買わない人に「いくらなら買う」ときいてもしょうがない

よくあるのですが、いわゆるアンケート、マーケティング調査の結果からプロダクトプランニングする手法。例えばこちら。

朝日新聞デジタル:さとり世代、浸透中 車乗らない、恋愛は淡泊... 若者気質、ネットが造語

 例えば、クルマ。日本自動車工業会が08年、18~24歳を対象に実施した乗用車市場動向調査によると、免許保有率は01年から65%程度でほぼ横ばいだが、実際に運転する人の割合(男性のみ)は99年の74・5%から、07年は62・5%に減少。購入したい車の価格は男女ともに「120万円以下」が増加した。担当者は「この傾向はますます強まっている」と話す。

 日産自動車マーケティング本部の塚原隆彰さん(36)は「車を持つことがステータスだった時代は終わった。恋愛、グルメなどのキーワードと合わせて、車への関心を高める工夫が必要です」。

よく購入したい車の価格、「120万円以下」の割合が増加したから、119万円のクルマを売り出そう、となるのですが売れるはずがありません。なぜなら、いずれにしても買わないからです。

買わない人は色々な理由があり、面倒でなんのメリットもないアンケートごときに「本当の理由」を言わなきゃいけないのでしょう。「うちはお小遣い制で月々1万円しかないんです」とか「奥さんが怖い」とか家庭の事情からはじまり、「担当ディーラーがいけすかない」とか「隣のディーラーには美人店員がいたからそっちで買う」とか、そういう理由は書けませんからね。

これはアプリケーションの世界でもそうです。あの機能が欲しい、この機能がなきゃダメだ、あっちにはついているから付けてくれ。そういった意見を全部くみ上げ、必死の思いで作り上げたところで興味はまた別のところにいって、やっぱりこれじゃなかった、他にもこの機能がなきゃだめだ...あとは無限ループでエンジニアは疲弊し、企画と対立し、プロジェクトがアボーンした例など枚挙に暇がありません。いわゆる失敗プロダクト、失敗プロジェクトです。

こうした経験から言えるのは、買わない人の意見をきいてはダメ、ということです。「いくらなら買う」「この機能があれば買う」というのは最たる例で、これを追いかけてもダメなのです。買わない人はいつまでたっても買いません、だって「最初から買う気なんてない」のですから。

引用した「さとり世代」はまさしくこの「最初から買う気のない世代」です。なのでこの世代はとっととあきらめ、もっと上の世代か、さらに若い世代、今の小学生を狙っていかないといかんのです。

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