「高速道路の事故は突然に。蘇れ! 思い出のS2000 ([の] のまのしわざ)」の続き。
修理部品調達に時間がかかりましたが、ZIIBO-HOUS(ジイボ・ハウス)さんにてS2000の修理に着手しました。
適宜中古部品を使いながらコストを抑えます。今回全塗装することにしたので、褪色による色の違いは問題となりません。
今回サブフレームは後期型、AP2の物を使うことにしました。サスペンションのジオメトリーが最適化されており、よりマイルドな動きとなるそうです。
そしてこのサブフレーム、よくみるちょっと不自然な点が...そうです、スポット溶接の痕です。
実はこれ、せっかくAP2のサブフレームに変更するので、スポット増しをしてもらっています。ようはボディ補強の一環です。
サブフレームが補強されるなら、その連結先である本フレームも強化しなければなりません。
なにやら怪しい雰囲気になってきましたよ...
【板金】
ボディから歪んだ部分を全部カット、くしゃくしゃに折りたたまれたトランク部分はハンマーでたたいて平たく板金。鉄板は伸びても、切れても困るのでこれは当然のことならが職人技で綺麗に伸ばしてもらってます。てっきり切った貼った、カットして金属板を溶接すると思っていたので意外でした。
見ての通りリアフェンダーからサイドシルのアウターまで全部無い状態。ここにさきほどの新品パネルを溶接していくことになります。
【フレーム修正・ボディアライメント】
ゲージを取り付け、基準値となるように調整しながらフレームを修正。レーザーとゲージを使ってきっちりと計測します。
もともと上方向に数十ミリずれていたメインフレームですが、修正により基準値+2mmまで収まっています。ノーマルの範囲は5mmまでとのこと。
【左フロントフェンダー板金】
変形が少なかったため、通常の板金修理です。タイヤが干渉しないよう、爪折り加工も同時に行っています。
【パネル取り付け・溶接】
AP2サブフレームに新品のサスペンションアーム等を取り付け、組み込んでアライメントを確認しながらボディパネルを取り付け、溶接します。
サイドシル、リアパネルが取り付けられた状態。適宜計測しているので、溶接で歪むこともありません。
(参考写真:この状態はゲージがずれているので正確な値ではありません)
サイドシル溶接の状態...、なにやら様子がおかしいです。
S2000のサイドシルはセダンボディのランサーと比べて貧弱、通常3~5枚くらいの鉄板で構成されているサイドシルが2~3枚程度で構成されているとのこと。鉄板の枚数ではなく、鉄板の厚みで剛性を調整しているようです。ですからそこまでボディ剛性には寄与してないようですが、念には念を、スポット増しでがっちりと溶接。
ドアの内側までガッチリ溶接です。
サイドシルがガッチリなら、リアフェンダーもガッチリさせたいですね。
なんともともと内側のリアフェンダーは20点くらいの溶接でしかとまっておらず、剛性をそこでは出してないことが今回わかったとのこと。つまりメインフレーム、ストラットタワーよりも前側、フロアで剛性を確保している構造で、あとは左右をつなぐリアストラットタワーバーも重要な役割を果たしています。
ここもガッチリと溶接して、板金で弱まった剛性を取り戻します。
トランク後部、フレームの終端はいわばオマケ。もし剛性を出すならメインフレームの後端の左右をつなげるのが効くよね、というお話でしたがまさにその通りでAP2からはここに補強バーがついています。
ということで、トランクの内側はどうかというと。
まあこうなりますよね、バチバチ溶接。
ストラットタワーの付け根の部分の位置はずれていなかったということで、衝撃はすべてメインフレームの外側で吸収したことになります。不幸中の幸いといったところでしょうか。
幌を収容する部分もこのとおり、バチバチ溶接。
トランク前側、幌の付け根の部分もグルリと回りこんでいますが、こちらもバチバチ溶接。
左側だけこれだけ補強して堅くなりすぎてもいけません。バランスをとるために...
右側のタイヤハウスもスポット増し溶接...ってこれ完全にボディ補強です。
このロールバー、これはフロアからニョキっと生えているだけの代物で、ボディ剛性にはまったく関係ありません。なので今回はそのままスルー。
【リアショックOH】
ドライブシャフトが抜けて当たったと思われる凹み傷。
無傷の右リアショックもバランスをとるため同時にOHです。
・・・
最終打ち合わせも済み、あとは修理が上がってくるのを待つだけです。予想よりも早く、11月中旬には完了しそうな勢いでした。蘇るぞ、S2000!
まだ相当バラバラですけどね...
・・・
メーカーの設計したボディ構造から剛性の出方を考え、手間のかかる板金、フレーム修正、ボディ補強に対応して下さるZIIBO-HOUS(ジイボ・ハウス)さんには感謝感謝です。このノウハウを是非別のS2000にも活かしてほしいですね。
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