背高・軽自動車の危険性

直感的にクラッシャブルゾーンが小さく、背が高く、不安定にみえる軽自動車は危ない、と感じるのですが、実際に危険なのでしょうか。

軽自動車は本当に危険なのか調べてみた | るーらいのメモ帳

車両相互事故

この結果から分かるのは、あくまで「乗用の普通自動車が第一当事者の事故と比較して、乗用の軽自動車が第一当事者の事故で人が死ぬ確率は1.3倍である」ということだけです。どっちに乗ってた人が亡くなったかは分からないので、「軽自動車は中にいた人が死にやすい」「軽自動車はぶつかった車の中にいた人を殺しやすい」という2つの可能性が考えられます。自動車アセスメントの結果とかから常識的に考えると前者ですが、どうとらえるかはあなた次第。

車両単独事故

こっちは相互事故とは違って普通車の方が死亡率が高い。しかも単独事故なので、亡くなっているのは確実に事故車の中にいた人。というわけで、車両単独事故の場合は軽自動車の方が安全。ちなみに死亡率の3年間の平均は、普通車が3.443%、軽自動車が2.810%。

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事故の88.6%が相互事故なのに対し、単独事故はたったの2.5%。ならどっちを優先すべきか...その先は言う必要ないですよね。自分で考えてみてください。
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まとめ

車両相互事故(事故の9割弱はこれ)なら軽自動車の方が1.29倍危険。
車両単独事故(事故のたった2.5%)なら普通車の方が1.23倍危険。

統計情報はこちらから [交通事故統計年報:公益財団法人 交通事故総合分析センター ITARDA

特にこちらのデータ、実験結果は興味深いです。

研究成果 | 独立行政法人交通安全環境研究所

軽自動車の乗員傷害について 自動車安全研究領域 ※細川 成之 田中 良知 山口 大助 松井 靖浩(pdf)

このデータによるとスポーツカー、SUV/RVの死亡重傷割合が低いことが出ており、その点でも運動性能の高さや、車体が大きくて頑丈なものは安全という裏付けにもなります。一方で軽自動車、軽貨物の死亡重傷割合が飛び抜けて高くなっています。

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http://www.ntsel.go.jp/forum/2013files/pt_02.pdf

実験結果

表2にダミーの主な傷害値を示す。また、図5に実験の状況を示す。運転席においては、男性ダミーは小柄女性乗員ダミーに比べて大きな傷害値を示した。また、後席小柄女性ダミーは、最も大きな傷害値を示した。これは、軽自動車の特徴である衝突初期の高い減速度特性等5)に対して、後席シートベルトが十分に乗員拘束機能を果たしていないためと考えられる。よって、後席男性ダミーの傷害値取得とともに、今後詳細な後席乗員の傷害値発生要因の解析を行う必要がある。

また、衝突後の車両ピッチングは最大で15 度であった。これは、車両重心が比較的高いことと車両前部の構造部材がノーズダイブを十分に抑制できなかったことなどが考えられる。車両着地時にダミーにかかる腰部上下方向荷重は、後席小柄ダミーで約1.5kN であった。軽自動車は他の車種に比べて衝突後のピッチングが大きくなる傾向があり、2007 年度から2011 年度にJNCAP で試験した軽自動車では15 度以上の大きなピッチングを示した車両が13 台中4 台(最大で約20 度)あった。現在の法規等では二次衝突時の傷害値評価はしていないが今後の事故調査次第では検討の必要があると考えられる。

この車両ピッチング、つまり前のめり具合が15度から20度というのが特徴的で、吹っ飛ばされる、角度が悪いと横転するなど二次被害の拡大が想定されます。実際横転事故は多く起きています。

軽自動車は本当に横転しやすいのか?⇒ はい。RVに1BOX、ミニバンも。 - [の] のまのしわざ

背が高くて中が広い、というのがトレンドの軽自動車ですが、やっぱり比較すると危険性が高いのは仕方ないですね。そもそもあの狭いフットプリントの中に4名乗せていれば、そりゃ危ないでしょう。せいぜい2名、多くて3名が限度と思います。