前回までのあらすじ横浜の自動車メーカー・ショールームで行われるレース。レーサーたちの賭けレースとは別に、誰が勝つかを賭けるギャンブラーが集結していた。
北川がお弁当箱から取り出したマシン、それは赤のホイールを装着したとても綺麗かつ精悍なマシンだった。
北川「浜田、これを使え。なるべく見せびらかすようにしてな。」
浜田「これはごっつう、綺麗にできとるマシンですなあ。」
学生「うーん、どこかで見たことがあるような...」
浜田は北川にいわれるまま、マシンを手に持ち、受付にと向かっていった。そうでなくても大男である、目立つ上に赤のホイールが眩しい綺麗なマシンは、ミニヨン・レーサーだけでなくギャラリー、そしてギャンブラーの注目の的となった。
ギャンブラーA「あれは随分よくできたマシンだな」
ギャンブラーB「確かに、速そうだ。しかしあんなマシン、見たことないぞ、今日のレースに出るのか?」
ギャンブラーC「ああっ、あれは!!」
ギャンブラーB「なんだ、知っているのか?」
ギャンブラーC「お前ら知らないのか、あれは伝説のミニ四駆チーム、レッド・ホイールの『ブラッディ・マリー』そのものだ! 当時のミニ四駆大会のビッグレースを総なめにし、幾多のミニヨン・レーサーを引退に追いやった悪魔のマシンだぞ」
ギャンブラーA, B「な、なんだってぇ〜〜〜〜〜」
会場がざわめきはじめた。浜田の持つマシンが伝説のマシンであることが会場内に知れてきたからだ。
浜田「兄貴ィ、なんだかオレ注目されてるっすよ。さすが新橋の虎ともなると、全国で名前が知られとるんですなあ、わっはっは」
相変わらず浜田は能天気である。
ギャンブラーC「あれが今回のレースに出るとなると、これまでの予想は全部パーだ。あの悪魔のマシン、ブラッディマリーを本命にして、あとの連勝複式を組み立てないと。」
ギャンブラーA「それほどのものなのか? 所詮昔のマシンだろ、最新鋭のマシンを使う今日の本命が速いんじゃないのか。」
ギャンブラーC「お前ら、ミニ四駆年鑑をみてないのか? あのマシンの勝率は100%なんだよ、負けたことがない。出れば勝つ、それがレッド・ホイールの悪魔のマシンさ。あれが出るのであれば、賭けになんかならない、全部あいつがもっていく。」
ギャンブラーB「危ないところだった、よし、オレもブラッディ・マリーに賭けるぞ」
ギャンブラーたちはスマホを取り出し、一斉に裏サイトにアクセスしはじめた。裏サイトでは今回のレースの賭けを一手に担い、賭けをすることができる。表向きには単なるオークションサイトのようで一切ミニ四駆レースの情報はないが、ミニ四駆新聞に載っている情報と照合することで分かるようになっている。
北川「...そろそろだな」
北川はサラに電話をした。
サラ「北川さん、あなた何かした? 裏サイトのオッズが随分変動しているわよ。浜田さんが本命になって倍率がグングン下がっているの。」
北川「...ああ、浜田にあのマシンを渡したからな。」
サラ「フフ、相変わらず人が悪いのね。これ見よがしにするなんて、周りが動揺しているのが見えるようだわ。」
北川「サラ、オッズの変動をトレースしておいてくれ。レースの直前、最後の最後に急激に上がるレーサーがいるはずだ。そいつが組織とつながっている可能性が高い。」
サラ「わかっているわ、任せて」
北川が電話を切ると、会場の奥がまたざわめいている。
学生「北川さん、大変です!」
そちらに目をやったところ目に飛び込んできたのは...
北川「な、んだと!」
うろたえる北川。そしてその目線の先には。
(づつく)
【ミニ四駆小説は平日、12:00更新予定です】
この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。
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