初音ミク、VOCALOID界隈で人気となっている石川綾子さん。といってもプロデューサーでもコンポーザーでもなく、コンピュータが得意というわけでもなさそうです。ところが、あるひとつの特技が凄いんです。
▼「初音ミクの消失」ヴァイオリン演奏にニコ動騒然―投稿からわずか5日で14万再生突破 | おたくま経済新聞
▼まさにデビルズアヤコ!?プロヴァイオリニスト石川綾子による『初音ミクの消失』を演奏してみたがすごいらしい 日刊VOCALOIDガイド~初音ミクなどのボーカロイドの最新情報が満載~
▼プロの犯行キタコレ! 「初音ミクの消失」をヴァイオリニストが演奏してみた - ねとらぼ
いわゆる「演奏してみた」というジャンルなのですがそのレベルが桁違い。特に楽器が「バイオリン」とこれまたギターでも鍵盤楽器でもないところが新鮮で心を鷲掴み。いやそれ以上に驚くのがその美貌。えっ、こんな美人がまさかネギをかざってVOCALOID曲「初音ミクの消失」をバイオリンで弾いちゃうの、しかも超絶技巧で!
色々と常識外れ、そのギャップに驚いてこれはライブで見たいと、ファンミーティング「あや会」にお邪魔してきました。
会場はザ・プリンス パークタワー東京 メロディライン、とても落ち着いたラウンジで丸テーブルを囲んで飲みものを注文してリラックスした雰囲気で登場を待ちます。
ピンクと黒のドレスに身を包んだ石川綾子さん登場。曲はニコニコ動画でもお馴染みのナンバー、耳をすませば「カントリーロード」、天空の城ラピュタ「君をのせて」からスタート。
▼ 参考動画
▼ 参考動画
美しい音色、美しい姿、おもわず見惚れてしまうほど。これはマジ天使やあ~と思っていると...
▼ 参考動画「初音ミクの消失」
突然エネルギッシュで攻撃的な旋律に圧倒されます。こ、これはなんだ、なんだ!?
初音ミク、VOCALOID曲は打ちこみ音楽の旗手、それに対してバイオリンは伝統的アナログ音楽の弦楽器。とりあわせとしては真逆な存在で、打ち込み音楽を弦楽器で再現するなんて無理なのですが、それを人間離れした演奏でやってのけるのです。
腕の動きはまるでロボットのように正確にリズムを刻みます。この正確性、高速性、ああ、どこかで見たことがある・・・そうだ、
高橋名人の16連射だ!
この豹変っぷりと超絶技巧でついた名前が「デビルズあやこ」。
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まさに
「天使はヴァイオリンを持つと魔女になる」
です。
こち亀で例えるなら、白バイにまたがると性格も表情も変わる本田といったところでしょうか。こちらが気おくれするほどの迫力、圧倒されます。
ファンミーティングは演奏するだけではなく、途中トークやクイズなどファン参加型のコーナーがあるのですが、そこでのあやこさんの天使っぷりがまた素敵。クラッシック、バイオリンにドレスといった出で立ちなので、ちょっとお高いイメージをもつのですが、笑顔がとても素敵で話し方もおっとり、よく笑いいつも楽しそうな雰囲気に癒されます。やっぱり天使や!
で、演奏するとその超絶技巧にまた畏怖するわけで、なんだかサウナと水風呂をいったりきたりしている感覚を覚えます。いわゆるギャップ萌えですが、そうこうしているうちにすっかり引き込まれてしまうわけです、なんて恐ろしい子!(北島マヤ的に)
石川綾子さんはバイオリンを4歳からはじめたということですが、3歳のときからすでにバイオリン教室には通い、1年間はひかずにじっと聴いていたそうです。それから毎日のように練習、例え旅行に行くときもバイオリンをもってでかけ、出先でも練習。というのも1日ひかないと1週間戻ってしまうというほどバイオリンの演奏技術は厳しいためです。またバイオリン自体も弾かないといい音が出なくなってしまうというのもあるそうです。
バイオリンを幼少からはじめただけではなく、海外生活も長く、英語もネイティブレベル。バイオリン、英語ペラペラ、美人、とちょっと待って下さい、なんだか最強キャラじゃないですか!
