RCやミニ四駆のためのニッケル水素電池の5大特性まとめ

ニッケル水素電池(NiMH)はリチウムイオンがポピュラーになった今でも主力充電池として使われています。単三電池のエネループにタミヤネオチャンプもそうですし、ハイブリッド自動車のプリウスやアクアもニッケル水素。

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充電、放電、メモリー効果など取り扱い方にコツが必要ですが、今回パナソニックの文書を見つけたので、ラジコンやミニ四駆で使えそうな点をまとめてみます。

http://industrial.panasonic.com/www-data/pdf/ACG4000/ACG4000PJ2.pdf

※ なおこの資料は基本パナソニック製ニッケル水素電池を前提としているもので、他メーカーのニッケル水素電池は多少異なるものを思われます。

充電特性

ニッケル水素電池は充電を続けると、電池電圧、電池温度および電池内圧が時間と共に変化し、またこれらは充電電流の大きさや周囲温度の影響を受けます。当社ニッケル水素電池は負極の容量を正極より大きくすることで過充電時に負極から水素ガスの発生を少なくし、かつ正極から発生した酸素ガスを負極に効率よく吸収させることによって電池の密閉化を達成しています。この電池反応が速やかに起こるために、その種類や充電方法によってそれぞれ最適な充電電流値、充電時間が決められています。

ニカド電池に比べ、充電反応は発熱反応であり、充電時の温度上昇がより高くなる特長があります。

充電効率

電池は通常0.1ItAの電流で16時間、すなわち160%(完全充電)充電することで100%の容量を取り出しています。これは、充電エネルギーが①活物質を充電状態へ変換する反応②ガス発生などの副反応などに使用されるためです。図2に充電電気量と放電容量の関係を示します。充電エネルギーは充電初期から中期にかけてはほどんど①の反応に使用されますが、充電終期では電池が満充電状態となるため、②の反応が主体となります。

ここでItAとは充電電流(または放電電流)の大きさを表すもので、電池の定格容量を表した数値の倍数に、Itと電流の単位を付けたものです。

例えば、定格容量1600mAhの電池の場合、0.1ItAは0.1×1600=160mAに相当します。

1It(アイ・ティー、電流 x 時間)とは、いわゆる1C充電と同じで、電池容量1600mAhであれば 1Itは 1600mA(1.6A)となります。

0.1Itで16時間充電(完全充電=160%)することで100%(容量定格値)を取り出すということなので、これは重要な情報です。

充電電流

一般に充電電流が大きい場合、充電終期における正極からの酸素ガス発生が起こりやすくなり、充電エネルギーがこの反応に使われるため充電効率は低下します。従って、充電電流は最適な範囲があり、これは電池の種類によって異なります。

充電電流を大きくすると、放電容量は落ちる(減る)ということです。ですから耐久レースで使う電池の場合は充電電流値をなるべく小さい方がよいですし、温度も20℃前後であれば100%近い放電容量が得られます。

充電温度

一般的に、充電温度が高いと正極からのガス発生が起こり易く、充電が不十分になり充電効率が低下します。充電の初期あるいは中期においては電池温度の上昇はありませんが、充電終期には正極からのガス発生熱により電池温度が上昇します。また、大電流で充電するほど、そして電池をパック電池で使用する場合にも温度上昇は高くなります。温度が上昇しすぎると電池構成部品の劣 化が進行し、ひいては電池寿命の低下につながりますので、充電温度は0~45℃の範囲内で行ってください。

中でも10~30℃が望ましい範囲です。

充電電圧

充電を続けると電池電圧は上昇しますが、過充電時には電池の発熱により電池電圧は若干低下し、平衡電圧に達します。また、充電電圧は充電温度が低い場合や充電電流が大きい場合には、内部抵抗による電圧の増加および電極反応の過電圧が大きくなるため上昇します。

放電率

一般的には放電電流が2ItAを越えるときは、放電容量が著しく低下したり、発熱することがありますので、最大許容放電電流は2ItAを目安にしてください。

1000mAhの電池であれば 最大許容放電電流は 2Aとなりますが、ミニ四駆では相当無理しているかもしれません。またラジコンでも容量が放電電流に関係するとなると、大電流流したい場合は大容量のバッテリーを選択する必要があります。

放電温度

一般用電池の場合、20℃における0.2ItA放電容量を100%とすると、0℃では約85%、-20℃では約50%程度となります。一方、高温では電池構成部品の性能劣化を早めることがあるので、放電は-10~65℃の温度範囲内で行ってください。中でも0~45℃が望ましい範囲です。

放電終止電圧

複数個の電池を直列に接続して放電する場合、深い放電を行うと個々の電池の容量差により、容量の低い電池が過放電され、転極をします。このような転極を繰り返すと放電性能は低下します。

