前回までのあらすじ組織の心臓部、最速のミニ四駆を作り続けるファクトリー。そこでは囚われたミニヨン・レーサーが日夜ミニ四駆を作り続けていた。
サラ「えっ、見失った? なにやってんのよ、この役立たず!」
サラはイライラしながらスマホを壁に投げつけた。組織の幹部を尾行した部下からの連絡だったが、人混みの中で見失ったとのことだった。捜査が一向に進まないことに苛立ちを隠せないサラ。犠牲者が出ている以上、責任問題に発展する。そうなれば任を解かれるかもしれない、そんな焦りがサラにあった。
サラ「このままじゃ、あの時の二の舞ね...」
壁際に落ちたスマホが鳴った。気を取り直してスマホを拾うサラ、そしてそのメッセージをみてサラの顔色が変わった。部屋から足早に出ていく。
・・・
サラは全身黒こげの男性と病院で面会をしている。
サラ「ファクトリーの場所を知っているですって!」
池田「はい...」
黒焦げの男性は池田と名乗った。池田はファクトリーから逃げる際電流が流されて大やけどを負い、組織の人間が病院に運び込んだのだが、目を盗んで逃げだしたのだった。
池田「正確には分かりませんが、だいたいの場所は分かります」
サラ「場所はどこ?」
池田「品川の倉庫街です」
なるほど、倉庫街なら中に工場を作れるし、なにより人目に触れにくい。
サラは池田にミニヨン・レーサーの失踪者リストをみせた。ファクトリーに囚われているのかを確かめるためである。
池田「...はい、確かにこの人と、この人、...、神山さんがいました」
サラ「ご協力ありがとう。もう大丈夫だから、まずは怪我を直して下さいね。」
・・・
新宿のバー、サラと北川が並んでいる。
サラ「北川さん、ファクトリーの場所が分かったわ」
北川「...ほう、それはよかったな。どこだ?」
サラ「品川の倉庫街。それと囚われたミニヨン・レーサーが分かったわ。」
北川「誰だ」
サラ「鈴木、山乃葉、本田、富士、・・・神山」
北川「...やはり」
サラ「えっ」
北川「神山、あの学生の父親だよ」
サラ「あなた、学生の父親のこと知っていたの?」
北川「あのマシンを見たときから薄々分かっていた。なぜなら、神山はオレにミニ四駆のイロハを教え込んでくれた師匠と同時に、同じレーシングチームのメンバーだったからだ。」
サラ「そうだったの。じゃあさぞかしショックだったでしょう...」
北川「...いや。神山は本当に囚われているのか?」
サラ「どういう意味?」
北川は遠くを見つめている。ミルクに浮かんだシャービックが解け、カランと音をたてた。
(づつく)
【ミニ四駆小説は平日1日に1回、12:00更新予定です】
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