ミニ四駆小説「流しのミニヨン・レーサー北川」:第14話 さよなら浜田 #mini4wd

前回までのあらすじ

流しのミニヨン・レーサー北川は木更津へやってきた。賭けレースで優勝した浜田に飛び込む男、そして浜田は倒れこんだ。

閑静な君津の街に響き渡る救急車のサイレン。浜田は救急車で病院に運ばれていった。

・・・(数日後)

場所は新宿のバー、飲めない酒をあおる北川。サラはそんな北川の隣に座った。

サラ「まさか、あんなことになるなんて」

北川「...オレのせいだ。あのとき浜田を勝たせたために、標的になってしまった。」

サラ「...そんなに自分を責めないで。たまたま運が悪かったのよ」

北川「あの男、作業員は何と?」

サラ「あの作業員、本業は町工場で精密機械の加工業を営んでいたのよ。ミニ四駆が好きで毎日ミニ四駆のパーツを自作して。アルミ加工部品はとても精度が高く、界隈でも評判だったそうよ。でも賭けレースにはまって、私財を投じるだけでなく会社のお金も使い込んでしまって...結局会社は倒産、女房子供にも逃げられて一人酒におぼれる毎日だったそうよ。ミニ四駆が好きで仕方なかったのに、そのミニ四駆で自分の人生がめちゃくちゃになった...相当恨んでいたのね」

北川「...なにも浜田をやらなくても...」

サラ「もう今更いっても仕方ないわ。浜田さんはあの時優勝してしまったし、体も声も大きく目立つから標的になってしまっただけよ。作業員は誰でもよかったのよ。」

北川「...」

サラ「すべての原因は賭けレースよ。賭博は人の人生を、心を狂わせるわ。この負の連鎖を断ち切るには、賭けレースを元締めている組織をつきとめ、検挙することよ。あなたから貰ったデータを解析したのよ、あの学生さんのお父さんやたくさんのミニヨン・レーサーたちが組織に捕らえられているのは間違いない。一部の人の野心のためにこれ以上不幸を広げてはいけないわ」

北川「...そうだな。弔い合戦だ」

サラ「これまで癒着があって君津のレースに捜査の手が及ばなかったけど、今回の浜田さんの事件のおかげ...といってはなんだけど、私たちも捜査できて、新しい情報がつかめたわ。」

北川「どんな情報だ?」

サラ「関東に組織の幹部が直接運営するレース場があと2つあるらしいの。」

北川「...どこだ?」

サラ「横浜、そして...」

北川「そして?」

サラ「静岡」

北川「タミヤ本社がある静岡か!」

サラ「ええ、どうやら総本山らしいわ。盲点だったわね。」

まさかタミヤのお膝元にあるとは、驚きが隠せない二人

北川「...次は横浜に行く。そして必ず尻尾を掴んでやる...浜田のためにも...」

浜田の弔いを誓う北川。

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・・・

その頃、学生は浜田の見舞いに来ていた。

浜田「...兄貴ィ、オレ死んでないっすよ~」

(づつく)

【ミニ四駆小説は1日に1回、12:00更新予定です】

この小説はフィクションで、実在の人物・団体と一切関係ありません。

賭けミニ四駆レースは法律で禁じられています。

賄賂は法律で禁じられています。

単三電池の分解、改造は危険ですので、絶対にしないでください。

ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。