また、機器のスイッチ切り忘れ等により過放電をされると、電池性能は劣化します。このように転極に至る深い放電は、電池内部ガス圧力が上昇し、ガス排出弁が作動する結果となります。なお、電池を負荷に接続したままで長期放置しておきますと、電池電圧は0Vとなり、ガス排出弁より電解液がクリーピングをおこします。これを防止するために過放電防止機構を設定することが望ましい使用法です。

放電終止電圧は、単セルの場合は1.0Vを目安としてください。また、パック電池の場合は過放電や逆充電による電池性能低下防止のため、次の式を参考にして放電終止電圧を設定してください。

1~6セル : (電池個数 x 1.0)V

深放電は危険、ということです。一般的には1.0V/セル、6セルバッテリーであれば 6.0Vを目安とするのがいいです。

私が使っていた充電器は放電電圧が0.8V/セルになっており、かなり「攻めた」設定値のようです。サイクル充電をする時は気をつけた方が良さそうです。

放電深度と容量回復率

ニッケル水素電池は、放電深度(DOD: Depth of discharge)とサイクル数の対数がほぼ反比例の関係になります。ニッケル水素電池の寿命は、正極に使用されている導電剤が放電により還元されることによる正極利用率の低下と、負極で使用されている水素吸蔵合金の腐食による電解液の消費が主要因となっています。

サイクル的な用途で使用する場合、DODは100%つまり完全放電状態まで使い切ることが一般的です。このとき正極は電気化学容量が残っていないため、負極の電位に近づく事になります。正極に用いられる導電剤は負極の電位に近づくと還元されてしまい、導電剤としての機能が低下してしまいます。また、放電時に電池容量がなくなるとき、つまり電池電圧が1V以下になるときに、負極の電位も一時的に正極の電位に影響されて上昇し、負極の水素吸蔵合金が若干腐食する反応が起こります。また、負極の水素吸蔵合金は充放電により水素の吸蔵放出反応を行うときに結晶の膨張収縮が起こりますが、そのストレスにより、合金が割れていく微粉化反応が起こりより腐食しやすくなります。

従って、これらの反応が起こりにくい、浅い充放電を繰り返した場合、ニッケル水素電池のサイクル寿命は飛躍的に向上します。

ここ、重要情報です。ついつい容量全部使い切って充電、ということをしがちですが、浅い充放電を繰り返す方が寿命が伸びるということなのです! つまりちょっと使ったら、充電しましょう。

保存後の容量回復特性

保存時の環境が適切であれば、極板の劣化は小さいので、4~5回の充放電で容量は回復します

図18に保存期間と容量回復率の関係を示します。高温・充電状態では極板の放電容量低下により、容量が回復しにくい傾向があります。長期保存を行う場合は常温充電状態で保存し、半年あるいは1年に1回は充電を行い、電池電圧が1.1V以下にならないようにしてください。電池電圧が1.1V以下になると、充放電を繰り返しても容量が回復しにくくなります。

長期保存後の容量回復は、充放電4~5回が目安。

また長期保存の場合は少なくとも半年に1回は充電をして、電圧も1.1V/セル、6セルであれば 6.6V以下にならないように管理しましょう。

これを見る限り、保存時は充電をしておいた方がよいということです。空になったままの放置はバッテリー死亡につながります。

保存期間と容量維持率

ニッケル水素の場合、4週で80%~85%程度となります。

(充電 1It x 1.2h, 放電 1It, 終止電圧1.0V, 保存温度20℃)

80%の場合、6ヵ月経過で 26%、12ヵ月経過で 7%となるので、やはり6ヵ月程度で充電を行う必要があります。放置危険です。

ニッケル水素電池のメモリー効果について

一般的にニッケル水素電池は、電池を使いきらずに充放電(部分放電サイクルと呼ぶ)を繰り返すと、放電電圧が低下する現象が起こります。この現象をメモリー効果(Memory effect)と呼んでいます。電池の部分放電サイクルにより、正極板の活物質である水酸化ニッケルが結晶構造変化を起こすためと言われています。

このメモリー効果による一時的な放電電圧低下については、部分放電サイクルの後に1~2回の深い放電(1.00Vの放電終止電圧)を繰り返すことにより解消します。

サイクル寿命を伸ばすためには浅い充放電がいい、ということなのですが、今度は放電電圧が落ちてしまうという現象が起きます。これがメモリー効果です。

この場合は1~2回の深放電(使い切る)で対応します。

放電電圧が落ちるのがメモリー効果で、容量が減っていく現象は劣化なんですね。色々と勉強になりました。

詳しくは資料をご覧下さい。

http://industrial.panasonic.com/www-data/pdf/ACG4000/ACG4000PJ2.pdf

電池の保存の仕方 | その他(家電製品)のQ&A【OKWave】