 2台、F20Cと足掛け約20年VTECにお世話になっていますが、VTECの機構が実際に切り替わるのを見るのは初めて。映像的資料の点でも貴重です。
電動パワーステアリング
アンダーカバーは外れてなく、潮風のあたる場所だったことからパワステのモーター部分のパッキンが劣化し、そこから潮風が入って錆が進行したようです。電動パワステはS2000の定番の弱点、OH不可なので、中古部品を購入して交換、終了。
ビューティ・アップ
腐食、傷のあるアルミホイールを切削加工して元のダイアモンドカットを復活させて新品同様に。
その他アルミシフトノブを社外品からノーマルに戻したり、ヘッドライトカバーを研磨して、非常に綺麗なコンディションになりました。
評価が高い
名車再生として、レストアの部分も興味深いのですが、意外とあっけなく治るものなんだなあと感心。まだ12年ほどしかたってない個体なので、まだまだいけますね。VTEC機構はノーマルでオイル管理させちゃんとしてメンテすれば10万キロは余裕、ブローした話しは効きません。さすがは(当時の)ホンダエンジンです。
S2000のよさはとにもかくにもこの超高回転のVTECエンジンと、オープンなのに無茶苦茶剛性を確保したボディ、これにつきます。マツダ・ロードスターもよいですが、この高回転パワーは魔力です。だから無理にパワーアップなどせず、ノーマルで十分。
マイクは何度もこのS2000が生産されていないのはもったいない、今のホンダに欠けているのはこういう車だと大絶賛でした。
オチが凄い
さてこのS2000、安くあがったので価値がアップ、儲けを十分に確保できることとなりました。そして売り先はというと、、、なんと元のオーナー。
手放したことを後悔して、後悔して、今回改めて名乗り出たということです。
マイクの商売人魂が炸裂、十分な儲け以上の高値で元のオーナーに売りつけていましたが、元オーナーも満足でしょう。OHしてもらったと思えば安いものです。一番重要なことは、それが元々自分のクルマという点です。
私もS2000を大破させて、全損扱い。車両保険で別の個体を買うことも考えましたが、素性も分からない10万キロの中古車を新しく家族の一員に加えるのには抵抗がありました。直せなかったのなら、きっと二度とS2000を買うことはなかったでしょう。
⇒ 高速道路の事故は突然に。蘇れ! 思い出のS2000 - のまのしわざ
だから治ったS2000を買ったこの元オーナーの気持ちはよく分かります。すり傷のひとつひとつまで、すべてが思い出だからです。きっとリフレッシュしたエンジンで気持ちよくイギリスのワインディングを楽しんでいることでしょう。GJ エド&マイク!