ミニ四駆小説「流しのミニヨン・レーサー北川」:第16話 神山 #mini4wd

前回までのあらすじ

組織の心臓部、最速のミニ四駆を作り続けるファクトリー。そこでは囚われたミニヨン・レーサーが日夜ミニ四駆を作り続けていた。

サラ「えっ、見失った? なにやってんのよ、この役立たず!」

サラはイライラしながらスマホを壁に投げつけた。組織の幹部を尾行した部下からの連絡だったが、人混みの中で見失ったとのことだった。捜査が一向に進まないことに苛立ちを隠せないサラ。犠牲者が出ている以上、責任問題に発展する。そうなれば任を解かれるかもしれない、そんな焦りがサラにあった。

サラ「このままじゃ、あの時の二の舞ね...」

壁際に落ちたスマホが鳴った。気を取り直してスマホを拾うサラ、そしてそのメッセージをみてサラの顔色が変わった。部屋から足早に出ていく。


・・・

サラは全身黒こげの男性と病院で面会をしている。

サラ「ファクトリーの場所を知っているですって!」

池田「はい...」

黒焦げの男性は池田と名乗った。池田はファクトリーから逃げる際電流が流されて大やけどを負い、組織の人間が病院に運び込んだのだが、目を盗んで逃げだしたのだった。

池田「正確には分かりませんが、だいたいの場所は分かります」

サラ「場所はどこ?」

池田「品川の倉庫街です」

なるほど、倉庫街なら中に工場を作れるし、なにより人目に触れにくい。

サラは池田にミニヨン・レーサーの失踪者リストをみせた。ファクトリーに囚われているのかを確かめるためである。

池田「...はい、確かにこの人と、この人、...、神山さんがいました」

サラ「ご協力ありがとう。もう大丈夫だから、まずは怪我を直して下さいね。」

・・・

新宿のバー、サラと北川が並んでいる。

サラ「北川さん、ファクトリーの場所が分かったわ」

北川「...ほう、それはよかったな。どこだ?」

サラ「品川の倉庫街。それと囚われたミニヨン・レーサーが分かったわ。」

北川「誰だ」

サラ「鈴木、山乃葉、本田、富士、・・・神山」

北川「...やはり」

サラ「えっ」

北川「神山、あの学生の父親だよ」

サラ「あなた、学生の父親のこと知っていたの?」

北川「あのマシンを見たときから薄々分かっていた。なぜなら、神山はオレにミニ四駆のイロハを教え込んでくれた師匠と同時に、同じレーシングチームのメンバーだったからだ。」

サラ「そうだったの。じゃあさぞかしショックだったでしょう...」

北川「...いや。神山は本当に囚われているのか?」

サラ「どういう意味?」

北川は遠くを見つめている。ミルクに浮かんだシャービックが解け、カランと音をたてた。

(づつく)

【ミニ四駆小説は平日1日に1回、12:00更新予定です】

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