3.11に思うこと。「ヤバイ」「逃げろ」の大切さ

犠牲になった方、ご家族ご友人に改めて哀悼の意を捧げます。

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さきほど夜道を歩いていると、ベンチに腰掛けた老夫婦がこういったことを話していました。

「最近自分のことばかり考える『日本人』が多すぎる...」

どんな文脈だったのかは聞きとれず分かりませんが、この部分だけははっきりと聞き取れました。特に『日本人』の部分。

『人』ではなく、あえて『日本人』と言う意味はなんだろう、どんな意味があるのだろう。天皇陛下の言葉から改めて考えてみます。

朝日新聞デジタル:東日本大震災追悼式 天皇陛下のおことば全文 - 社会

本日、東日本大震災から2周年を迎えるに当たり、ここに一同と共に、震災によりかけがえのない命を失われた多くの人々とその遺族に対し、改めて深く哀悼の意を表します。

 2年前の今日、東日本を襲った巨大地震とそれに伴う大津波により、2万人を超す死者、行方不明者が生じました。震災後に訪れた被災地では、永年(ながねん)にわたって人々が築いてきたふるさとが痛々しく破壊されており、被災者の悲しみはいかばかりかと察せられました。一方、この厳しい状況の中、被災地で、また、それぞれの避難の地で、気丈に困難に耐え、日々生活している被災者の姿には、常に深く心を打たれ、この人々のことを、私どもはこれからも常に見守り、この苦しみを、少しでも分かち合っていくことが大切だとの思いを新たにしています。

 この度の大震災に際して、厳しい環境の下、専心救援活動に当たった自衛隊、警察、消防、海上保安庁を始めとする国や地方自治体関係者、多くのボランティア、そして原発事故の対応に当たった関係者の献身的な努力に対し、改めて深くねぎらいたく思います。

 諸外国からも実に多くの善意が寄せられました。物資や義援金が送られ、また、救援の人々も多数来日し、日本の救援活動を助けてくれました。また駐日外国大使など日本に住んでいる外国人を始め、災害発生後の日本を訪れる多くの外国人が、被災地に赴き、被災者を励ましてくださっていることに感謝しています。

 この度の津波災害において、私どもは災害に関し、日頃の避難訓練と津波防災教育がいかに大切であるかを学びました。この教訓を決して忘れることなく、これから育つ世代に伝えていくことが大切と思います。今後とも施設面の充実と共に、地域における過去の災害の記憶の継承、日頃からの訓練と教育などにより、今後災害の危険から少しでも多くの人々が守られることを期待しています。危険な業務に携わる人々も、この度の経験をいかし、身の安全が確保されることに工夫と訓練を重ねていくよう願っています。

 今なお多くの苦難を背負う被災地に思いを寄せるとともに、被災者一人びとりの上に一日も早く安らかな日々の戻ることを一同と共に願い、御霊(みたま)への追悼の言葉といたします。

日本がお米の国であること、米を収穫することができることから初代天皇が生まれたことを考えると、日本が日本人として生きていく行動規範としての天皇陛下の生き様であり、言葉に重みがあるのは今も昔も変わりません。

この未曽有の災害に対し、未来のためになすべきこととして天皇陛下が指摘したのは「避難訓練」と「防災教育」です。自然災害を前にして、人間のできることは限られています。どんなに英知を尽くしても、そして尽くさなかったとしても宇宙の真理の前に、人間とはちっぽけな存在です。

それを理解した上で、津波を防ぐ防災設備、決して壊れない発電施設だけではなく、何かあったら逃げろ、ということを徹底しましょう、ということを言っているのです。

安全を求めすぎているが故に、情報に右往左往する日本人たち。被災地のことは考えず、自分たち、自分の子供、家族だけが安全であればいい、とそれだけで発言、行動する日本人たち。同じ日本人として、日本列島に住む、日本語をしゃべる民族として、それを代表する天皇陛下がどれだけ心を痛めているか、そんな気持ちが伝わってきます。

他者を犠牲にしてまでも過剰な安全、安心を求めるのではなく、いざというときに対応できるような知識と行動、日頃の心構えと訓練が大切です。それには「やばい」ということを直感できる「野生」が必要です。

本来動物である我々人間に野生は備わっています。第六感があるのです。都市生活で、檻の中で安全に暮らしてきたが故にすっかり野生を失いつつありますが、その野生を取り戻す必要があるのです。そのための訓練が必要なのです。

大川小学校の悲劇。色々な原因が言われていますが、とにかく言えるのは「ヤバイ」「逃げろ」です。考えや理屈ではなく、感覚で。

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