ここで思い出したのは名作恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル(ときめも)」の藤崎詩織。
ときメモは恋愛ゲームで自分から好きな女の子に告白するのではなく、自分磨き(パラメータをあげる)をして、意中の女の子に告白してもらうもの。高校生活3年間で色々な行事、体育祭、文化祭、夏休み、修学旅行があり、お近づきになるチャンスがあり、交流を深めることができるのですが、普段は自分磨きのために知力(勉強)に体力(ランニング)、外見力(みだしなみ)を整える必要があります。
藤崎詩織 - Wikipedia『ときめきメモリアル』は、卒業式の当日に意中の女生徒から愛の告白を受けられることを目指し、プレイヤーが3年間の高校生活を送る主人公を育成していくというシミュレーションゲームであるが、特にメインヒロインである藤崎の理想の男の子への条件は非常に厳しく、「ラスボス」になぞらえられることもあった[2][注 1]。
(中略)
「容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能、きらめき高校のスーパーアイドル」と評され、大きな人気を集めたキャラクターではあるが、一方でクリア条件があまりにも厳しいことや、下校に誘っても好感度が一定値以上無いと「一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし」という彼女を代表するセリフですげなく断られる
他の女の子は一点豪華主義、例えば知力だけ、体力だけ、外見力だけといった突出したものがあればだいたいはクリアできる(告白される)のですが、藤崎詩織については全パラメータを等しく上げなければクリアできません。しかし各パラメータは相反するため、たとえば知力をあげると体力が落ちるので全パラメータをあげるにはすべての鍛錬をまんべんなく行う必要があり、それには時間が必要です。
これをどう実現するかというと、高校生活の楽しいイベントを全部スキップし、とにかく自己鍛錬に励むのです。そうするとなんとかすべてのパラメータが目標値に到達していくのですが、高校3年生の2学期、つまりは卒業式に近くなると困ったことが起こり始めます。
パラメータが高い=魅力ある男になっているために藤崎詩織以外の女性に「一緒に下校しよう」と門のところで待ち伏せされるのです。これはきつい。
というのも、ここで「YES」を選び一緒に下校すると次の日、藤崎詩織からそっぽ向かれて好感度がダウンしてしまうのです。かといってここで「NO」を選び断ると、今度は周囲に悪い噂がたち、全体の好感度がダウンするという、まさに前門の虎・後門の狼。
幾多の困難、トラップを乗り越えてすべてのパラメータをあげて、卒業式の時に藤崎詩織から告白されれば両手でガッツポーズ!です。
しかし告白されなかったとき(バッドエンディング)のセリフ・・・
「おれの高校生活、つまらなかったな」
が象徴的。3年間、すべてのイベントを無視して自己鍛錬に励んだ毎日。人々が謳歌する青春と呼べるようなものはなく、思い出が残らないのですから。
そんなラスボス、藤崎詩織的、全方位のパラメータが高いキャラを彷彿とさせました。
一方で自己鍛錬を続けてきたプレイヤーにも重なります。来る日も来る日もバイオリンを弾き続ける毎日、鍛錬を続けて現在のような超絶技巧を身につけて人々を魅了することになります。
ここで改めて凄いと思うのは、バイオリンといった芸術分野は後付けが効かないことです。ようは大人になって初めても一生追いつけないどころか、まったくレベルが、パラメータがあがっていかないという点です。F1ドライバーが幼少期からカートに乗り、それからずっと鍛錬し続けないとF1へ上がって行けないのと同じ構造です。
英語も同じことで、これからさあ、バイリンガルになるぞ! と思っても無理です。語学もまた、幼少期からの体の発育とともに育てていく分野なのです。
だから簡単にパラメータ上げといっても、出来ることとできないことがあり、後付けが効かないものだけにより一層感動を呼び起こすのでしょう。
そしてもう一つ、テクニックだけではないところ。それはファンサービス。
バイオリンは弦楽器というアナログ音楽なのでクラッシックとの親和性が高いです。というのもクラッシック音楽、オーケストラを支える楽器の一つなので当然といえば当然で作曲と演奏のバランスがとれています。ところがそれを現代の打ち込み系デジタル音楽にチャレンジしてしまうことにより、新しい分野を切り拓いていること。
私もそうですが、現代はクラッシック音楽への馴染みは薄く、デジタルチューンの音楽をカジュアルに楽しむ音楽試聴スタイルが多数派です。その層の嗜好をうまく汲み取ってバイオリンの旋律をデジタル音楽と融合させることで、私たちも気楽に入って行けるキッカケを作ってくれていることです。
これは幼少期からバイオリンの演奏会があっても「眠くなっちゃうんじゃないかな」「つまらなかったらどうしよう」とお友達を誘うことをためらってしまった彼女の一つの答えなのではないでしょうか。ボーカロイド曲にジブリ音楽、そしてクラッシックと柔硬織り交ぜて構成されるライブは、彼女のほんわかしたキャラとあいまって、音楽のマリアージュ、多層的な楽しみ方ができる濃密な時間でした。
「デビルズあやこ」の超絶技巧を楽しみたい方は、まずは動画からどうぞ。
▼ コンサート・ダイジェスト動画
気になったらぜひライブでどうぞ。アイドル並みに握手会、ツーショット写真撮影(ポイント制)もあり、楽しみが広がります。
今後のライブ、コンサートの予定はこちらから↓
次回は『あやニコ』秋祭り! 10月3日(木)22:00〜生放送 http://live.nicovideo.jp/watch/lv153083772------------------------------------------------------------
石川綾子ヴァイオリンコンサート
「あやコンvol.2〜AYA BAND〜」追加公演決定!日時:2013年11月5日(火)
18:00 開場 / 19:30 開演
会場:モーション・ブルー・ヨコハマ
http://www.motionblue.co.jp/artists/ishikawa_ayako/
料金:¥4,500
予約開始:9月21日(土)11:00〜
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【twitter】ID: DevilsAyako
参加者はみんな楽しそうでした。私もタオル回したい!