ブロガーサミット2013を振り返って:評価軸を内面にもつ意味

先週末に行われたブロガーサミット2013、私も有名なブロガーに紛れて登壇して来ました。

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セッションは「ブログライフバランス」。趣味などをブログで突き詰めていった結果、人生が変わったのではないか、というブロガーを集めたものです。一番の有名どころは津田さん。

ブロガーサミット2013に行ってきた感想 - [モ]Modern Syntax

ということで、津田さん太ったなあ、と思いつつ、野間さんの話は相変わらず面白く楽しい時間を過ごさせていただきました。だって、「ブログがあなたの人生のターニングポイントになった瞬間ってありますか?」という質問に「ミニ四駆って普通に作っていると全然速くないんですよ。で小学生から「脱脂しなきゃだめだよ、脱脂」って言われたので脱脂したらすげー速くなって嘘みたい」とミニ四駆におけるターニングポイントについて語ったりして、そんな野間さんが素敵でした。

確かこの時は質問が変わって、ミニ四駆は昔からやっていたのかどうかを聞かれた気がするのですが...

改めて「ブログが人生のターニングポイントになったか」という質問に答えると、それは「ブログをはじめた」ことがターニングポイントだと思います。Movable Typeをインストールし、久々に感動したのですね、ツールについて。パーマリンクという概念でトップページからの階層構造ではなくフラットなページ構成、一方で自動的に生成される構造化されたRSS、アーカイブ、テンプレートとCSSが分離されている点、そしてコメントにトラックバックと先進的なwebサイトが作れたのでした。

そのおかげで交流が広がり、視野が広がり、ソニーを退社しMovable Typeを作るシックスアパート社へ転職。その後色々あって現在に至るわけです。

簡単にまとめると、「ブログに出会って大企業辞めちゃった」ということです。

30半ばならまだしも、40半ばともなるともはや仕事人生の黄昏、知力・体力の衰えに家庭環境と色々な意味で苦しい時期です。何度もサラリーマンを続けていればよかったのではないかと、自問自答したことありますが、その答えはいつも同じ。

自分はサラリーマンに向いていない

でした。親がサラリーマンとして定年まで勤め上げていますが、その会社人生は波乱万丈。そういうのを見ても野間家はサラリーマンに向いていないというのが実感としてあります。

脱藩者、もしくは浪人として日本社会の片隅を流離うのが性に合っていますね。

ひとつだけアドバイスをするとしたら、プロブロガー、つまり専業ブロガーになるのが厳しい社会状況下にあって、兼業ブロガーが最善だということです。定職を持ち、できれば公務員的な安定的かつ時間が自由に使え、休みもとりやすいと最高でしょう。ブロガーは収入をブログ以外から得るのが、ジャーナリズム的にいえば中立性を保てるというのもあります。

ブログから収入を得ようとするとアフィリエイトにPV、PRと易きに流れ本来の自分らしさを見失うことにもなりかねません。

例えていうなら私が某大手カーメーカーから金品を受け取り、ヨイショ記事を書いたらどうでしょうか。これは第二部セッションのステマについてで皆さんが述べられていましたが、ブログの価値は棄損し回復不可能です。それにだいたい、そんなの面白くないのです。ヨイショ記事は既存メディアでいくらでも読めるわけですし、完成度は高いですからね。

ブログのいいところは、それまで難しかった自分の意見、体験を表現する場ができたこと、です。私はあまりブログにおいて「感情」を表現することはありませんし、なるべく避けています。感情の発露ばかりしているTwitterは散見されますが、感情はアーカイブされてもそれ自身意味を持ちません。一方意見や体験というのは時間という軸を重ねることで、アーカイブの価値が高まっていきます。それがブログの面白いところであり、最終的に私がいいたかった

ブログの想定読者は自分自身

につながります。自分で振り返って面白い、楽しい、これがあるからブログを10年以上も続けてこられたのだと思います。

つい先日11年間乗り続けたクルマ、ホンダS2000が大破しました。

普通に考えれば単なる古いクルマ、車両価値以上の修理代がかかるものを修理するのはバカげているのですが、その車両の価値は誰が決めるのでしょう。金銭的には世間の相場、というので決まりますが、最終的には自分自身なのです。

ブログもそうです。

ブログの価値はどこにあるのか、PVなのか、アフィリエイトやアドセンスによる収入なのか。

否。

自分が評価するものです。それがパーソナルメディアの特徴であり、マスメディアと一線を画す部分です。だからこそ経済的に自立していなければなりません。

S2000は11年間、手をかけてきました。その歴史はブログにも残っています。

[の] のまのしわざ: S2000 アーカイブ

そしてこの修理により、また歴史が刻まれていくのです。それをまたブログで記録していきます。

評価軸を自分の内面に持つこと、相対評価ではなく絶対評価ができること。これがブログライフバランスの真髄なのではないかと考えます。

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電子書籍も出しています。ブロガーの次なる収入源となるのか、トライアル中。